2020年9月議会

さはしあこ議員の決算討論:福祉・教育・子育て・防災など 市民生活が優先される市政への切りかえを(2020年10月13日 9月定例会)

消費税増税とコロナ禍のもと  市民の暮らし・福祉はどうなった
【さはし議員】日本共産党名古屋市議団を代表して、2019年度名古屋市一般会計決算認定に反対の立場から討論します。

 2019年度は、景気が後退局面にある中で、10月に消費税が10%へと引き上げられ、家計消費や実質賃金がさらに低下したところに、新型コロナの感染が1月から広がり始めました。コロナ危機という想定外の事態の下で、名古屋市が市民の命と暮らし、営業を守る役割を果たしてきたのか検証が必要です。
 コロナ禍の下、次につなげる大切な決算審議です。市民税減税と大型事業に絞って申し上げます。

所得16億円の方に500万円の減税
市民税5%減税は金持ち優遇

 まずは、市民税減税です。金持ち優遇の市民税5%減税は、いつまで続けるのでしょうか。コロナの影響で、本市の財政状況も厳しくなります。真っ先に見直すべきです。昨年度、一番たくさん減税の恩恵を受けた市民は、504万円も減税されました。どんな方かと聞いたら、約16億8千万円の所得の方でした。市民の格差を広げただけです。一律減税はやめて、困っている市民に支援が届く施策こそ必要です。
減税の財源づくりに職員がふえず、 児童相談所では年間1000時間の残業も
 この金持ち減税で不足する財源113億円を確保するために、市民サービスを担う職員の削減や公共施設の縮小・統廃合、民営化を進めてきました。児童相談所の職員は増えてはいますが、児童虐待の相談件数の増加や対応ケースの複雑化に追いつかず、昨年度、残業時間が年1000時間以上の職員が9人も生まれました。保健所は、各区の保健センターに感染症対策部門を残したことで、新型コロナ感染の拡大防止で成果を上げていますが、感染を抑え込むためには、体制の強化が求められています。
減税財源113億円は市民の命と暮らしを守るために使うべきだった
 コロナ禍で求められるのは、医療や介護、保育や教育など、人が人を支えるケアに手厚い市政です。113億円は金持ち減税のためではなく、市民の命と暮らしを守り、支える体制にこそ、効果的に使うべきだったのです。

コロナ禍のもとでも大型開発
新しい生活様式で見直しを
 次に大型事業です。新型コロナの感染拡大が全世界で広がり、コロナ禍をきっかけにテレワークやリモートなど働き方が見直され、都市間の移動やまちづくりのあり方など人々の価値観も変化し、ライフスタイルも見直されつつあります。新しい生活様式が模索される今、これまで進められてきた事業についても、思い切って見直すべきです。
旅客数が激減 中部国際空港・・・2本目滑走路建設は急ぐ必要ない
 

中部国際空港の旅客数は、新型コロナ・パンデミックの影響で今年2月から減少に転じ、今年度の上半期は前年度比で8%まで落ち込んでいます。市長が副会長となっている中部国際空港二本目滑走路建設促進期成同盟会は今年3月、国に対して2本目滑走路の早期実現を要望しましたが、コロナ感染が拡大し始めた時期に要望するのであれば、それは空港での水際対策の強化ではなかったでしょうか。旅客数が激減している中部国際空港の二本目滑走路建設は急ぐ必要はありません。

名古屋駅周辺開発に新たな事業を次々計画するのはやめ、再検討を

 リニアを前提とした名古屋駅前開発は、関係事業者との費用分担すら不明のままです。笹島交差点から南に向けての地下通路も、歩行者の混雑緩和が目的なら、歩道拡幅で十分対応できます。さらに、施工の難しさや多額の費用がかかるとの理由で計画を見送られてきた新駅設置の調査まで行われました。コロナ危機を踏まえて、一極集中よりも地域で自立できるまちづくりこそ求められる時代です。名古屋駅前開発、都心部の賑わいづくりは、その前提であるリニアも含めて再検討すべきです。
完成年度も示すことが出来ない天守閣木造復元はやめ石垣保全と耐震化を
 最後に、市民合意もない名古屋城天守閣木造化は中止すべきです。昨年8月に木造復元の完成期限2022年12月を断念し、完成年度も示すことが出来ない状況です。建設会社との基本協定書も効力を失いました。さらに、今年3月には、「特別史跡のき損」事件が明らかとなりました。開発・整備を急ぐあまり、文化財保護がなおざりにされたのです。現天守は、解体ではなく耐震補強を行うべきです。そして、史跡として価値ある石垣保全にこそ全力をつくすべきです。

市民の暮らし優先の市政に
 以上、反対の理由を申し上げてきました。新型コロナの影響は続きます。引き続き、ますます厳しくなると思われる市民の暮らしと命を守るために全力を尽くす、その決意を申し上げまして、討論を終わります。

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