名港管理組合2020年11月議会 江上博之議員の一般質問  ①コロナ後の経済と名古屋港 (2020年11月4日)

名古屋港管理組合の係船岸壁使用料及び入港料への影響について 江上博之議員

コロナ後の経済は、国内産業、特に、地産地消の方向への転換が必要
【江上議員】今年3月26日の本会議で「飛島ふ頭南側コンテナターミナル水深16メートル第3壁整備について」質問した際、新型コロナウイルスの影響について述べました。
 新型コロナウイルス感染症は、私たちの暮らしの身近な生活用品まで、人件費の安い中国などで賄われ、特に、マスクが有名になりました。順調に貿易が行われている限りは問題が起きませんでしたが、今回のようなコロナ禍によって、私たちの暮らしに外国製品がいかに大きな影響を与えているかが明らかになりました。コロナ禍は、いつ収束するかわかりません。さらに、収束しても、また、新たな感染症の世界的な広がりが予想されます。もちろん治療薬やワクチンの速やかな開発が求められています。
 国内総生産にも大きな影響が出ています。このようなことを考えると、コロナ後の経済は、世界経済に影響を少しでも受けないように国内産業、特に、地産地消の方向への転換が求められなければなりません。その際、人件費のあり方が問われ、8時間働けばふつうの暮らしができる水準が求められます。
 このような経済、貿易のあり方を見通しながら、今現在、名古屋港で起きていることについて、質問します。
 今回は、議案に即して、管理組合の今後の収入、支出に着目して質問します。

係船岸壁使用料や入港料は改善する見通しなのか
【江上議員】名古屋港管理組合の係船岸壁使用料及び入港料への影響について質問します。
 港湾機能継続特別委員会でも議論しましたが、外国航路、国内航路で大きな影響が出ています。特に、「ものづくり産業、特に自動車産業」が発達している地域ということによる影響が大きく出ています。これにより、名古屋港管理組合収益にどう影響しているかを見てみます。主に、公共岸壁の利用に伴う係船岸壁使用料、船舶の出入りによる入港料への影響が大きく、今回補正予算で減額補正が提案されています。
 係船岸壁使用料は、特別委員会の資料では4月から8月に前年比21.6%の減少で、中でも完成自動車が31.5%の減少になっています。11月補正では、補正減額が148,549千円で当初予算から計算しますと20.4%の減額で少し減額幅を抑えて提案されています。入港料は、特別委員会の資料では4月から8月に前年比10.1%の減少で、特に完成自動車の減少が30.6%と大きくなっています。11月補正では、補正減額が43,461千円で当初予算から計算しますと9.5%の減額が提案されています。ここでも減額幅が抑えられています。
 そこで、総務部長に質問します。4月から8月の減額率に比較し、減額補正の減額幅が小さくなっているということは、9月以降持ち直しがあるとみているのでしょうか。どのような見通し、根拠で減額補正しようとしているのか質問します。

補正予算での見通しは年間見通しなので上期分の見通しと異なる
【総務部長】港湾機能継続特別委員会にお示しした係船岸壁使用料及び入港料の前年比率は、令和2年4月から8月までの実績を前年の同期と比較したものであります。

 

 一方、11月補正予算案については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響の見通しが困難な中、予算編成スケジュール上、本年4月から7月までの実績を基に、その状況が継続するものとして1年間の見込みを算定し、当初予算額に対する年間の減少分を補正額として計上しております。
 このため、4月から8月実績の前年比率と当初予算に対する補正予算の減額率については、差異が生じております。
 厳しい状況が続いており、今後も係船岸壁使用料及び入港料を含めた収益の動向には十分注視してまいります。

前年比率と補正予算の減額率に差異が出る原因は(再質問)
【江上議員】係船岸壁使用料の4月から8月実績の前年比率と、4月から7月の実績での当初予算編成に対する補正予算の減額率に差異が生じると回答がありました。実績の取り上げた月で、8月が入るかどうかの違いなのか、そもそも、当初の予算編成時に前年より減額したのかどちらでしょうか。当初予算編成とその前年予算と比較すると、係船岸壁使用料で外航船舶分を12%ほど減額編成しています。コロナ以前の段階でも、アメリカと中国の貿易問題などから、使用料収入の減額を想定していたということでしょうか。
 そこで質問します。前年比率と補正予算の減額率の差異の理由を詳しく説明してください。

当初予算は減額傾向をもとに編成したため
【総務部長】令和2年度係船岸壁使用料の当初予算については、令和元年度の4月示ら10月までの実績における使用料の減少傾向を基に編成したため、前年度より減額となる予算となっております。
 港湾機能継続特別委員会にお示しした前年比率については、8月分を含んだ上、また、昨年実績と比較したもので、当初予算と比較した補正予算の減額比率とは比較対象が異なるため、差が生じております。

購入金額が予算額から変更がないのはなぜか
【江上議員】水深16メートル岸壁のための土地購入について質問します。コロナ禍により収入が減る一方で、支出を抑えることが管理組合の運営として求められていますが、多額の支出である財産の買入れとして飛島ふ頭南側コンテナターミナル第3岸壁のための用地買収契約が提案されています。予算通り25億2千万円で購入しようというものです。私は今年3月議会の質問で、第3岸壁の建設が、
 1 大型コンテナ船の入港が減り、1隻当たりのトン数が大きくなっているとはいえ2010年と比較し、便数が3分の1に減少していること。これからの整備予定も含め現時点で水深16メートルが2岸壁、水深15メートルが4岸壁あること。
 2 そのうえ多額の整備費が必要です。380億円、うち本組合負担分が140億円と聞いており、これ以上の大水深岸壁建設の必要性がないこと
を指摘しました。その岸壁整備に伴う土地の一部の購入費が今回の分で25億2千万円ということです。
 そこで、港営部長に質問します。
 予算時に25億2千万円の提案でしたが、今回も同額です。3月以降も同じということです。価格交渉とかあってもおかしくないと思いますが、どうして同じなのでしょうか。

9月の基準地価に変動がなく、予算の鑑定額で購入
【港営部長】購入金額の算定にあたっては、不動産鑑定士による鑑定額を基に本組合の公有財産評価委員会で決定し、令和2年3月定例会において予算のご議決をいただきました。
 その後、愛知県が本年9月に公表した基準地価おいて、付近地の価格に変動がなかったことから購入価額としては妥当であると考えております。

3社からの買い入れ単価がすべて同額になるのはなぜか
【江上議員】3社から買い入れますが、単価がすべて㎡当たり約3万9千円で同一です。どうして同一価格なのでしょうか、質問します。

3社が共同で取得した土地であり3社の意向で1筆にして鑑定
【港営部長】当該地は、油槽所運営のため3社が共同で土地を取得し、共有設備の設置に各土地を利用してきた経緯がございます。
 今回、3社より一括での売却の意思があり、また、不動産鑑定士からの意見を踏まえ、当該3社所有の4筆を1つの土地として鑑定することが適切であると判断したため、同一の単価となっております。

未購入の土地所有者が名港の土地を通らないと移動できなくなるが(再質問)
【江上議員】購入する土地の中に、まだ未購入の土地があり、他の所有者がいます。その所有者は、名古屋港管理組合の購入した土地を通ってしか外部に移動できないのではないでしょうか。どのような取り決めになり、費用はどうするのでしょうか。

民法に基づく通行権があるので覚書を締結し無償で通行
【港営部長】今回のように他人の土地に囲まれ公道に通じない土地の所有者は、民法に基づき、公道に至るためにその土地を囲んでいる他人の土地を通行することができる権利を有しております。
 そのため、本轟蛤は購入する土地の所有権の移転と同時に、未購入の土地所有者と覚書を締結し、移転前と同様に無償で通行していただく予定としております。

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