2021年9月議会

岡田ゆき子議員の決算に反対の討論:中小企業支援には、コロナ危機への市長の誤った対応が市民を不安にさせ、大型開発を漫然と続け、市民のいのちとくらしを犠牲にしたことは許せません(2021年10月12日)

2020年度決算に対する反対討論   岡田ゆき子 議員

2020年度一般会計決算認定案に対する、岡田ゆき子議員の反対討論は、以下のとおりです。

コロナ禍のもとで昨年度、12,487人が感染、260人が亡くなる
【岡田議員】日本共産党名古屋市会議団を代表し、2020年度名古屋市一般会計決算の認定に反対の立場から討論します。
 昨年度、新型コロナウイルス感染症拡大は7月中旬から8月の第2波、11月から今年1月の第3波と繰り返し、市内の新規感染者は、12,487人を数え、コロナで亡くなられた方は260人となりました。亡くなられた市民の方々に心からお悔やみ申し上げます。
問題だらけの市長の姿勢
 保健センター職員等の残業が支えた、市長自慢の疫学調査。なのに賃金削減
 決算に反対する、第1の理由は、コロナ対策を進めるうえで市長の姿勢に問題があったことです。
 名古屋市は昨年来、全庁の応援体制でコロナ対応に当たってきました。職員のみなさんの頑張りに改めて敬意を表します。しかし、新規陽性者の急増は、その対応の最前線にある保健センター業務をひっ迫させました。市長は口では「積極的疫学調査をがんばった」と繰り返しながらも、保健センターを中心とした職員体制や処遇をかえりみようとしませんでした。昨年度、コロナ対応で残業時間が1000時間を超えたのは保健センター職員等25人。最も残業が多かった職員は、1551時間。残業が集中した月は、ひと月でふた月分の労働をしたことになります。
 市長は、積極的疫学調査では名古屋市は進んでいると、いつも自慢をしますが、それは、職員の過酷な自己犠牲的な長時間労働に支えられたものです。市民の不安を解消し、命を守るためには、公衆衛生をはじめとする公務労働の人員体制の充実こそ必要です。
 誤ったメッセージの発信が楽観論に
 また、市長は市民に対し、誤ったメッセージを出してきたことも問題です。感染拡大防止は市民の協力なしには進みません。丁寧で正確な情報を、時には危機感を持って伝える必要があります。ところが、第3波で多くの高齢者が亡くなるなど、予断を許さない状況にあったにもかかわらず、市長は今年2月1日の記者会見で、名古屋は人口10万人当たりの陽性者が少ないと自慢しました。しかし、実態はどうでしょうか。
 1年通して見てみると、旧5大市の中で、名古屋市は、人口当たりのPCR検査件数は少なく、検査に占める陽性率は最も高かったのです。検査の少なさを反省することなく、根拠のない楽観論を振りまいたことは問題です。
 感染拡大のさなかにリコールに熱中
 さらに、問題は、コロナ対策本部長の役割を半ば放棄し、知事リコール署名運動に血道をあげたことです。署名を始めた8月は、市中感染が広がり、入院もできず、自宅放置の陽性者が増え、宿泊療養施設を急いで開設するという状況でした。本来緊密に連携すべき愛知県知事と市長の関係悪化が伝えられましたが、コロナ対策に少なからず影響を与えたといえるでしょう。

コロナ禍のもとで負担増押し付け
 高齢者に保険料を7500円の値上げ、敬老パスには利用回数を制限
 反対の第2の理由は、コロナで苦しんでいる市民に負担を強いたことです。特に、高齢者は重症化リスクが高く、75歳以上では228人が亡くなりました。受診を控える高齢者も少なくないのに、昨年度は後期高齢者医療保険料を一人平均年間7,506円も値上げしました。
 また、外出自粛によって敬老パスの利用はコロナ以前の3割減と大きく落ち込み、いまだに、利用回復がまだ見通せない事態です。現状では、高齢者の利用を抑制する回数制限を設ける必要はありません。高齢者のフレイル予防や市内経済を支えるためにも、敬老パスの利用を増やすことに力を注ぐべきです。
漫然と無駄な事業を続ける
 金持ち減税に92億円
 反対理由の第3は、見直すべき大型事業や金持ち減税を漫然と続けたことです。コロナが拡大する災害級の事態で、コロナ対策に必要な財源確保にみんなが必死に取り組んでいるのに、高額所得者のみ恩恵がある個人市民税減税を実施し、意図的に92億円もの財源不足を招いたのです。
 リニア優先で名駅に高速道路
 コロナ禍で人々の仕事や生活のスタイルも変わり。都市間移動の必要性も減りました。また、環境への負荷も指摘され、リニア事業はその必要性が根本から問われています。リニアありきの開発や都心への車の流入を増やす名古屋高速道路の新計画も見直すべきです。
 天守閣の工事進まず木材保管に1億円
 名古屋城天守閣木造復元は計画がことごとく進まなくなり、木材保管だけでも年間1億円余の支出を続けています。こんな無駄遣いは直ちに中止すべきです。

アフターコロナへ
 検査とワクチンで感染拡大を防ぎ、医療・保健体制を強化、暮らしに補償を
 新規感染者が減少している今こそ、再び、感染爆発と医療崩壊を絶対に起こさないコロナ対策が名古屋市に求められています。第1に、ワクチンと一体で大規模検査を行い、感染の火種を見つけ消していくこと。第2に、緊急時に備えて医療・保健所の体制を強化すること。第3、にコロナ危機で傷んだ暮らしと営業への補償と支援を行うことです。
 市民の暮らし優先の市政に
 日本共産党は、コロナから市民の命、暮らし福祉を守るために全力を尽くす決意を申し上げ討論を終わります。

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