2021年9月議会

さいとう愛子議員の個人質問:市立図書館を貸出専用に縮小したり、本格的図書館は4区に1か所という再編計画は見直しを (2021年9月16日)

名古屋市図書館第1ブロックの施設整備方針(案)について   さいとう愛子 議員

星ヶ丘への新図書館では、利用が不便となるひとがでるのではないか
【さいとう議員】

図書館とは、「図書館法」によれば、「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設」とされています。現在の市立図書館はそうした機能を全ての館が備えた施設です。
 そして、第3次「名古屋市子ども読書活動推進計画」によって、名古屋の子どもたちにとって図書館は、「豊富な蔵書の中から子どもが自由に読みたい本を選び、おはなし会等を通して読書の楽しさを体験し、貸出などのサービスを受けることができる地域における子ども読書活動の推進の中核を担う施設です」と位置付けられています。 名古屋市教育委員会は、2017年12月に図書館を再編縮小する計画を打ち出ました。これが、各区の図書館を5つのブロックにグループ分けする「なごやアクティブライブラリー構想」です。今年5月の教育子ども委員会では、この構想にもとづいて、第1ブロックにあたる、千種・東・守山・志段味・名東の5つの図書館の整備方針(案)を示しました。地図で示すと、位置関係は、このようになります(パネル参照)。
 千種図書館と名東図書館は、本の冊数を現在のおよそ1/2に削減し、図書館面積を1/4に縮小、学習室やおはなし会のスペースは館内には設置されません。東・守山・志段味図書館は、現在の約2/3に本を削減、面積は700㎡の図書館にし、第1ブロックの一番南にあたる、星が丘駅周辺に15万冊2,000㎡の図書館を新たに設置するというものです。
 かつてない図書館再編計画について、日本共産党市議団は該当地域で図書館アンケートを行い約900通(9/13で 877通)の返信をいただきました。
 第1ブロックの整備方針案について、3点教育長に質問します。
 第1に、図書館が縮小再編されることで、利用する地域によって利便性に著しく差ができることについてです。
 星が丘駅周辺に整備する予定の星が丘図書館は、唯一直営で、いま5館に配置されている市職員の司書を集中し、直接調べ学習や質問、相談、資料検索などできる機能を持たせ専門的なレファレンスを行うのは、この星が丘図書館のみ、としています。ほかの5つの図書館は、より深く学び調べようと思うと星が丘まで行かなければなりません。
 例えば、守山区志段味に住んでいる人が、公共交通機関で星が丘へ行くのに、ゆとりーとラインで砂田橋バス停まで行き、地下鉄砂田橋駅で乗り換え、名城線東山線と乗り継いで星が丘着で、1時間以上680円かけていくことになります。利用は大人だけではありません。小学生、中学生も利用することがあります。交通の便が良い星が丘であっても、子ども連れで利用する場合や、坂の多い星が丘周辺の立地、本を借りると重くなること、など考えると、車利用をする人の駐車場は必要です。
 市議団のアンケートでは、月1回以上利用していた人の中で、星が丘に大きな新しい図書館ができたとしても、東区で62.8%、守山区では53.4%が「行きたいとは思わない」という回答でした。
 これまで、地元の図書館で十分提供されていたサービスが縮小され、星が丘に集中するとなれば、第1ブロックの中でより専門的なサービスを利用できる人は、地域が限られるのではないですか。 お聞きします。

専門的な資料やデータベースが利用できるようにして利便性を向上(教育長)
【教育長】現在、鶴舞中央図書館のみで取り扱っている専門的な資料やデータベースをアクティブライブラリーでも利用できるようにするとともに、貸出返却ポイントや協働運営ポイントといった身近な場所での図書館サービスを展開することで利便性をこれまで以上に向上させる。
 スマートライブラリーは、駅周辺などの交通の便の良い場所で、地域特性やニーズに合わせた選りすぐりの本や資料を、探しやすく、手に取ってみたくなるように展示することで、いつ訪れても新鮮な気持ちで楽しむことができ、地域の方に喜んでいただける、魅力あふれる図書館になる。

名東図書館で行ってきた「おはなし会」はどうなるのか
【さいとう議員】特に縮小される名東図書館について、

地域の必要に応じて積み上げられた図書館の特性はどうなるのか。
 名東図書館の特徴は、市内でも転出入の多い名東区で、孤立を防ぎ、子育てをサポートする役割の一つを図書館が担ってきたことです。特に子ども連れの利用が多いのは、初めての子育てに戸惑う中でも図書館で司書の助けを借り絵本を選ぶことができたり、図書館に来ておはなし会に参加することで、地域に知りあいをつくる場になったりしているということです。絵本の読み聞かせを行っているボランティアの方が、9グループ40人以上活動されていて、おはなし会はたいへん人気があります。土日には、朝から小さい子どもといっしょに親子で来館し、開館前には列をなします。このようなボランティアグループのみなさんの活動があってこそ、児童書の所蔵数が鶴舞中央図書館を除いて2番目に多く、貸出利用者数と貸出冊数は、徳重・瑞穂図書館に次いで3番目、紙芝居は最も多く貸し出しされているのです。
 名古屋市は、人口減少が危惧され、「子育てするならなごや」といいながら、せっかくボランティアさんたちの努力で積み上げられたこのような活動は、どこで保証され継承されていくのでしょうか。
 名東図書館の規模は、最も縮小する方針ですが、地域がら、転出入が多く、子育て世代を孤立させないようにと司書が中心となって、おはなし会、ボランティア育成を行ってきた、こうした活動はどうなるのでしょうか。

「おはなし会」も学校や児童館へ出張するなどの工夫で充実させる(教育長)
【教育長】「おはなし会」も、ボランティアグループと協力しながら、これまで以上に、学校や児童館へ出張するなど、様々な工夫により、充実する。

なぜ、図書館の規模を縮小し、住む地域によって格差をつけるのか
【さいとう議員】地域の特性があり、子どもから大人までどの図書館でも同じサービスを享受できていたのに、広さ、蔵書数で格差をつけるのはなぜなのか。
 名東図書館はこんな利用実績があるのに提案されている施設整備方針案では、メインターゲットとして、「通勤や通学の途中に立ち寄る人」「本を手に取って選び、貸出や返却だけできればよい人」「複合先の施設を利用する人」が主に利用。もともと、親子連れの利用は想定していません。約300㎡の広さは、駅近の複合施設への設置が原則で、学習室やおはなし会等で利用する部屋は無しで、集会室などは「共用部分に可能であれば設置」とされています。
 名東図書館は、今までの図書館とは全く違う形となってしまいます。これに対し、市議団のアンケートでは87%の方が、閲覧スペースや子どもペースを「あったほうがよい」と答えています。「駅近くはよいけど、貸出返却中心は、図書館としては物足りない。知の集積場ではなく、単なる貸本業になってしまう」「キッズスペース、おはなし会で、子どもが図書館に行くことを望みます。なくなってしまうのはとても悲しいです」「図書館そのものの機能や意味がなくなる可能性が高い気がする」との声があり、賛成したのは、2割前後にすぎません。
 今回、この計画を知った地域の方々からは、「なぜ縮小するのか」と憤りの声が上がっています。名東はじめ、千種、守山、志段味、東各図書館の機能は大幅に縮小し、新しい星が丘図書館だけこれまでの機能を集中する。このねらいは市民にとって何なんですか。

市民の生活に寄り添い、役立つ図書館を目指す(教育長)
【教育長】誰もが気軽に利用しやすい、利便性の高い図書館のサービス環境を整え、市民の生活に寄り添い、役立つ図書館を目指す。

スマートライブラリーで「おはなし会」は行われるのか(再質問)
【さいとう議員】4つの区を合わせ

一つのブロックとして、サービスの向上を図るといわれましたが、第1ブロックの中では、星が丘は南の端で、このエリアの中心とするには、地理的に無理です。そもそも市内をブロックに分け、ひとまとまりにすること自体が問題です。
 名東図書館では、図書館ボランティアの方々が、今回初めて中央図書館長・教育長あてに意見書を出されました。意見書では、「方針案は、現在、所蔵されている児童書約3万冊が3分の1以下となる可能性があり、また、図書館という住民が集う『場』、子どもたちの『心の居場所』としての『場』の形が失われてしまう」と深く危惧しておられます。
 おはなし会について、答弁では「これまで以上に、学校や児童館へ出張するなど様々な工夫」をすると言われましたが、新しい名東図書館で「おはなし会」を行うとは言われませんでした。新名東図書館では「おはなし会」は行わない、ということですか。

入居する複合施設内に必要なスペースを用意し実施する(教育長)
【教育長】「おはなし会」等の行事は入居する複合施設内に必要なスペースを用意し実施する予定だ。

図書館の中にはつくらないということか(再質問)
【さいとう議員】「おはなし会」は図書館の中にはつくらないということですね。

図書館内にはなくなる(教育長)
【教育長】いつでも利用できる「おはなし会」のためのスペースは図書館内にはなくなる。

スマートライブラリーに子どもが自由に本を読めるスぺ―スは(再質問)
【さいとう議員】今の名東図書館には子どものスペースがあります。コロナ禍でイスと机が置いてありますが、本来は、子どもが自由に読書できるように四角いマットが敷いてあり、寝そべって本を読むこともできます。この場所は、1975年名東区が分区され、図書館建設が具体化する中で作られました。「図書館づくりにみんなの声を」と名東図書館の建設現場に「希望の箱」と書かれた小さなポストが取り付けられ、「親子コーナーをつくって読み聞かせができるようにしてほしい」という声を受け、司書のアドバイスで設置されたのが、この子どもたちのコーナーです。
 新しい図書館には、このような子どものスペースはつくられますか。

入居する複合施設内に必要なスペースを用意し実施する(教育長)
【教育長】子どもたちが自由に本を読めるよう、入居する複合施設内に必要なスペースを用意する予定だ。

地域や子どもの意見を受け止め地域密着型の図書館として発展を(意見)
【さいとう議員】おはなし会や子どもたちの自由なスペースもつくらない。施設面積を4分の1にし、蔵書は半分になる。住民の声によって創り上げられ大事にされてきた名東図書館が全く姿を変えてしまいます。こんな方針は撤回すべきです。
 あらためて、地域の利用者、子どもたちの意見を受け止めて、地域密着型の図書館として発展させるよう意見を申し上げ、質問を終わります。

キーワード: