2021年9月議会

さはしあこ議員の個人質問:子どもの意見を尊重し、生徒がみずから校則を変えることができるというメッセージの発信を(2021年9月16日)

子どもが主体的に関わる校則のあり方について  さはしあこ 議員

今日の私の髪型は校則違反か
【さはし議員】校則は、今、社会問題の一つとして取り上げられています。いわゆるブラック校則には、下着の色は白と決められチェックされる、黒髪やストレートが前提で、地毛なのに染めるように言われ、地毛証明書の提出が求められるなどがあります。校則は、いまから148年前、当時の文部省が制定した「小学生徒心得」が始まりです。校則は、教育活動の一環ですが、子どもの人権問題でもあります。「行き過ぎた校則」で子どもを苦しめたり、傷つけてはなりません。名古屋市の校則はどうでしょうか。
 女子生徒は「肩より長い髪の毛はしばるように」と多くの学校で決められています。「一つにしか、しばってはダメ」とか「耳の上でしばってはダメ」とか「三つ編みはいいけど編み込みはダメ」とか、学校によって少しずつ違いはあるものの、髪型ひとつとっても本当に細かい決まりがあります。みなさん、「ちょろ毛」「触角」って、わかりますか。
 「ちょろ毛」というのは「ちょろっとはみ出した毛」で、「触角」というのは「前髪の横のサイド部分を顔周りに沿わせた毛」の事だそうです。
 先日、ある学校で、先生が「ちょろ毛や触角はダメなの?」と聞かれたそうです。今日、私も「ちょろ毛」や「触角」があります。そして、耳の上でしばっています。今日の私の髪型はその学校では認められないみたいですね。
 男子の髪型はどうでしょうか。「ツーブロック」について他都市で結構取り上げられています。本市でも「ツーブロックはダメなの?」「ツーブロックなどの指定は本当に意味がわかりません」という男子生徒も少なくないようです。「ツーブロックは禁止」と言われても「ツーブロック」は一般的で、人気の髪型です。学校でも、ツーブロックの先生方もいらっしゃいますし、議場のみなさんの中にもツーブロックの方もいらっしゃるように思います。
 東京都議会で、わが党議員が知事に「ツーブロック」の髪型を三つ示して、校則で禁止されている「ツーブロック」はどれか、認められていないのはどうしてなのかを率直に伺いました。私も「ツーブロック」についてお聞きしたいところですが、私は、先ほどの女子生徒がたずねた耳の上でしばって、耳のところから、ちょろっとした毛「ちょろ毛」や垂れた感じが触角に似ている「触角」と同じ髪型を今日しています。この髪型がダメだとされている学校もありますが、どうしてなのか、生徒たちにも私にも合理的で納得できるように説明してください。

学校によって違うので、一概には答えられない(教育長)
【教育長】校則は各学校で定められるものであり、学校によって内容は異なり、諸員の髪型が校則違反かどうか一概には答えられないが、校則の内容は、社会通念に照らして合理的とみられる範囲内で適切に定められるべきものと考える。
 校則の見直しは、校則に対する理解を深め、校則を自分たちのものとして守っていこうとする態度を養うことにつながリ、児童生徒の主体性を培う機会になると考える。

各学校は校則の見直しでどのような取り組みを行っているか
【さはし議員】子どもたちからの質問に対し、先生たちからは、合理的で納得のいく説明を聞くのは難しいようです。先生の中には「(校則とは)こういうもんだ」と思っている方もいるでしょう。
 日本共産党市議団が5月に取り組んだ校則アンケートに答えてくれた名古屋の子どもたちは、学校から「そういう決まりなんです」とか「決まりだから守れ」と言われたそうです。中には「中学生だから」と説明されたり、さらに驚いたのは「学校の評判が下がる」とか「先生に言っても決まりだからしょうがない。決めているのは俺ではなく校長だから俺に言われてもどうにもできない」との回答もありました。びっくりです。このような説明では、納得できるはずがありません。ただ「決まりだから守れ」でいいのでしょうか。先生が説明に困り、子どもたちが納得できない校則は見直すべきです。「校則がなければ学校がめちゃくちゃになるのはわかるけど、ただただ厳しい決まりを増やすだけでは生徒は守りたくなくなるし、反抗したくなります。校則の意味をしっかりと生徒や保護者に納得できるように提示していくのが一番いいと思います。」ある生徒からの声ですが、もっともだと思います。
 このところ、熱中症やコロナ対策などから、校則の見直しが一定すすんできています。
 文科省は、今年の6月8日付で、自治体に対して、「校則の見直し等に関する取組事例について」を通知しました。この通知では、校則に基づき指導を行う場合は「校則を自分のものとしてとらえ、自主的に守るよう指導していくことが重要」そして、見直しについては「校則の内容は、児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければならない」「見直しの際には、児童生徒や保護者が何らかの形で参加する例もある」と校則の見直しに対する取り組み事例を紹介し、積極的に校則を見直そうとしています。
 教育長は、以前「各学校において、頭髪や服装の規定を緩和するなどの見直し行っているところ」「継続的に各学校に促す」と答弁されています。
 この通知からも、校則の見直しには、子どもが主体であることが前提であると思います。
 多くの子どもたちから、学校での悩みや相談が寄せられている貴重な場となっているのが「子どもが権利の主体」を掲げている名古屋市子どもの権利相談室「なごもっか」です。
 権利擁護委員の方々がまとめた報告書によると、相談から見えてきた課題の一つとして、「校則」を取り上げています。その中で、「社会的には『ブラック校則』などが注目されているが、子どもたち自身から校則に関する相談が少なく、子どもたちはルールに黙って従わなければならないと思ってしまっているからではないか」と分析されています。そして、校則は「子どもの権利の問題である」と知ってもらうことが必要としています。
 私たち市議団のアンケートでは「子どもの権利条約」についても聞いています。「内容をよく知っている、少し知っている」と回答した子どもは20%とわずかです。校則は教育活動ですが、その見直しには、児童・生徒らが主体的に関わることが重要です。本市の「なごや子どもの権利条例」第7条には「子どもは自分たちにかかわることについて主体的に参加するため、一人一人の発達段階に応じ、意見を表明する機会が与えられること、自分たちの意見が尊重されること、意見を表明するために必要な支援を受けられること」と書かれています。校則の内容が子どもの権利からみてどうなのかは大切な観点です。子どもが主体となって議論し、納得と合意において、校則やルールを作り上げていくことが必要です。
 各学校において、文科省の通知を踏まえた「生徒間での議論」や「生徒たちの要望を踏まえた見直し」をされていますか。教職員にこの通知が周知されることも重要です。校則について、子どもが自ら考え、話し合いながら、出された意見を取り入れ作り上げていくことは、子どもの権利条約の主体的に参加する権利そのものです。校則を見直すにあたり、このような取り組みはどのようになっていますか。

 

児童生徒が主体的に取り組めるよう促していく(教育長)
【教育長】各学校では、例えば、生徒会がアンケートを取って問題点や意見を集約し、それを基に各クラスで議論するなど、主体的に校則の見直しを行っている。児童生徒が校則の見直しをすすめていくには時間がかかるが、その過程が大切と考えている。引き続き、校則の見直しについて児童生徒が主体的に取り組めるよう促していく。

校則は変えることができる というメッセージを(再質問)
【さはし議員】私は女子生徒も聞いてみたいだろうと思ったので、教育長にお尋ねしました。女子生徒は、先生から「礼をする時に顔にかかるのはダメなんだよ」と説明されたそうです。礼をした時、顔にかかって邪魔になるからという理由らしいですが、私は、先ほど礼をしましたが、じゃまになりませんでした。
 私は、具体的にお聞きしましたが、教育長からは一般論の答えしか聞けませんでした。残念です。教育長も答えられないことを学校で決めることは難しいと思います。同時に、教育長は、子どもが主体的に校則の見直しに取り組むことは、大切だとも答弁されました。
 髪型についても、納得できない説明のままならば「あなたたちが変える事ができるんだよ」と言うことですね。もう一度、はっきりとメッセージを子どもたちに向かって送って下さい。

多くの児童・生徒が参画できる取り組みになることを期待(教育長)
【教育長】校則の見直しは児童生徒の主体性を培う機会になると考えており、各学校において、多くの児童生徒が参画できるような取り組みになることを期待している。

生徒が主体的に見直しをしている学校数はいくつか(再々質問)
【さはし議員】各学校での取り組みの例として「生徒会がアンケートを取って、各学級で議論するなど、主体的に校則の見直しを行っているところ。見直しには時間がかかるが過程が大切である」との答弁がありました。見直しをされていると言われますが、私たちが実施したアンケートでは、94%が「校則を変えられたらいい」と答えたにもかかわらず、どうやったら変えられるかわからない、あるいは、どうしたら変えられるか教えられていないと答えています。さらに、校則を変えようと声をあげたら「逆に先生から叱られた」「生徒会役員の時に、改正案を出したら生徒指導部に握りつぶされた」「校内会議で先生を交えて議論したりしたが先生の意向で認められなかった」というような声が多数ありました。せっかく思い切って声を上げたにもかかわらずです。
 「校則に不合理な点があれば、見直していいんだよ」と子どもたちに伝わっていないのではありませんか。
 率直にお聞きしますが、市内の中学校で、いったい何校で答弁されたような主体的に校則の見直しが行われているのですか、お答えください。

全ての中学校で生徒が参加をする校則の見直しが行われている(教育長)
【教育長】全ての中学校で生徒が参加をする校則の見直しが行われている、もしくは、行おうとしている状況です。今後も、校則の見直しについて、生徒が主体的に取り組むことができるよう促していく。

子どもの意見を尊重する取り組みとなる校則の見直しを(意見)
【さはし議員】「全ての中学校で生徒が参加をする校則の見直しが行われている、もしくは、行おうとしている」と答えられましたが、それならば、どうして子どもたちから、私たちのもとにこうしたが声が寄せられるのでしょうか。認識が甘いんではありませんか。回答を寄せてくれた子どもたちから、市議団に対して、アンケートを行ってくれてありがとうと言われました。声を聞いてくれてありがとうと言ってくれたんです。こうした子どもの声があるということをしっかりと受け止めてほしいと思います。教育長が期待する「多くの児童生徒が参画できるような取り組み」になるためにも、子どもたち自身が素直に「声をあげてもいいんだ」と言える名古屋になるよう、教育委員会として応援していただきたい。そのためには、先生の数を増やし、学校現場に余裕をつくることも必要でしょう。校則の見直しについても、子どもの意見を尊重する取り組みとなるよう重ねて要望して、質問を終わります。

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