後期高齢者医療広域連合議会 2月定例会 議案質疑(岡田ゆき子・2019年2月5日)

《後期高齢者医療に関する条例の一部改正案への質疑》

保険料軽減措置の見直し・廃止で保険料負担が増大

均等割軽減基準の改善・拡大の影響は

【岡田議員】「後期高齢者医療に関する条例の一部改正」には、被保険者の均等割額の軽減基準の見直しによる軽減対象者の拡大と、保険料軽減特例措置廃止による負担増が盛り込まれています。2点質間します。
 一点目、被保険者の均等割の軽減基準の見直しでは、軽減される対象者が拡大されます。拡大する5割軽減、2割軽減の対象者について、対象者の収入、対象者数、軽減額がどうなるか、それぞれお答えください。

5割軽減の対象者は2000人増、4680万円。2割軽減は2500人増、2330万円

【管理課長】5割軽減の所得基準額は、年金収入のみの2人世帯で妻の年金が80万円以下の場合、夫の年金が223万円から224万円の1万円増です。2019年度予算ベースの試算で、対象者数は89,138人から91,212人と2,074人の増、保険料軽減額の総額は20億1450万円余から20億6130万円余と4,680万円の増です。
 2割軽減の所得基準額は、先の例では夫の年金が268万円から270万円と2万円の増、対象者数は106,202人から108,791人と2,589人の増、軽減額の総額は9億5,581万円余から9億7,911万円余と2,330万円の増です。

低所得者の均等割軽減が9割から7割になる軽減特例の廃止による負担増は

【岡田議員】二点目、保険料軽減特例の見直しについてです。今条例では、低所得者に対する軽減制度の見直しが2019年4月から、2021年度にかけて段階的に廃止していくものです。
 2021年度に9割、8.5割軽減の方が全て7割軽減の本則となった場合、軽減特例廃止に伴う影響について、対象者の年収上限、対象者数と全体に占める割合及び現行保険料額の推移についてお答えください。
 また、来年度については軽減特例見直しによる影響額がどれだけですか。

9割軽減の保険料は4500円から13600円になる

【管理課長】年収上限は、年金だけの収入とした場合、現在9割軽減の対象者は80万円、8.5割軽減は168万円です。2019年度予算ベースでの対象者数と全体に占める割合は、8割軽減は16万9千人で17.6%、8.5割軽減は16万5千人で17.1%です。
 一人当たりの保険料額は、2020年度に保険料率の改定を予定していますが、現行の料率で試算すると、9割軽減の方の「保険料額」が現在の年額4,500円から、2019年度には9,000円、2020年度には本則どおり7割軽減の13,600円となります。
 また、8.5割軽減の方は均等割額のみで見ますと、2019年度までは6,800円、2020年度には10,200円、2021年度には9割軽減だった方から1年遅れて本則どおり7割軽減の13,600円となります。
 2019年度の9割から8割軽減への見直しによる「影響額」は、保険料7億6,737万円余の増額を見込んでいます。

軽減特例を設けた理由は何だったのか。10年続けた理由は(再質問)

【岡田議員】保険料軽減特例の廃止によって、9割軽減の方は保険料が3倍に、8.5割軽減の方は2倍に、負担が増えるということでした。本人収入が年収168万円以下しかない低所得者を対象にしていた軽減特例ですから、この負担増はこれまでの生活をさらに厳しい生活に追いやるものです。
 そもそも、後期高齢者医療制度が始まる際、この軽減特例を設けた理由は何だったのか、また、この軽減特例を10年間にわたって継続してきたのはなぜかお聞きします。

高齢者の状況を配慮し、低所得者層を軽減して創設。その後は激変緩和策で

【管理課長】制度の円滑な運営を図るため、高齢者の置かれている状況に十分に配慮し、きめ細かな措置を講じることとされ、低所得者層を中心に更なる手厚い軽減対策が設けられた。
 保険料軽減特例を10年に渡って継続してきた理由は、激変緩和の観点から、国において、毎年度予算措置として低所得者に対して実施されてきた。

状況は改善しているのか(再々質問)

【岡田議員】医療にかかる機会が増える後期高齢者を別の保険に切り離すことに、大変な批判がありました。制度開始した後に、軽減の割合に9割軽減を加えるということがなされ、制度への批判を回避しようとしたのが実態だったのです。
 答弁では、「高齢者の置かれている状況に十分に配慮して、低所得者を中心にさらに軽減対策をした」といわれましたが、制度開始から10年経過した今と高齢者の置かれている状況はどう改善しているのか、軽減特例を廃止して生活に影響があるのか、ないのか、広域連合としてはどう認識していますか。

制度は広く定着した。更なる高齢化の備え負担の公平から見直す

【管理課長】制度開始から10年以上が経過し、現在では高齢者を支える医療制度として安定的に運営され、広く定着したと認識している。
 一方で、更なる高齢化の進展が新たな課題となっており、世代間の負担の公平を図る観点から、軽減特例の見直しが実施される。見直しにあたり、影響をできる限り少なくするための一定の配慮がなされたと認識している。

国には何をいってきたのか。現状認識を問う(再質問)

【岡田議員】これまで、国に対し広域連合として、どのような意見をしてきたのか。現在の認識と合わせて、再度、お答え下さい。

全国協議会として「原稿維持」を要望

【管理課長】2015年2月議会で、国に対して保険料の軽減特例の継続と恒久制度化を求める意見書を議決いただいた。
 広域連合も、全国後期高齢者医療広域連合協議会を通じて国に継続的に要望を行っており、直近では2018年11月に「2019年度に見直すことが検討されている低所得者等に対する保険料軽減特例措置については、生活に影響を与える保険料とならないよう現行制度を維持することとあわせて恒久化についても検討すること」などを要望してきた。
 同時に、「制度改正等を行う場合、その見直し内容及びその必要性について、広域連合及び市町村へ早急に情報提供を行い、国は十分な周知期間を設け、被保険者に対し丁寧な説明を行う」ことも要望した。
 軽減特例の見直しにあたり、ご理解をいただけるよう、丁寧な周知を心がけ、きめ細やかな対応に努めるべきものと認識している。

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