2018年11月定例会

山口清明議員の議案外質問(2018年11月30日)

立城西病院の売却先=医療法人偕行会の不正への調査などの対応をただす
                             山口清明 議員

城西病院の譲渡先としての適性と診療報酬の不正に伴う返還金の取り扱い・・・医療法人偕行会をめぐる数々の疑惑
【山口議員】名古屋市に本部がある医療法人「偕行会」をめぐり、いくつかの深刻な疑惑が報道されています。
 一つは、工藤彰三衆院議員が代表の政治団体「彰友会」の開いた事実上の政治資金パーティをめぐる問題です。この政治団体の会長が偕行会の会長です。何回も開かれた会費制集会の収支が政治資金収支報告書に記載されず、政治資金規正法に抵触するのでは、と厳しい批判を浴びました。
 続いて、偕行会グループが2014年の総選挙で自民党の工藤議員と岡本充功元厚生労働政務官の選挙運動に、勤務中の複数の職員を派遣していたことがわかりました。公訴期限の3年は過ぎましたが、公職選挙法の運動員買収の罪に問われても仕方がない、と報じられました。
 そして、偕行会の元職員が愛知県に告発しました。少なくとも5年間以上、偕行会では法人の重要な議題を決める社員総会や理事会を開かず、議事録を偽装し架空の議事内容を県に届けていた、との告発です。
 受理した県は11月1日から偕行会グループへ立ち入り調査を行いました。医療法人は営利を目的としてはならず運営の透明性を確保することが強く要請されます。虚偽の報告をすれば20万円以下の行政罰が科されます。

市立病院の譲渡先として適正だったのか
【山口議員】さらに遡ること10年、2008年には、偕行会が運営する病院で、医療保険が適用されない手術支援ロボットを使った治療で診療報酬を不正請求した疑いが報じられました。
 この不正請求にもとづく返還金は名古屋市分だけで3億円以上になり、現在も支払いが続いています。
 さて、名古屋市は2010年に、市立城西病院を15億7376万9540円でこの偕行会に譲渡しました。
 病院局長にうかがいます。この医療法人が市立病院の譲渡先として適性であると言えますか。当時の判断と現時点での認識をうかがいます。

適正に選定された(病院局長)
【病院局長】城西病院の民間譲渡は、住民の意見をもとに、高齢者にやさしく、地域の方々が利用しやすい施設という理念の下、医療施設だけでなく、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設を併せて整備することを基本方針に事業者募集を行い、医療法人偕行会を代表とするグループを譲渡候補者として選定した。選定委員会では、公認会計士や病院運営に精通した方も加わり、選定基準に基づいた評価を行っていただき、適正に選定されたものと認識している。
 現在の病院運営は、譲渡後に新病棟が整備され、2017年度の1日平均入院患者数は102.1人、病床利用率は85.1%となっているほか、外来の診療科も譲渡当初より増加するなど、順調に運営している。

処分後の病院局の対応は
【山口議員】元職員の告発では、そもそも正規の理事会が開かれてこなかった、前任者から書類の偽装の手口が引き継がれたことが詳細に語られています。
 つまり、城西病院の譲渡についても法人の正式機関では何ら議論されていなかったのではないか。
譲渡先の法人決定に当たっては、有識者で構成する選定委員会で検討され、経営状態は良好で問題ない、と結論付けらましたが、法人運営の実態が隠されたままで選定されたのではありませんか。
 議会でも厳しい議論がありました。2010年9月議会では、日本共産党のかとう典子議員の質問に対し、上田病院局長は「仮に処分がありましたら、その内容を見て適切に対応してまいります」と答えています。
 その後の所管事務調査では、いまも議場にいらっしゃる渡辺義郎議員からも厳しい追及が続きました。少し紹介します。
「極端なことを言えば、偕行会ありきでないか。2年前に監査が入ったわ、決着はついていない、これ、偕行会というのはそんなとこだわ、そんなところに市民の信頼のできるような、おまえさん、病院としてお願いできるか、大きな処分が出たらだれが責任とるの、これ。」
 当局からは「まだ処分が出ていませんから」との答弁が続きます。
 「処分が出るまで待ったらどうだね。不正をして、処分が出る。僕は(処分の)大小じゃないと思うんだわ。そういうところに指定をすること自体、まちがっておる、そんなことは常識的におかしいと僕は指摘したいんだわ、本当に」
 8年前のやりとりです。私はここまで言えませんが、同感です。
 この不正請求について愛知県から名古屋市に正式に処分の通知が来たのは譲渡から4年後の2014年です。
 命じられた返還額は名古屋市に対するものだけで国民健康保険と老人保健の合計で3億113万2976円、このなかには不正利得分への加算金が4割増しでついています。重い処分です。
この処分が出てから、病院局はどんな適切な対応をとられたのか、答弁を求めます。

処分内容は病院運営に多大な影響を与えるものではなかった(病院局長)
【病院局長】処分の内容が、診療報酬の返還であり、病院の運営に多大な影響を与えるものでなかったことから、患者数や病床の利用状況などの運営状況を確認し、地域に根差した病院運営をお願いしている。

市は調査・疑惑解明の責務がある
【山口議員】城西病院の偕行会への「譲渡に関する基本協定書」には、第6条で、10年間は安定的・持続的な医療を提供するものとし、10年を経過した後も引き続き安定的・持続的な医療の提供に努める、とあります。
 第10条では、病院等の整備・運営等の履行状況を確認するため、随時に実地調査を行うこと及び報告又は資料の提出を求めることができる。
 第13条には、保険医療機関の取り消し等の重大な処分を受けたことにより運営ができなくなったと判断したら契約を解除できる、としています。
 少なくとも10年間は市として関与し、城西病院の運営について法人を指導・監督する責務があります。地域医療を支えるために現場では日々大変な努力が続けられています。
 医療を安定して提供するうえでも、揺らいだ信頼を回復することが不可欠です。正常な病院運営、法人運営がなされているか、必要な調査を行い、疑惑を解明する責務が名古屋市にはあると思いますが、いかがですか。

譲渡先の調査は法人(偕行会)ではなく病院。病院運営に問題ない(局長)
【病院局長】譲渡に関する基本協定書で規定する実地調査の対象は、医療法人そのものではなく、あくまでも病院等の整備・運営となっている。現在、病院の運営に問題はないと考えており、安定的な病院の運営に努めていただくよう見守りたい。

無利息・15年分割返済の経緯は
【山口議員】私は2月定例会の財政福祉委員会で、偕行会の診療報酬の不正受給に伴う返還金問題をとりあげ追及しました。加算金ふくめた3億円もの巨額な返還金は名古屋市では例がありません。
 しかし、名古屋市は2015年に偕行会と、この返還金の支払いについて、延滞利息もなしに15年、30回の分割払いを認める債務承認弁済契約を結びました。返済額が多額で、全部を一時に履行することが困難、との法人からの申し出で結ばれた契約です。
 税金や保険料の滞納で苦しむ市民には厳しく延滞金を請求するのに、なぜこの法人にはこんな甘い条件を認めたのか、私には理解できません。
 城西病院の譲渡では15億円をポンと支払った法人です。経営状態が良好だから譲渡先に認められたのですよね。
 しかも偕行会は昨年7月、名古屋城天守閣にと百万円を寄付しています。また工藤衆議院議員には5年間で約1800万円の顧問料が偕行会から渡っていました。議員も認めた、と報道された。
 そんなお金があるのなら、まず名古屋市に耳をそろえて返すべきではありませんか。
 健康福祉局長にうかがいます。名古屋市に対する債務だけで3億円を超える返還金となった偕行会の不正請求に対する認識、返還金の納付について無利息で15年の分割を認めた経緯についてお聞きします。

偕行会は一括返済が不可能な状況だった(健康福祉局長)
【健康福祉局長】不正請求は早期の返還を促すことが必要ですが、県からの通知があった2014年度に履行期限の延長の申請があり、市で財務状況の確認を行った。その結果、市への返還額約3億円のほか、市以外の保険者にも債務を負っていることから、返還額が多額となり、一括返還が不可能な状況であったため、他の多額の返還事例も参考にして、地方自治法施行令に定める履行延期の特約等の規定に基づき、2015年2月に15年の分割での返還とする旨の契約を締結した。

返還金の納付状況は
【山口議員】返還金の納付状況と今後の返還方法についてもお答えください。私は即刻、残額全ての納付を迫るべきと考えますが、局長はどうお考えですか。

返済期間を10年に繰り上げ、2019年度以降再協議する(健康福祉局長)
【健康福祉局長】現在、滞りなく納付されているが、市としては、早期の返済を促すことも必要であり、当時の契約に盛り込んでいた契約の直しについての条項に基づき当該法人と協議を行い、2018年3月に、返還期間を15年から10年に繰り上げた。
 また、2019年度以降に早期の返還に向けて再度協議を行う契約となっている。

病院局は法人(偕行会)の運営になんと言ってきたのか(再質問)
【山口議員】病院局長は、「不正請求に対する処分は、診療報酬の返還であり、病院の運営に多大な影響を与えるものではない」といって、「その程度の処分なら病院運営には問題ない」という答弁でした。
 しかし健康福祉局長は、「40%の加算金をつけた。不正請求はあってはならない」と答えた。不正請求が認定されても黙っているんですか。
 ひとつだけ確認します。病院局は以前、偕行会の法人運営についても、直接モノを言ったことがありましたよね。いつ、どんな事案で、誰が、どんな要請をし、偕行会はどう対応したのか、答えていただきたい。

偕行会代表者を呼んで信頼回復を要請した(病院局長)
【病院局長】医療法人偕行会が税法違反により、特定医療法人の認定が取り消された事案があった。地域の方や患者に大きな不安を与える懸念があったため、2011年5月、医療法人偕行会の代表者を呼んで、当時の病院局長が早急な信頼回復に向けた要請を文書で行っている。
 その後、医療法人偕行会から「当法人及び城西病院の現状と信頼回復への取り組み」について報告を受けている。

病院運営への影響を病院局長は否定。健康福祉局長の見解は(再質問)
【山口議員】健康福祉局長は「本市への約3億円のほか、本市以外の保険者にも債務を負っている・・・返還額が多額となり、一括返還が不可能な状況だ」と答弁された。
 でもそれぐらいなら「病院の運営に多大な影響を与えるものではなかった」と病院局長は答えています。影響があるのかないのか。どっちなんでしょう。
 一括返還が不可能な状況とは何か。いったいこの法人は不正請求で名古屋市には3億円。合計ではいくらの債務を背負い込んだのか。全容を明らかにしてください。
 「病院運営に大きな影響がない」という病院局長の認識、健康福祉局長は共有するんですか。答えてください。

不正請求の返還総額7億円。一括返済では法人運営に支障(健康福祉局長)
【健康福祉局長】返還金は、当該法人から、全保険者に対する返還額の合計が約7億円と聞き及んでいる。
 返済額が多額であり、返還額のすべてを一括で返済することになれば、当該法人の運営にも支障が生じたと考えられることから、分割での返還とした。

分割返済の判断に対する市長の見解は(再々質問)
【山口議員】不正請求の返還額の合計は約7億円。これ巨額な不正です。城西病院の運営を委ねた法人がこれでいいのか。
 そして以前にも、偕行会の脱税、6,800万円の所得隠しです。特定医療法人の承認取り消し、こういう問題を受けて、これ法人の問題ですよ。病院局長が直接、偕行会の代表に話をした。法人の不正は病院運営と無関係ではないのです。
 二人の局長の見解が違うので河村市長にうかがいます。委員会審議では、15年分割での返済を認めた契約書は局で決裁し、市長には決済を仰がなかったと聞いています。
 あなたは、この法人の多額の不正請求と長期の分割払いを認めた当局の判断について、今までのやり取りを聞いてどう感じましたか。市立病院の譲渡先として問題があるとは思いませんか。 

分割返済は適切。譲渡も適正に選定された(市長)
【河村市長】文書で答えたいと思います。(答弁メモを読みあげ)
 返還金については不正な請求で得たお金なので、きちんと返還されるべきであるが、まずは全額返還されることを優先して分割したと思います。
 返還期間の短縮も行っており、現在まで滞りなく返還されているので、適切な判断であったと思います。
 城西病院の譲渡は、選定委員会において選定基準に基づいて適正に選定されたものと認識しております。

分割返済契約の経緯をあらためて調査すべきだ(再々再質問)
【山口議員】不正請求の返還金3億円、15年から10年に短縮したのは半歩前進です。でもまだ甘い。議会で追及されたら、じゃあ10年で返します。ならなんで最初からそうしないのか。払える能力あったんですよ。
 城西病院を譲渡してしまった以上後戻りできない。うまくやってもらわないと困る、だから経営の重荷にならないように契約したんじゃないんですか。
 なぜ15年分割なのか、名古屋市が長期分割を認めれば、合計7億、他の4億円の債務先にも返済猶予してくれと言いやすくなる。だから名古屋市が働きかけるターゲットにされたのでは、といくつも疑問がわきます。
 相手方から、いつ、誰から、誰に、どう働きかけがあったのか、当局の対応は問題なかったのか。長期分割の契約が結ばれた経緯などについて、市長、あらためて調査して、市民の疑問に答えるべきではありませんか。

分割契約は妥当(市長)
【河村市長】返還金については、県からの通知があった後、法人からの履行期限の延長の申請があったことから、当該法人の財務状況の確認を行いまして、法令に則って分割納付しております。
 その後も、契約に基づいて返還期間の見直しを行っており、法人から適切に返還されていることから、契約は妥当であったと考えております。

なぜか市長は及び腰。法人代表に信頼回復と一括返還を求めるべきだ(再々再々質問)
【山口議員】市長、先日の名港議会で私質問しました。あなたはどう答えたか。「国会Gメンの座長をやっとりましたんで、追及が本業でございました。再発防止のためにはまず真相解明をきちっとせなあかん」と。今日はその時と比べてずいぶんトーンがちがいます。この件はすっかり及び腰じゃないですか。
 偕行会の不祥事は今回が初めてじゃない。答弁があったとおり、2011年に、当時の上田病院局長が法人の理事長に直接要請しています。
 「貴法人におかれましては、市立病院を引き継いだことを充分認識し・・・一刻も早く・・・信頼を回復するよう努めていただくよう要望いたします。」
 市長、せめて、これくらいは言うべきです。
 今回、偕行会による特定の政治家への肩入れもあいつぎ報道された。法人運営の透明性にも疑問が投げかけられた。不正請求の債務は7億円。
どこに市立病院を引き継いだ自覚があるのか。反省が見えません。このまま、あいまいにはできない。
 市長、法人の責任者に直接、信頼回復のために責任をとるよう要請し、不正請求の返還金も速やかに一括返済するよう求めるべきではありませんか。

協議をやるよう指示したい(市長)
【河村市長】偕行会城西病院は適正に運営されており、返還は健康福祉局できちんと管理されています。2019年4月以降に早期の返還に向けて再度協議を行う契約なので、なるべく早く、まあ様々なご指摘を受けましたので、協議をしっかりやるということで指示したい。

対応が甘い。法人と何か関係があるのか。しっかり調査すべきだ(再々再々再質問)
【山口議員】市長の指示がなくても健康福祉局長はそこまではやると答えているんですよ。それでは甘い。市長にもなかなかその気がなさそうです。
 この法人に対して異常に対応が甘いとしか思えません。何かあるのですか。
 法人の代表は5年前、グループ内の会合で、「グループの政治力の増強について強調したい」と述べて、何人かの政治家の実名もあげ、その人脈を誇っています。「偕行会は名古屋市の医療にどれだけ貢献したか」とも述べ、「城西病院を偕行会が引き受け(た)」とも語っています。
 城西病院を引き受けてやったのだから、こちらの件は頼むよ、こういう関係になっていないか、しっかり調査すべきだと思います。
 もう一度市長、調査する必要、まったくありませんか。お答えください。

協議の中で調査していく(市長)
【河村市長】2019年4月というともうすぐですので、そういう契約でやっとりますので、4月以降になったら、ただちに、様々なご指摘を受けて、きちんと協議をやる、協議の中で調査していくと、こういうことでいかんでしょうかね。

きちんと調査し、問題の解明を(意見)
【山口議員】来年もうすぐだとのことですが、実態をきちんと調査したうえでいうべきことを言っていただきたい。
 現場では多くの職員と患者さんが病と向きあっています。その人々を守るためにも厳正な法人運営が求められています。市民と患者の思いに応えるためにも、名古屋市としてもこの問題の解明に真摯に向き合うことを強く求めて質問を終わります。

 

キーワード: