2018年11月定例会

岡田ゆき子議員の議案外質問①(2018年11月29日)

買い物弱者への支援を
              岡田ゆき子 議員

買い物弱者の実態を具体的に把握しているか
【岡田議員】身近なスーパーが撤退するなどして、生鮮食料品など日常の買い物が困難な状況に置かれている市民、いわゆる「買い物弱者」は以前から問題にされています。
 買い物弱者については、国において明確な定義はありませんが、農林水産省では「65歳以上で、自宅から500m圏内に生鮮食料品販売店舗がなく、かつ自動車を保有していない」ものとしています。また、内閣府の調査は、「買い物に不便と感じる」高齢者は全国で700万人程度いると推計しています。
 買い物弱者が生じることによる影響について、経済産業省が2014年に公表した報告書では、①高齢者の外出頻度の低下による生きがい喪失、②商店までの距離が遠くなることによる高齢者の転倒・事故リスクの増大、③食品摂取の多様性が低下することによる低栄養化及びこれによる医療費や介護費の増加の可能性がある、としてします。
 名古屋市の状況はどうでしょうか。
 市街地に立地する公営住宅では、高齢化が進み、5年前と比べても、65歳以上の高齢者がいる世帯は 40.9%から47.6%、北区内の市営住宅では40.9%から49.2%と、大きく増えています。
 30~40年前に建設された公営住宅では、入居当時は、近くにスーパー等なくても大きな問題はなかったと思いますが、今では入居者の多くが高齢となり、これまであったスーパー等が撤退したことで、運動機能が低下した高齢者にとって買い物に行けないという事態が起き、死活問題となっています。
 生鮮食料品の確保には、介護保険を利用してヘルパーによる買い物、配食サービスによる弁当の利用、地域ささえあい事業による買い物代行、民間業者による配達等ありますが、これらは、高齢者宅に届けるものです。高齢者が自宅から買い物に出かける外出の頻度や自ら商品を見て品定めする、考えるといった活動の機会が減少することは否めません。
 5年前に、党市議団は買い物弱者問題について取り上げ、北九州市の取り組みを例に、「高齢者の買い物環境に関する調査が必要」と質問しました。健康福祉局長は「買い物弱者対策の取り組みの実施状況について検証」し、「高齢者や関係者の意見を聞くなど実態把握に努める」と答弁されています。
 この5年間で高齢者の実態はどうなっているでしょうか。買い物に困っている高齢者はどこにどれだけおられるのでしょうか。課題は何か健康福祉局長に聞きます。生活支援に係わる協議体を設置し、実態を把握している(健康福祉局長)
【健康福祉局長】65歳以上の高齢者の状況を5年前と比較しますと、高齢者数は、2018年4月1日時点で約56万6千人、一人暮らし高齢者数は、約10万2千人と、それぞれ約1割増加。高齢化率は24.9%と、5年前から1.5ポイント増加している。
 日常の買い物が困難な高齢者の状況は、2016年度に市内在住65歳以上の介護認定を受けていない高齢者を対象に実施した「健康と暮らしの調査」に回答のあった約1万8千人のうち、「近所に買い物ができる場所がなくて困る」との回答が4.9%ありました。
 2015年度から名古屋市社会福祉協議会に委託し、区ごとに生活支援コーディネーターを配置し、行政、地域活動者、民間事業者などからなる「生活支援に係わる協議体」を開催。高齢者の様々な地域の生活課題を把握している。その中で、スーパーの撤退などによって買い物に困っている地域の把握に努めている。
 買い物が困難な方の多様なニーズに応じた適切な支援が課題と認識しており、社会福祉協議会と連携し、地域支えあい事業などの買い物代行や買い物同行に加え、民間事業者によるサービスを紹介するほか、移動販売業者の誘致を行うなどの実情に応じた支援を実施している。

半径500m圏内に生鮮食料品販売店舗がない地域はどのくらいあるか
【岡田議員】買い物弱者が生まれる要因は、一つは、買い物する側の高齢化、もう一つは、郊外に大店舗が進出する一方、商店街などの衰退、団地などに併設の店舗の閉鎖、地域の生鮮品、日用品などを販売する小規模小売店舗が減少するなど、近くで日常的な買い物ができないという買い物環境の変化です。
 市民経済局長にお聞きします。この5年間で飲食料品小売業はどう変化していますか。半径500m圏内に生鮮食料品販売店舗がない地域はどのくらいあるかについて把握していますか。
 地域振興の観点から、地元の商店街や小規模小売店が地域と連携し、買い物弱者支援を行うことで、消費喚起につながる経済効果が期待できます。販売先の確保によって地域の商店の活性化や地産地消につながる可能性はないでしょうか。地域の商店が元気に商売を続けられるように支援することが、結果的に買い物弱者の解決につながります。
市民経済局として買い物弱者支援の意義についてどう考えますか。

飲食料品小売業は、2012年の4,891から2016年の4,597へ4年で294(約6%)減少(市民経済局長)
【中田市民経済局長】買い物弱者に対する支援は社会的な課題であり、こうした課題への取り組みは大変重要であると認識している。
 経済センサスによると、市内の飲食料品小売業の事業所数は、2012年は4,891事業所、2016年は4,597事業所と、4年間で294事業所、約6%の減少となっている。
 そうした状況の中、商店街においても、生鮮食料品を取り扱うマルシェなどを定期的に開催しているほか、地域ごとの状況に合わせてNPO法人、福祉団体、民間事業者など様々な主体が、買い物弱者支援に取り組んでいる。

買い物弱者対策としての移動販売などに市独自の援助を
【岡田議員】市内のある地域には、築40年前後となる4つの公営住宅が集中し、合わせて717世帯1400人を超える方が生活しています。10数年前に近くのスーパーとコンビニエンスストアが撤退し、一番近い生鮮食料品のあるスーパーまでは約1キロです。高齢者の足では30分以上かかることがあり、買い物弱者の高齢者が多く居住しています。
 買い物支援を考える市民有志でアンケートを行ったところ、暮らしで困っていることに「買い物」を上げる方が多く、移動に時間がかかる、持ち運びが大変、体調が悪いと出かけられない、など切実な声が聞かれました。独居の高齢の男性は、「風邪をひき、出かけられず、食料が底をついてどうなることかと思った」と体験を話されました。
問題意識を持つ町内役員と住民、移動販売の経験のある事業所、地域支え合いを担当する区社会福祉協議会とで話し合いの場をもち、団地敷地内で買い物できるような移動販売を試験的に始めることになりました。今年夏に行った第一回移動販売は、広報に力を入れたこともあり、200人を超える参加で大いに賑わいました。
 しかし、日常的に生鮮食料品を購入するならば、毎週開催したいという思いがありますが、日時や場所の問題、役員の負担、赤字が出ない程度に客が確保できるかなど悩みもあり、しばらく立ち止まっていましたが、少なくない高齢者から、再開してほしいとの声があり、再度2か月間、週1回で再開することになりました。
 一人では、離れたスーパーに行くことができなかった高齢者が、団地内の移動販売まで毎週歩いて買い物に来れる、また、買い物を通して、新たな交流ができるなど買い物に伴う心身の変化がみられ、町内役員さんのやりがいにも繋がっています。
 しかし、継続に不安もあります。そもそも、購買力の低い地域での販売であり、お客さんを確保するまでは、赤字になります。商品の選択、販売方法の工夫などは業者が、宣伝やお客さんの呼び込みなどは町内会、社協で分担したとしても、開始当初の売り上げは不安定です。開始当初の不安定な状況を少しでも緩和できる仕組みが必要と考えますが、そのような仕組みがありません。
 北九州市では、移動販売や朝市の日は、たくさんのお客さんに来てもらうため、のぼりやワッペン、エコバック等を住民の支え合い団体に交付し、宣伝効果を上げていると聞きます。市民経済局長にお聞きします。移動販売を始めた地域からは、宣伝や広報に力を貸してほしいというのが今一番の声です。地域の取り組みを支える一つとして、宣伝効果を期待し、移動販売でも使える「のぼり」等交付することはできませんか。
 経産省がまとめた「国、地方公共団体による買い物弱者支援策」の中に、名古屋市市民経済局の取り組みとして、「商店街魅力アップ支援事業」があります。この事業は、商店街の魅力を高めることで地域のコミュニティの活性化や地域経済の活性化を図る事業であり、商店街の中での取り組みに限られています。
 しかしながら、名古屋市郊外や、区画整理の地域では、商店街がない場合もあり、同様に買い物に困難を感じる高齢者も増えています。
 NPO法人等や福祉団体などが地域と連携して食料品や日用品販売などで地域の課題に取り組む場合も、支援事業の対象にすることはできませんか。お答えください。

地域の実情に合わせたきめ細かい支援を行う(市民経済局長)
【市民経済局長】商店街と福祉団体等が連携して買い物弱者支援に取り組む場合は、のぼりなどの作成をふくめ助成をするなど、地域の実情に合わせたきめ細かい支援を行っていく。
 市民経済局、健康福祉局、住宅都市局、社会福祉協議会からなる「買い物弱者への対応に関する検討会」を定期的に開催し、半径500m圏内という農林水産省の基準に関わらず、買い物に困っている地域の具体的な状況や移動販売を行う事業者などの情報を共有するとともに、地域と事業者との橋渡しをしている。
 市民経済局では、ヒアリング等により幅広く買い物支援サービスの情報の把握に努めるとともに、商店街の有無に関わらず、民間事業者に対し、移動販売や電話・FAXによる宅配サービスなどの取り組みを働きかけている。

買い物弱者対策を推進する仕組みが必要(再質問)
【岡田議員】買い物弱者への支援について、答弁から「高齢者は増えて、生鮮食料品を扱う店舗は減っている」と、数字の上でも深刻な事態が進行していると示されましたが、地域の皆さんはすでに肌で感じている事実です。
 答弁から、要介護者を除いた4.9%の高齢者、およそ2万2千人の高齢者が買い物に困っていることがわかりました。そして、健康福祉局は「生活支援にかかる協議体」を作り、実態把握に努めている、市民経済局は課題のある地域と事業者との橋渡しをしているということでした。こうした取り組みが始まったことは重要です。
 市長に伺います。生鮮食料品などの店舗の撤退が、高齢者の行動に与える影響は深刻で、地域の支え合いや個別支援で支えきることはできません。商店の減少、買い物弱者、公営住宅に高齢者が多く集中するような街つくりでいいのか、この問題を市全体の課題と捉えるべきだと思います。
 買い物弱者の全体像や関連性を明らかにせずに、対策は打てません。各局の情報共有という段階から進んで、多くの問題が内在する「買い物弱者対策」を推進する仕組みをつくり、全市的に実態調査する必要があります。市長に見解をお聞きします。

実際に困っている人を応援しないといけない(河村市長)
【河村市長】当局は十分やっているという話らしい。組織を作って丁寧にやっていると。
 シンガポールでは、ガバメントテクノロジーと言って、買い物や通院などITを結んで商売になるほどの仕組みを相当やっているそうだ。
 アメリカでは、インスタカートといって、買い物難民の世話をして、売る方の情報も入れて、一気にすすめていく。ビジネスで行うので早い。そちらの方の事業者が入ってすすめるのを研究する、早く声をかけるように言っている。
 調査ばかりしていてもしょうがないので、実際に困っている人を応援しないといけないので、それをすすめたい。期待しとってちょ。

地域での取り組みをまとめ、広く市民に周知を(意見)
【岡田議員】商売が活性化することと、買い物弱者の対策は関連している。
 健康福祉局、市民経済局、住宅都市局など市の内部で検討会をはじめ、ネットワークをつくって取り組んでいる。検討会が年2回開かれているそうですが、地域の取り組みの事例が上がっているのだから、事例集にして市民のものにしてほしいと思う。事例集にまとめて、市民に知ってもらうためにホームページで公開するなど広く広報してほしい。要望します。
 総務省の報告では、課題を挙げているというものですが、買い物弱者に特化して警笛を鳴らしているのは重要です。来年消費税10%の引き上げは、この問題に拍車をかけるものでとても認められない。地域の支え合いは、行政の支えがあってこと発揮できると思うので、しっかり取り組んでいただくことを要望します。

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