2017年6月定例会

山口清明議員の個人質問 ①市長もヒバクシャ署名を(2017年6月26日)

「核兵器禁止条約」を踏まえた本市の取り組み
―ヒバクシャの願いに応えるために―
山口清明議員

平和首長会議に加盟する都市として ヒバクシャ署名にサインを
【山口議員】核兵器の廃絶は唯一の戦争被爆国である日本国民の悲願であり、ヒバクシャの切なる願いです。
 名古屋市会は、いまから54年前、1963年(昭和38年)9月定例会で「名古屋市平和都市宣言」を決議し、「名古屋市は、原水爆の脅威から免れ全人類の平和と幸福を熱望する全世界の人々と相より相扶けて、人類永遠の平和確立のため努力する。」と宣言しています。

名古屋市平和都市宣言     昭和38年9月18日 名古屋市会
世界恒久の平和を希求し、子孫に恵沢を確保するのは、全人類の悲願であり、われらが戦争を永遠に放棄したのも、この人類普遍の原理に由来する。
名古屋市は、原水爆の脅威から免れ全人類の平和と幸福を熱望する全世界の人々と相より相扶けて、人類永遠の平和確立のため努力する。
右宣言する。

 広島・長崎への原爆投下から72年、いま「核兵器禁止条約」の締結交渉が進んでいます。6月15日から再開された国連の会議では最終日の7月7日に向けて、核兵器禁止条約の採択をめざす活発な議論が交わされています。国連加盟の多数の国々による核兵器禁止条約の実現は、たとえ最初は核保有国の参加がなくとも、核兵器廃絶への大きな歴史的一歩になります。前文と21の条項から構成された条約草案には三つの特徴があります。
 第一に、核兵器の非人道性を強調し、核兵器に「悪の烙印」をはっきり押します。核兵器のもたらす非人道的影響を深く憂慮し、どのような状況下でも再び核兵器が使われることがないようあらゆる努力を行う、としています。核兵器の使用をはじめ、開発、製造、保有、配備、実験的爆発などを禁止します。
 第二に、核保有国への条約参加にも道を開いています。会議に参加した広島の松井一実(まついかずみ)市長は、「将来、核兵器に依存する国々が加盟できるための工夫が凝らされていることも平和首長会議の主張と合致している」と評価しています。
 そして第三に、被爆者への敬意が示されていることです。草案前文には「核兵器使用の犠牲者であるヒバクシャの苦難を心に留める」「核廃絶に向けてヒバクシャが行っている努力を認識する」と二カ所でふれています。長崎市の田上富久(たうえとみひさ)市長から「核兵器の禁止を見届けたい、との被爆者の思い」が伝えられ盛り込まれた、とも言われています。被爆者の苦しみや願いをきちんと受け止め、言及しているこの条約草案を私も心から歓迎したいと思います。
 問題はこの条約に対する日本政府の姿勢です。会議に参加すらしない政府の対応に被爆者の藤森俊希さんは演説で「心が裂ける重い」と語りました。核兵器禁止条約に背を向けていては、平和を希求する国際社会の中で名誉ある地位を占めることはできません。
 だからこそ、いま、平和首長会議に加盟する各都市からの運動が大切です。松井広島市長の発言をもう少し紹介します。
 「新条約採択後の課題は・・・現に交渉に参加していない核保有国とその傘の下にある国の条約締結を促進することです。
 このために、条約締結国と幅広い市民社会の諸団体が協力して、核保有国やその同盟国に対して、核兵器の使用は人類全体の危機を招くだけでなく安全保障に何ら役立つものではないことを周知するとともに、新条約が実効性のあるものとなるよういっそうの努力をしていく必要があります。」
 核抑止力論にしがみつく政府への率直な指摘に、私も共感します。
 核兵器禁止条約の締結は、本市も加盟する平和首長会議が2003年秋に策定した「2020年までの核兵器廃絶をめざす行動指針=2020ビジョン」の目標の一つに掲げてきた課題です。
 世界中の都市と市民の共同が国際社会をここまで動かしてきました。この平和首長会議(162か国、7,355都市、国内1,671都市が加盟)がこの夏、4年に一度の総会を長崎で開催しますが、核兵器禁止条約締結直後の総会となる可能性が高くなっています。そこでまず河村市長に3点、質問します。
 ①今年の平和首長会議の総会に市長自ら出席する考えはありませんか。
 ②核兵器禁止条約の締結に向けて、または日本政府に交渉参加をよびかける、何らかのアクションを市として起こす考えはありませんか。
 ③草の根から世論を広げることが核兵器のない世界をめざす運動の基本です。いま平和首長会議も賛同するヒバクシャ国際署名が取り組まれています。「被爆者は、すみやかな核兵器廃絶を願い、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを、すべての国に求めます」という一項目だけの署名です。長崎、広島の両市長は被爆者と街頭にも立ってこの署名をよびかけています。県内でもすでに20をこえる首長がサインしています。市長、あなたも署名にサインし被爆者の皆さんを励ましていただけませんか。

空襲被害者への補償の精神でやっていきたいが、ちょっと考える(市長)
【市長】名古屋は空襲被害者の補償をやり、国をリードしとります。核兵器ではありませんが。一般空襲被害者へ補償した精神でやっていきたいと思いますので、まあちょっと、考えさせてちょうだい。

健診費用助成や健康管理手当の支給、二世健診の拡充や医療費助成などの拡充を
【山口議員】いま、ヒバクシャの活動が国際社会にも共感を広げています。国は都道府県を通じて被爆者援護法にもとづく施策を行っていますが、いまだに原爆症をめぐる裁判がいくつも闘われているのが実態です。
 さて、本市の被爆者援護施策はどうなっているでしょうか。今年3月31日時点で、名古屋市内の被爆者健康手帳保持者は781人。平均年齢は79歳。今年度の被爆者援護予算は1702万円。そのうち33万円が名古屋市原爆被爆者の会への補助金、残りの1669万円、98%は福祉特別乗車券の交付です。
 被爆者健康手帳保持者は10年間で405人減り、予算は10年間で900万円減っています。高齢化し、闘病中の方が増え、その活動も困難さを増しており、被爆者の年齢に見合った援護施策への拡充が課題になっています。
 他都市の援護施策はどうか。東京都や神奈川県、横浜・川崎・相模原の各政令市では、被爆二世の方へ医療費を助成しています。
 愛知県では昨年度把握できた被爆二世684人うち305人が健診を受けていますが、医療費の助成はありません。愛知県の制度紹介には、「(被爆二世の方への)健診内容は被爆者健康診断とほぼ同様です。ただし、がん検診はありません」となっています。これで十分なのでしょうか。
 県下の一宮市や春日井市、岩倉市、愛西市などでは、広島・長崎への受診旅費の支給制度があります。被爆の影響によるガンの早期発見や治療に活用されており、犬山市も今年から「原子爆弾被爆者検診旅費助成金事業」を始めました。
 また名称や金額は異なりますが、県下では日進市、弥富市、安城市など少なくとも10の自治体が被爆者手当、健康管理手当など、政令市では横浜市が援護費として、それぞれ支給しています。
 被爆者の全てが65歳以上になってもう7年。福祉特別乗車券の交付が予算の9割を占める本市の施策も発展的に見直す時ではないでしょうか。
 そこで健康福祉局長に質問します。他都市の制度も参考に、健診費用助成や健康管理手当の支給、二世健診の拡充や医療費助成など、本市の被爆者援護施策を拡充すべきではありませんか。

被爆者及び被爆二世への援護施策は 国でなされるべき(局長)
【健康福祉局長】本市における被爆者に対する接護施策として、昭和43年より被爆者団体への補助を、昭和53年より福祉特別乗車券の交付を実施している。今後もこれらの事業を継続したいが、基本的には、被爆者及び被爆二世の方への援護施策は、国でやるべきものです。

市長は「国に先んじて」、局長は「国でやるもの」…このギャップの解消を(意見)
【山口議員】市長からは、あっさりした答弁でしたが、天守閣を「平和のシンボル」と強調したことと比べると、ほんとに寂しい答弁だなと感じます。
 そんな中でも、国に先んじて空襲被害者の方に支援をすると、国に先んじるという姿勢を市長が示された、ところが健康福祉局長、被爆者援護の話は基本的に国でやるものだと答弁でした。このギャップ、埋めていただきたいと思います。

被爆体験の継承への対策を
【山口議員】被爆者のみなさんの願いは、被爆者援護の充実と被爆体験の継承、そして核兵器の廃絶です。市のわずかな補助金も活用して、原爆絵画展や原爆パネル展、原爆犠牲者を偲ぶ集いを開いています。被爆者の高齢化が進むもと、市として被爆体験の継承等の活動にもっと手を差し述べていいのではありませんか。
 総務局長にうかがいます。たとえば被爆パネル展を被爆者団体と共催するとか、被爆者の証言を聴く会を主催するとか、名古屋から被爆体験の継承を柱に、核兵器廃絶に向けた取り組みをもう一歩すすめませんか。

資料館で、愛知県民による当時の広島・長崎での被爆体験談を放映する(局長)
【総務局長】愛知県と共同で「愛知・名古屋 戦争に関する資料館」を開設し、寄贈品を中心とした戦争資料の常設展示・戦争体験談の放映等を行い、平和について考える機会を提供している。被爆体験の継承は、資料館で戦争体験談の放映に加えて、愛知県民による当時の広島・長崎での被爆体験談を放映することを予定している。

何を、いつから放映するのか。PRにも積極的に取り組め(再質問)
【山口議員】局長から「愛知県民の被爆体験談を戦争に関する資料館で放映する予定」との答弁がありました。一歩前進です。もう少し聞きます。
 何を放映するのか、いつから放映するか。せっかくの放映ですのでPRにも取り組んでいただきたい。スタートにあたり、ささやかだがセレモニーを開き市長や被爆者の方々も招待し、これからこういう取り組みを始めますとPRしたらいかがですか。夏までに始めるべきだと思います。7月23日に市内で原爆犠牲者をしのぶ集いが開かれます。核兵器禁止条約の国連会議は7月7日が最終日です。こういうことも踏まえて、いつ、どういう形で、どんな風に放映するのか。

愛知県在住の方の体験を、夏ごろをめどに放映する(局長)
【局長】戦争資料館での被爆体験談は、当時、広島・長崎で被爆し、現在、愛知県在住の6名の方に自身の体験についてお話いただいた内容を放映する予定です。
 放映時期は、夏頃を目途に放映できるよう、調整を進める。セレモニーまでは予定してないが、放映に当たっては被爆者の方々にもお知らせをしたい。
 戦争資料館では、チラシやホームぺージ、広報なごや等を活用した広報を日頃より行なっている。市政情報番組を活用するなど、積極的な広報を行い、来館者を確保し、多くの皆様にご覧いただけるよう努めたい。

平和首長会議の紹介コーナーを。局長にもぜひ放映を見ていただきたい(意見)
【山口議員】ぜひ成功させていただきたい。「戦争に関する資料館」にも被爆体験の放映とあわせて、ぜひ核兵器廃絶に取り組む平和首長会議の紹介コーナーを設けていただきたい。平和首長会議には愛知県下54自治体中、本市をふくむ52自治体が加盟しています。
 健康福祉局長にもぜひ放映を見ていただきたい。証言を直接、聞いていただいたうえで援護策の拡充についてあらためて議論しましょう。

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