2014年2月議会

さはしあこ議員の個人質問①障がい者差別禁止法の具体化を(2014年3月5日)

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障害者差別解消法を踏まえた取り組みについてさはし演壇 s

差別解消へ、市はどう取り組むのか
【さはし議員】はじめに、障害者差別解消法を踏まえた本市の取り組みについておうかがいします。
 2006年12月、国連総会において障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)が採択されました。
 障害者権利条約は、「障害者の基本的人権の促進と保護」「障害者の固有の尊厳の尊重を促進すること」であり、制定する過程で、当事者及び団体が参画したこの条約は、すべての障害者の思い「私たち抜きに私たちのことを決めないで」のスローガンが見事に生きた、当事者本人たちで作り上げたものとなっています。
 2001年に日本政府は、「国連から障害者に関するあらゆる種類の差別を禁止する法律を制定すること」との勧告をうけていました。2007年9月に日本は条約に署名しましたが、障害者権利条約の批准に向けては、国内法の整備を進めること、実効性のある差別解消法制定が不可欠な課題でした。
 障害のある当事者が過半数を占める障害者制度改革推進会議などを軸として、障害者関連法制の見直しが図られ、2013年6月には「障害者を理由とする差別解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が成立し、障害者権利条約を締結する条件が整ったことから、2014年1月障害者権利条約が批准となりました。
 今後、条約締結後の取り組みとして、「障害者の権利の実現に向けた我が国の取組の一層の強化」と「人権尊重について国際協力の一層の推進」が期待されています。
 そこで、健康福祉局長におたずねします。
 昨年6月に成立した障害者差別解消法について、名古屋市はどのように受け止め、どのような取り組みを進めていくのか、お答えください。

職員が率先して理解を深め、普及・啓発活動等に取り組む
【健康福祉局長】障害者基本計画が、今年度、計画の最終年度を迎えたことから、新たに、26年度から始まる第三次の「名古屋市障害者基本計画」の策定を進めてきた。
 その中で、今後、重点施策の一つとして、「障害を理由とする差別の解消の推進」を掲げ、障害者差別解消法の趣旨を踏まえて、必要な施策の検討を行う。
 まず、26年度は、「地方公共団体職員等対応要領」を策定し、市の職員が率先して障害や障害者の理解を深め、障害のある市民の方に適切に対応するよう全庁的に取り組みたい。さらに、講演会の開催等を通じて市民への普及・啓発活動等の取り組みを進めていく。

一人ひとりの声を集め、より良い施策に
【さはし議員】2012年11月議会で、私たち名古屋市会は「差別禁止に関する法制度確立を求める意見書」を採択し、国会と政府に対してあげています。差別部会の意見を最大限尊重することや法策定過程においても、障害者権利条約の理念を踏まえ、差別禁止部会の参画を図ることなどを要望したものですが、自治体の責任においても、差別のない社会をつくることが必要と考えています。 現在、政令市であるさいたま市を含む6道県1政令市2市が障害者に対する差別をなくす条例を制定しています。今後、さらに自治体での条例化が広がると思われます。実質的に差別をなくすということを自治体が責任を持って、具体化していくためにも、条例化を名古屋市も見据える必要があると思います。
 名古屋市は、障害福祉施策や障害福祉計画策定の際、パブリックコメントや無作為抽出によるアンケート調査を13,800人に対して実施しています。その中に「障害や障害者への理解」という問いがあり、それぞれの障害の種別ごとに「差別の有無」を聞くものです。「差別」と言っても、本人が差別と気づかなかったり、あるいは、自分から差別を受けたことを言い出しにくかったりということも考えられます。
 例えば、このようなことを配慮した調査を行ったところが、さいたま市です。さいたま市では、『誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例(ノーマライゼーション条例)』の制定に向けて、当事者、団体、行政、市民をまきこんだ取り組みを行いました。市民ヒアリングシートを配布し、「辛かったこと」「悲しかったこと」「苦しかったこと」というような言い回しに換えて、思いのままにあげてほしいと呼びかけた結果、「障害者差別と思われる事例」が521件集まりました。このように、ちょっとした配慮によって、自分が感じた率直な気持ちを語ってみようと思えるので
はないでしょうか。
 また、「辛かったこと」「悲しかったこと」「苦しかったこと」が、どうしたらなくなるのか、改善するにはどうしたらよいかを同時に提案してもらっています。シートに記入された一人の方は「火災警報器を天井につけたが、耳が聞こえないため、音ではわからないので逃げおくれます。光をつけてほしい。」というものでした。私は、先日、緑区で開かれた「区民の安心と安全を考えるつどい」で上映されたドキュメンタリー映画を思い出しました。東日本大震災の障害者の方たちの被災した現状を当事者自身が語るというもので、そこでは「障害者の死亡率が住民全体の2倍以上にものぼった。避難誘導する際の情報伝達が、それぞれの障害に合った形で適切であったかが問題」という課題が浮き彫りになりました。
 何よりも私が辛かったのは、障害者だからといって、いのちをあきらめたくないのに「もう、あきらめましょう。」と、同じ人間であるのに、「障害者だから」と言わせてしまったことでした。先ほど紹介した聴覚障害の方も災害時に同様なことが起こりえないとはかぎりません。一人ひとりから、声を集めるという取り組みが本当に大切だと思いました。
 また、さいたま市は、平成22年から「『障害者も健常者も共に地域で暮らせるノーマライゼーション条例』検討専門委員会」、市民が主体となった「条例について話し合う100人委員会」を設置し、1年間かけて議論をしました。100人委員会は、どなたでも参加したい方すべてがいつでも参加できる形式で12回開かれ、他にも、シンポジウムや各区でのタウンミーティングも開催したそうです。生活していくうえで、さまざまな場面において、実際に当事者と向き合う関係団体からのヒアリングも行っています。さいたま市の取り組みのように、切実な実態、声など個別事例を多く集め、当事者本人から改善策を提示していただき、課題を明らかにし、さまざまな観点から議論・整理分析し、わかりやすく具体的に内容を示すことが、施策を、より日々のくらしに生かすことにつながると思います。
 このように、まずは、一人ひとりの声を集めることが必要ではないでしょうか。本市にとっても、今後の差別解消のためのしくみづくりを進めていくための重要な取り組みであると考えますが、いかがお考えですか。

障害者やそのご家族の方々の意見を聞き、反映させることが重要
【健康福祉局長】障害者施策の推進には、障害者や家族の意見を聞き、反映させることが重要であり、様々な障害者団体や障害者の方の参加する障害者施策推進協議会や、障害者団体で組織する団体連絡会等において意見を伺っている。 障害者差別解消の取り組みにおいても、より多くの声を集めることが大切であり、障害者や関係者の意見を伺った上で、進めたい。

公共施設などにアンケート用紙を置いてみては(再質問)
【さはし議員】障害者差別解消法を踏まえた本市の取り組みについて再度おうかがいします。
 26年度に、市の職員が障害者差別解消法に対応するための「対応要領」を策定していくとのことでした。市長を先頭に、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。また、施策を進めるにあたり、「当事者やそのご家族、関係者の意見を反映していくことが重要であり、関係団体や当事者から意見を伺っている」とのご答弁もいただきましたので、つくるプロセスにおいて当事者と共同して、一緒につくりあげていくと受け止めさせていただきました。
 それでは、せっかく一緒につくりあげるというのであるならば、どのようなことをつらいと感じるか、障害のある方もない方もすべての市民のみなさんに、「これは差別かもしれない。こんなことはどうなのかな。」など、日ごろ感じていることを具体的に書いてもらってはいかがでしょう。差別をなくすことについて考える機会となり、また、すべての市民のみなさんが何を差別と考えるか、当事者との意識の違いを明らかにし、共通認識にしていくことにもつながると思います。
 健康福祉局長におたずねします。市民がよく訪れる区役所をはじめ、スポーツセンター、図書館など公共施設などに、自由に記載できるアンケート用紙を置いてみてはいかがでしょうか。

より効果的な方法について検討したい
【健康福祉局長】幅広い市民の方の意見を聞くことが必要であると考え、具体的な方策は、障害者施策推進協議会等で障害者や関係者の意見も伺う。公共施設へのアンケート用紙の設置も含め、より効果的な方法について検討したい。

第一歩となる取り組みを(意見)
【さはし議員】世界中の障害者のみなさんの合言葉「私たち抜きに私たちのことを決めないで」このフレーズこそが、障害者施策をつくる原点であると思います。その精神を本市でも生かし、障害のある人もない人も、すべての市民が、ともに地域で暮らすことができる名古屋市となるため、差別解消法への第一歩となる取り組みを充実していただきますことを要望して、質問を終わります。


 

 

 

 

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