2013年2月定例会

さはし あこ議員の個人質問 学童保育の拡充を(2013年3月7日)

 放課後の子ども施策について

放課後子どもプランモデル事業からトワイライトルームへの移行

 トワイライトルームの本格実施をやるような現状か

【さはし議員】来年度予算案には、トワイライトスクールと留守家庭児童健全育成事業である学童保育を一体としたトワイライトルームの予算が計上されています。放課後子どもプランモデル事業が実施されている広路小学校と同じ学区内にある広路学童保育クラブを先日訪ねました。広路小学校のモデル事業の登録児童数は、7.3人とわずかであり、一方、広路学童保育クラブの登録人数は、32人と多くなっています。同じ学区の子どもたちが、モデル事業よりも学童保育の方に何倍も多く通っています。このような現状があるにもかかわらず、トワイライトルームの本格実施を進めていくおつもりですか。

調査の結果、相当のニーズがあるとして実施

【子ども青少年局長】モデル事業の検証結果を踏まえて本格実施するトワイライトルームは子育て家庭のニーズ等を踏まえて順次実施する。ルームの実施校を選定するうえでは、まず当該小学校の保護者を対象としてニーズ調査を実施しており、広路小学校においても同様にニーズ調査を実施した。その結果、広路小学校では、希望する方が43.3%と、希望しない方の2倍近い状況であり、17時以降の延長時間帯の利用を予定していると回答した方が21人いた。留守家庭児童育成会の登録要件が、利用予定者が10人以上いること、を勘案すると、相当のニーズがあると平成25年度からトワイライトルームを実施した。

 トワイライトルームの実施は見送りを

【さはし議員】広路小学校のモデル事業では、児童は、授業が終わったあと、プレールームとライフルームに分けられている学校の空き教室で過ごすことになります。運営指導員さんからお話をお聞きしましたが、子どもにとっては、学校の中は学校であり、学校から家という切り替えはなかなかうまくいかないそうです。また、遊び場であるプレールームと生活の場のライフルームの二教室を利用目的に分けて使うことになっていますが、子どもにとってはどちらも同じ教室には変わりはないと思います。子どもたちには区別をするように、お約束として守らせているそうですが、低学年の子どもたちにとっては、頭の切り替えは難しいのではないでしょうか。放課後の自由な時間まで、この教室は使ってはいけない、こちらからは入ってはいけないなどと、まるで学校の規則に縛られているような感じで、はたして子どもたちが本当の放課後として、のびのびと過ごすことができる場といえるでしょうか。話を聞き終わり、帰ろうとしたとき、ライフルームと名付けられた部屋をながめてみると、広い教室の真ん中に、まだ保護者のお迎えが来ない児童がひとり、子ども指導員さんとぽつんといました。学校は、たくさんの児童が元気に飛び回っているものです。暗くなってからの学校は怖さを大人でも感じるものです。そのようなところで、親を待っている子どもはさみしくないのだろうかと心配をしてしまいました。モデル事業については、さらに検証が必要だと思います。今の段階では、トワイライトルームの実施は見送ったらいかがですか。

 

小学校ごとの子育て家庭のニーズ等を踏まえて順次実施する(局長)

【子ども青少年局長】モデル事業は平成21年度から実施、「モデル事業推進委員会」で検証・評価を行い、平成23年3月に報告書をまとめた。モデル事業は利用者のニーズに概ね合う形で実施されているなどの評価をいただき、平成25年度より、トワイライトルームとして本格実施し、そのための準備経費を平成24年度予算として議決された。トワイライトルームは小学校ごとの子育て家庭のニーズ等を踏まえて順次実施していくので、子どもや保護者のニーズに応じた選択肢を確保することは順次出来ていく。

 広路小学校で希望者21人というが23年度の利用実績は何人か(再質問)

【さはし議員】トワイライトルームへの移行について子ども青少年局長に再質問します。答弁では、広路小学校において、トワイライトルームを実施した場合の希望者は21人とのことですが、実際登録している児童は7.3人です。それでは、平成23年度の利用実績は何人ですか。

 1日あたりの平均参加児童数は4.1人(局長)

【局長】平成23年度の1日あたりの平均参加児童数は、少し上がりまして4.1人ということです。最近も少しづつ上がっている。

 実際の利用者はどうして少ないのか(再々質問)

【さはし議員】希望者は21人と多いけれど、実際の利用者は、上がってはいるものの、少ないのが現実ではないですか。どうしてだと思われますか。

 改善点が気に入ってもらえた(局長)

【局長】ルームを本格実施するときに、制度についてはかなり見直しまして、改善点が気に入ってもらえたのではないか。

 モデル事業より学童保育を利用したい保護者の声をどう受けとめる(再再再質問)

【さはし議員】モデル事業から学童保育へ移った保護者の方から、なぜ移ったかお話をお聞きしました。その方は、「働いているからなかなか外に子どもを連れ出すことができない。公園などで遊ばせたいが、モデル事業では、学校から外に出ることはできないし、一度出たら帰ってくることもできない。」と言われました。また「本当は、学童保育を利用したいが、利用料が高いためあきらめて、モデル事業を利用したお母さん方もいるのではないか。」とも言われました。モデル事業より学童保育を利用したい保護者の正直な声だと思いますが、局長は、こうした声をどのように受けとめますか。

学童保育のいいところはこれからも取り入れたい(局長)

【局長】そもそもトワイライトルームを設計するときに、それまでのトワイライトスクールのいいところと学童保育のいいところをあわせようというのが発想でしたので、学童保育のいいところはこれからも取り入れたい。

学童保育のほうが保育の質が高いから利用が多い(再再再再質問)

【さはし議員】学童保育の方が、ニーズが高いということは、保護者は利用料が高い学童保育であっても、生活費を工面してでもなんとかして子どもを預けたいと思っています。学童保育は、子どもたちがさみしくないように温かく受け止めてくれる仲間や指導員さんたちがいる第二の家庭です。先ほど紹介した学童保育に移ったお母さんは、「親の代わりに指導員さんが子どもの意志を尊重し、子どもの成長を見守ってくれ、保護者に伝えてくれたり、父母たち同士の交流により子育てを気軽に相談し、悩みを共有出来る場となっています。」と学童保育の良さを語ってくれました。このように学童保育は、保育の質が高いから、モデル事業よりも学童保育の方が利用している子どもが多いのではないですか。学童保育のいい面もあるとおっしゃっていましたが、お答えください。

改善に努めたい(局長)

【局長】ルームは本年度から新たにはじめさせていただく本格実施のものであり、まだ、いたらぬ点もあるかと思いますが、改善に努めてまいります。

 ニーズが低いトワイライトルームは見送れ(意見)

【さはし議員】トワイライトルームについては、ニーズが低いと言わざるを得ません。実施は見送るよう求めておきます。

 

学童保育の充実を

 緩和措置の廃止は撤回せよ

【さはし議員】新年度予算において、留守家庭育成健全事業の助成金が国の基準まで近づいたことにより、今まで差額を名古屋市が補完していた助成金を緩和するための措置の廃止を計上しています。名古屋市は「平成25年度予算要求の公開」に対して、市民のみなさんから意見を募集しました。701件の回答のうち留守家庭児童健全育成事業助成についての意見は、348件と約半数にのぼっています。「運営が厳しくなり、実際に運営できなくなってしまう学童も出てきている。通いたくても通えない子が増えて、その子はどこへ行けばいいのか。トワイライトスクールやトワイライトルームなど、役割が違うところでは、子どもたちをフォローできないため、緩和措置の廃止には反対である。」「緩和措置を廃止することは、在籍家庭に負担を求めるにとどまらず、入所希望者が金銭面で諦めざるを得ない状況を作り出し、子どもにツケが回ることにもつながりかねないため反対である。」などをはじめ、すべての意見が学童保育に対してもっと手厚く支援してほしいというものです。しかし、このような声があがっているにもかかわらず、緩和措置を廃止しようとしています。そのうえ市長は、提案説明で「事業継続の必要性が低下したもの」と説明しました。学童保育を頑張って運営している父母たちそして預けている父母にとって、この言葉は耐え難いものだと思います。緩和措置の廃止はやめてほしいという市民の声を受け止めて撤回すべきではないでしょうか。

 公平性の観点から全ての育成会に対して国基準どおりに(局長)

【子ども青少年局長】育成会への運営助成金は、平成22年度から国の基準に合わせたことで7割程度の育成会は増額となったが、約3割が減額となったため緩和する措置を行ってきた。しかし、緩和措置を実施してから3年が経過し、助成額の基準額自体を毎年増額しているため、減額幅が縮減されているとともに、緩和措置の対象となる育成会も、平成22年度は約3割だったが、平成24年度には2割弱、平成25年度には1割弱に減少した。緩和措置を継続する必要性が低下している。そのため平成24年度に緩和措置の額を2分の1に縮減し、平成25年度は廃止することとした。公平性の観点からも、平成25年度からは、全ての育成会に対して国基準どおりの助成内容とすることが適切である。

緩和措置廃止は納得できません(意見)

【さはし議員】緩和措置廃止の撤回については、国が助成金を毎年引き上げてきているならば、満額になるまで待つことができるはずです。廃止の対象は16か所で、1か所25万円です。苦しい運営を強いられている学童保育に25万円の助成金は大変な額です。緩和措置廃止は納得できません。

耐震化支援策としての家賃補助の恒久的な増額を

【さはし議員】私が訪れた学童保育所は広路学童保育クラブをはじめ4か所ですが、それぞれが、子どもたちが少しでもさみしさを感じないように、また、過ごしやすいようにとランドセルを置く棚を手作りされたり、部屋を飾りつけたり保護者や指導員さんたちがさまざまな工夫を凝らしているのがよくわかりました。一方、施設が古く、歩くと床がぎしぎしと鳴りそのうえ沈み、東海・東南海・南海の三連動地震が襲ってきたら、子どもたちの安全が守れないのではないかと不安に思いました。名古屋市は、新年度予算で「留守家庭児童健全育成事業の施設耐震化の促進」ということで、耐震診断費用の助成を計上しました。保護者や指導員さんたちは、以前から学童保育所の耐震検査や耐震補強などを希望していたので、子どもたちのいのちを守るためにも、まずは一歩踏み出したことは評価したいと思います。一方、現実は、改修が必要であると診断をされても、古い民家では改修費が数百万かかることになり改修は断念せざるを得ません。耐震されている施設に移転するのであれば、名古屋市は3年間家賃補助を増額するとしています。しかし、多くの学童保育所は、高い家賃が払えないため耐震化されていない老朽した民家を借りて運営しています。耐震済みの民家へ移転することで家賃が高くなり、家賃補助を増額されたとしても運営費のさらなる負担が見込まれます。3年間限りの家賃補助の増額では、不十分ではないでしょうか。本気で子どもたちが過ごす施設の安全を考えるのであれば、家賃補助は恒久的にし、さらなる増額を求めますが、いかがでしょうか。

一刻も早く安全な場所で運営できるよう、3年間で期間を限定(局長)

【子ども青少年局長】「名古屋市建築物耐震改修促進計画」に市有の建築物の耐震化率を平成27年度までに100%とすることを目標としている。この目標も踏まえ、留守家庭児童育成会の運営場所も、耐震化促進を早期に図るため、平成25年度予算で①耐震診断の実施、②耐震対策対応済みの運営場所に移転する場合の移転経費の補助、③家賃補助限度額の増額、という3つの支援策を講じる。家賃補助の増額は、耐震対策対応済みの運営場所への移転促進という速効性が期待できる支援策として、現行月額3万8千円の限度額を5万7千円まで増額した。3年間という期間限定としたのは、一刻も早く、全ての育成会が安全な場所で運営できることを目的としたからでます。全ての育成会の運営場所が 耐震基准を満たした際の家賃補助のあり方につきましては、あらためて検討したい。

土地や施設の確保は市が責任を持って

【さはし議員】学童保育所をつくってほしいというニーズがある学区でも土地や施設が用意できないことから父母たちの要望にこたえることが出来ないところが少なくありません。厚生労働省の平成24年放課後児童健全育成事業に関する調査では、公立公営40.3%、公立民営が43.0%であり自治体が設置している学童保育所は83.3%にものぼっています。本市でも学童保育所の土地施設設置などを市が責任を持って確保すべきではありませんか。お答えください。

 

今後も提供の呼び掛けや情報提供などの支援をする(局長)

【子ども青少年局長】留守家庭児童育成会に対し、運営助成制度により支援し、運営場所の土地の確保は育成会で行っていただいている。建物は、独自施策として専用室を設置し無償貸与し、育成会が民家等を賃借した場合には家賃を補助している。育成会に敷地や借家を無償貸与した方には、固定資産税及び都市計画税を減免している。育成会が新たな運営場所の確保が必要となった際には、これまでにも、土地や家屋の提供の呼び掛けを広報なごやに掲載したり、育成会からの問合せに応じて公有地に関する情報提供をしている。今後もこの様な支援を続けたい。

 土地や施設の確保は名古屋市が責任を持って(意見)

【さはし議員】家賃補助のさらなる増額については、全ての学童保育が新耐震基準を満たした際に、あらためて検討していただけるとのお答えをいただきましたが、学童保育が一番困っていることは土地や施設を見つけることです。土地や施設の確保は名古屋市が責任を持って行うよう要望しておきます。

 経験とノウハウが蓄積された長い歴史をもつ学童保育の拡充を(意見)

【さはし議員】学童保育は、1950年頃から、子育てをする親たちが働き続けるために、必要にせまられてつくり始めてきたものが、今ではなくてはならないものとして全国に広がってきました。父母と指導員のみなさんが子どもたちの安心の場を協働でつくりあげてきた長い歴史の中には経験とノウハウが蓄積されています。学童保育は、子どもを中心にして大人がつながってつくってきた文化です。子どもたちのためにも学童保育を守っていく施策をさらに充実させていくように要望しまして、質問を終わります。

 

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