わしの恵子議員の個人質問① 市民税減税条例案について

2011年9月14日
わしの恵子

■市民税減税を行うことが、なぜ、被災者支援につながるのか?

【わしの議員】通告に従い質問します。第1に、市民税減税条例についてです。

市長は、提案説明の中で、「10%減税は、過去2回の市長選挙において誰もが認めた明確な争点となり民意だ」と強調されています。しかし、本当にそうでしょうか。3月11日の東日本大震災、原発事故を受け、市民は、「被災者に対し、何かできることはないだろうか」「明日は我が身、名古屋市の地震、津波対策は大丈夫だろうか」「名古屋市は福井・浜岡原発から近いが大丈夫だろうか」という気持ち、不安が広がっています。ですから出直し市長選後の市民の民意は、明らかに「福祉・防災最優先の市政を」ということに変化したと考えるものです。

ところが市長は、「こういう時だからこそ、国の経済を復興させ、東北の人々を皆で応援する姿勢が必要であり、地方にあっては住民税を下げる方向に舵を切る勇気が求められている」と、述べていますが、私は、市民税減税を行うことが、なぜ、被災者支援につながるのか理解することはできません。

そこで質問します。3月11日の大震災・原発事故以降、市民の民意は、「福祉と防災のまちづくり」に変化していることについて市長の見解をお聞きします。

■民間経済を復興させない限り震災の救済はあり得ない(市長)

【河村市長】震災以後減税に対する考えがかわったのではないかということだが、むしろ増税は国策の失敗だ。地元は減税一色だ。これは当たり前のこと。苦しいときこそ税金下げて、民間の力をまず上げて、みんなの活力によって税金は払われるものだ。

あくまで民間経済の中から出てくる。民間経済を復興させない限り震災の救済はあり得ない。飢饉が起きた時に年貢を上げるのと同じだ。

相変わらず国が借金だと言っているが、ギリシャと日本の国債の違いも分からん人たちが借金だと言っているのは、復興を遅らせている最大の原因。国債の利率20%位、ぜんぜんわかっていない。市民には金がないが金融には余ってるから、今使わないかん。

■大企業・金持ち優遇減税案は、取り下げるべきではないか

【わしの議員】次に、市長の減税は「金持ち・大企業減税」ということについてです。市長は、「金持ち減税ではないかとの指摘がございますが・・・それは、「単一税率としているから」とご自分で答えています。市長自らが、この減税案は「金持ち減税・大企業減税」だということをはっきり認めているということにほかなりません。

実際、22年度の減税実績では、個人市民税の納税義務者数108万人の内、減税額が、年間でたった300円以下の方は約5万人、300円から1000円以下の方は約4万人、一番多いのが、5千円から1万円以下の方で約30万人であり、1万円以下が納税義務者の半分以上をしめます。

一方で、減税額50万円超える方は、400人程度と極わずか。なんと、最高額の人は、1千万円以上も減額されました。法人市民税はどうか。納税義務社、約9万の内、赤字企業で減税額5千円以下は約5万社で、半分以上を占めています。一方、減税額500万円以上は約100社で、最高額は2億円にも上ると推計されます。

まさに、22年度減税を実施した結果、市長の減税で恩恵を受けるのは大企業・大金持ちであり、多くの市民は、ほんのちょっぴりの減税にしかならないことが明白になりました。これでどうして、市長がいわれるように、「減税を実施することにより、家庭や企業の可処分所得が増え、市民生活の支援や地域経済の活性化にもつながる」といえるのでしょうか。

さらに、市長は、「減税の恩恵が薄い方々には、国民健康保険料の軽減や、予防接種費用の負担軽減、ワンコインがん検診、さらに10月からは中学生の通院医療費も無料にする・・・」と、数々並べていますが、これらの施策は、減税の恩恵が薄い方々だけに行うものではありません。中学生の通院医療費の無料については、今年度減税をやめたから実施できたのです。むしろ遅くなったことを反省していただきたい。国保料についても均等割り額の3%、1300円の減額は、確かに行われましたが、値上げ額の方が多くて高すぎる保険料に悲鳴が上がっていることご存じですよね。

それでも、市長は、市民だれもが減税になるかのように、「減税・減税!」と大宣伝をしているのですから、多くの市民は、「河村市長は、わたしたち庶民の味方」と誤解?をしても不思議ではありません。

市長、市長自身も単一税率だから・・と、言い訳をしなければならない。大企業・金持ち優遇減税を、何が何でもやろうというのは誤っています。いま市がやるべきは、先ほどもいいましたように市民の民意である「福祉・防災のまちづくり」です。ですからこんな提案は、取り下げるべきではないですか。お答えください。

■一律税率は、国の法律。バラまきではない(市長)

【河村市長】金持ち減税については、平成18年の改正の時に、民主党と共産党で反対した。市民税というのは3-8-10の累進課税だった。それを6%の対立税率に自民・公明が賛成しかわった。3-8-10も考えたが、一旦国の法律として6に決まったんだからそうせざるを得ない。

180万人の方に減税の効果が及ぶんだからバラまきではない。それも、総務大臣の許可がいるんで民主党の大臣2人から許可いただいている。

どっちかといえば行革減税ですね、地方税減税の仕組みは。国のように自由自在に法律変えて、赤字国債でどんどん減税という形はとれない。地方税の仕組みは非常に厳しい仕組みです。

■市長の言う行財政改革は、福祉を切り捨てること

【わしの議員】次に、市長の減税の財源作りについてですが、「減税による減収額を上回る行財政改革の取り組みを始める」とあるように、減税のために、さらなる福祉と市民サービスカットを押し付けるものではないのか危惧するものです。その手法も、いわゆる事業仕分けで市民参加という形をとり、「民主的」なポーズを装いながら、「敬老パス」や、休養温泉ホーム松ヶ島、中学校スクールランチ、市議会が2年連続して値上げをストップさせてきた保育料の値上げも、「公立保育所の運営」を持ち出して見直しをする。さらには、「小学校1・2年生の30人学級」も教育委員会は「学力の向上に大きく貢献している」と評価しているにもかかわらず、総務局は「国や県は35人学級だから」という理由で「あり方の検討」を求めています。国や県の施策を上回って住民本位の仕事をするのが地方自治体の役割ではないですか。にもかかわらず、市独自で行っているものまで否定をするのなら、市という自治体の役割は必要ないということになってしまいます。いま、市政報告会などで、「敬老パスが事業仕分けの対象にされている」と話をすると皆さん一様に声にならないため息というか会場がざわつきますが、それだけ敬老パスへの皆さんの願いが強いということだと思います。

そこで伺います。市長は、減税の財源は行財政改革で捻出するといいますが、敬老パスもターゲットにする事業仕分けをおこなうということですから、市長の言う行財政改革は、福祉を切り捨てることではありませんか。お答えください。

■福祉を切り捨てるという発想は一切ないが、改革は必要(市長)

【河村市長】福祉を切り捨てるという発想は一切ない。

ただ、改革は必要。是非皆さんの知恵をかりたい。2年半の私より長いことやって見える皆さんもみえますから、よりよい、必要な市民サービスを確保して、言い福祉サービスを広げていくよう、是非お願いしたいと思います。

そのために私は、やっぱり商売を盛んにしなかん。そんで納税者に喜んでもらって、来てもらって、福祉にあててく。減税は名古屋しかやらないから名古屋の魅力になる。「名古屋にきてちょう」と。ここにぜひ皆さんと一緒につっこんでいきたい。

ニューヨークでもロンドンでも行きゃあいいがね。「日本で一番税金安いぜ、商売やってちょ」って。ウェルカム名古屋でいいんだわ。そうやって福祉を充実させてかなかん。

■減税で家計が豊かになったのか?

市長は、震災復興のためにも、まずは国全体が元気になること、そして減税が民間経済を支えると言ったが、昨年度の減税の実績をみても、どうしてこれで家計が豊かになるのかわかりません。企業にしても、赤字企業が半分以上です。どうして経済の下支えになるのか、大震災の復興支援になるのかわからないのでもう一度聞きたいと思います。

■減税が全てではないが非常に有効な選択肢(市長)

【河村市長】減税が全てではないが非常に有効な選択肢だというのは紛れもない事実。反対に増税は、例えば消費税1%上げるとGTPが0.4下がるという試算もある。

平成18年に国がわざわざ変えた。これは共産党以外、自・民・公全部が賛成した。

その時の議論の「全国同じ税率はおかしいのでは?競争すべきでは」が議論され、そうなったんです。名古屋が引き金を引いて、ちょっとでも商売やる人が豊かになるように努力することが減税の精神です。

■可処分所得を増やし、町の経済の活性化に

【わしの議員】減税が全てではないとおっしゃり、消費税の増税にもふれられました。私も消費税の増税は大反対です。その点だけは一致すると思います。

本当に減税の恩恵を受ける人が少ししかいない。可処分所得を増やしたいのは皆さん同じ。

家計や企業の可処分所得をふやすには、改めて提案します。高すぎる国保、介護保険料、保育料の値下げ、こうやって多くの市民の暮らしをささえることが可処分所得を増やし町の経済の活性化につながる、そうではないか。

■それも一つで、努力している。まず減税からスタート(市長)

【市長】それも一つですよ。水道料金も下げたし、国保の保険料も下げて努力してるじゃないですか。

だけど税金を減らすというのは、税金は権力的に取るものだから、それを下げるのは、庶民の権力に対する戦いそのものなんです。

ここからまずスタートしなかん。全てだとは言いませんが。

■補助金削減や民営化をすすめて、福祉削減ではないといえるのか

【わしの議員】何度言っても同じですね。市長は減税のために福祉は切り捨てないと言われたが、「福祉にも無駄がある。福祉の構造自体変えていくのが私のねらい」と、昨年の減税の時に様々な福祉を切り捨ててきた。

「タイガーマスク運動」で話題となった、児童養護施設の子どもたちの海水浴などへのわずかな補助金も減税の財源作りと削り、さらに、子ども会の中津川キャンプ場を廃止し、城西病院は民間に売り払い、緑市民病院も民間に委託し、お産ができない病院にされました。公立保育園の民営化もすすめています。

それでも市長は、減税の財源作りのため福祉削減は行わないと言えるのですか。私は、可処分所得を増やし、家計や企業を応援するならば、まずは高すぎる国保料や介護保険料の引き下げや保育料の値下げなど多くの市民の暮らしを支えることだと考えますが、お答えください。

■なんでも聖域では市民を守ることにならない(市長)

【河村市長】それは一定の改革が必要で、北区の西部医療センターの患者は増えているとと聞きましたよ。

市民の皆さんに喜ばれていれば改革もいいことじゃないですか一切なんでもかんでも聖域にして、一切触るなってのは市民を守ることにならないと私は思う。

■福祉・防災最優先の名古屋市にするため全力尽くす

【わしの議員】私は西部医療センターを批判していない。緑市民病院を頼っていた人たちに、大変な不便を生じているから問題にしたのです。

市長の減税論は何度も聞いてきたが、やはり理解できません。

日本共産党は、市長の減税案に対して、前回提出された大業優遇減税ではなく、低所得者に手厚い減税をと、修正案を出しましたが、今回は3月11日の大震災を教訓に、いま市政がやるべきは、市民の願いに応えて、減税よりも「福祉防災のまちづくり」と考えます。また、現下の経済状況を見れば税収の見通しもないまま減税どころではありません。

しかも、減税の財源も事業仕分けという手法をとって、行財政改革で捻出する。「すでに200億円近くの恒久財源も確保した」と述べていますが、今後、恒久減税のためには、さらなる行革、すなわち市民サービス・福祉カットを行う、これこそ時代遅れの究極の福祉の構造改革になるのではと危倶します。

市長、大震災以降の市民の民意は大きく変化しているごとを改めて認識し、福祉・サービスカットにつながるような減税はやめるべきです。

日本共産党は、福祉・防災最優先の名古屋市にするため全力尽くすことを表明して質問を終わります。

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