2011年7月臨時会

補正予算案の議案質疑

2011年7月20日
山口清明

6月議会での予算を減額した理由と意図は何か

【山口議員】今回提案された154万円の補正予算は、6月定例会に出された地域委員会モデル事業に関する市民意見交換会の予算が自民・公明・民主三会派の反対により削除されたことに対し、改めて、予算規模を縮小したうえで、同事業を行うために提案されたものです。

日本共産党名古屋市議団は、市長の意図はどうであれ、地域委員会制度は、新しい住民自治の仕組みに育ちうる、住民自治を発展させる可能性を秘めていると考えます。

しかしそのためには最低限、地域委員会が住民自治の新たな仕組み足り得るかを検証・検討する過程にも、住民合意と民主的な手続きという住民自治の精神を貫くことが必要です。賛成でも反対でも、市民的な議論を許さずに、上から結論を押しつけるようなやり方は許されません。

ですから私たちは、6月議会において、地域委員会への賛否は別として、意見交換会を開き、モデル事業を市民的に検証することは当然との立場から、予算の削除に反対しました。むしろ意見交換会は市民参加の検証機会を増やすためにはモデル実施の8区だけでなく全市的に開催すべきだと考えています。

そこでまずうかがいます。今回の提案では、補正予算に盛り込まれた金額は35万円減額して提案されていますが、これは市民による検証作業の規模や内容を縮小した結果なのでしょうか、それとも予算は縮小したが、市民による地域委員会の検証をより充実させた新たな提案なのでしょうか、予算を減額した理由、その意図を端的に答えてください。

実施内容や規模を縮小することなく、出来る限りの見直しを行った(局長)

【総務局長】実施内容や規模を縮小することなく、出来る限りの見直しを行ったものです。6月定例会での議論を踏まえ、市民の意見をお聞きする時間を出来る限り多く確保したいとの考えから、地域委員会委員経験者による発表の効率化を図り、その人数を71名から40名に見直し、それに伴う報償費を減額しました。また、出来る限り経費を削減する観点から、当日の運営体制は、開催区以外の管理職にも会場整理等の応援を求めるなどの対応をすることとした。

検証したい主要な論点はなにか

【山口議員】地域委員会が、新しい住民自治の仕組みに育つためには加えて、河村市長の政治的思惑から地域委員会を切り離すことが必要不可欠と私は考えます。

「福祉も保育も児童虐待も地域委員会に任せればうまくいく」「地域委員会が選挙で選ばれたボランティア議会となれば、市議会はいまよりずっと少なくていい、市全体のことは市長が決める」というような考え方からはっきり決別しなければ、地域委員会の発展はありえません。

たとえば、児童虐待への対応です。地域での見守りも必要ではありますが、地域委員会の有無に関わらず、虐待問題については、市内全域に対して行政が責任を持つべきです。

たとえば、ある地域で「防災の充実」を重点課題に選んだとしても、虐待問題が後回しで良いはずがありません。その逆もまたしかりです。行政には全ての市民の安全と権利を守る公的責任があります。

ところが地域委員会では、行政の責任が巧妙に隠され、いくつもの課題から住民が選んだ課題だけを、住民に自主的に実行させる、住民の自己責任だけが強調されがちです。地域委員会が、行政の責任を住民に転嫁する、自己責任の押し付け機関になってしまう危険性も危惧されます。

さて実際はどうだったのでしょうか、一年を経過したモデル事業は、必ずしも市長の意図したようには運営されず、様々な試行錯誤が続きました。

専門家による検証も行われ、制度改善への提言も出されました。しかしまだ検証は不十分。いま必要なのは市民による地域委員会制度の検証です。住民自治のあり方を決めるのに市民的な議論と検証は不可欠なのです。

そこで意見交換会による検証作業そのものについて、3点うかがいます。

一、この意見交換会で市として検証したい、地域委員会をめぐる主要な論点は何ですか?

「地域委員会の位置づけ」「委員の選任」「地域予算」「会議の運営」「地域団体との関係」の5点(局長)

【総務局長】今回の市民意見交換会は、モデル実施で明らかになった課題について議論し、市民の皆様とともに検証を深めることを目的としています。モデル実施の検証で整理してきた主な論点としては、「地域委員会の位置づけ」、「委員の選任」、「地域予算」、「会議の運営」、「地域団体との関係」の5つ。これらの点につきまして、市民から意見をお聞かせいただき、検証を深める材料としたい。

検証作業の全体像からみて今回は一過程なのか

【山口議員】二、意見交換会の開催が、市民の検証が済んだアリバイにされては困ります。制度を市民的に検証する作業の全体像を示してください。この意見公開会が検証作業の全てではなく、その過程の一つと考えてよろしいですか。

モデル実施を検証していく過程の一つ

【総務局長】市民意見交換会の意見は、議会にも報告しながら、制度内容を検討する上で参考にしたい。また、機会をとらえて、地域団体の意見もお聞きしながら、検証を深めてまいりたい。したがいって今回の市民意見交換会は、モデル実施を検証していく過程の一つです。

運営の工夫点を示せ

【山口議員】三、地域委員会の「推進」を前提とした意見交換会では困ります。原発再開を目論んだ九州電力による「やらせメール」が厳しい批判を受けました。

推進勢力による「やらせ」は論外ですが、地域委員会に対する様々な市民の意見を公平公正に反映した意見交換会、検証作業にするためにどんな工夫をしているのか、教えていただきたい。

発言者を指名する際は、年代や性別に偏りが出ないように配慮し、アンケートでも意見を寄せていただき同等に扱う(局長)

【総務局長】様々な意見をいただきたいので、偏った意見ばかりを聞いたことにならないよう、中立的な立場で公平にお聞きする必要があると考え、発言者を指名する際は、年代や性別に偏りが出ないように配慮するとともに、前の発言者とは異なった考えの方の発言を促すなど、外部コーディネーターの力を借りしながら、運営面で工夫したい。また、発言できなかった参加者からも、アンケートで意見を寄せていただき、場内での発言と同様、貴重な意見として承ります。

名古屋の住民自治のあり方そのものについて幅広く議論を(再質問)

【山口議員】モデル実施を検証する論点のひとつに「地域団体との関係」がある、また「地域団体の皆様のご意見もお聞きしながら、検証を深めてまいりたい」と答弁がありました。そこで入倉副市長にうかがいます。

住民自治を考える時に、地域委員会のことだけ議論していては不十分です。意見交換会でも当然、議論になると思いますが、地域団体との関係、地域団体のあり方をふくめて、名古屋の住民自治のあり方そのものについて幅広く議論する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

地域団体との関係につきましてもご意見を伺い、地域団体が一層活性化されるよう取り組みたい(副市長)

【入倉副市長】既存の地域団体は、長年にわたり、自主的に地域活動の中心的役割を担い、支えてきていただいており、大変感謝しています。

地域委員会の実施により、地域に根ざした住民自治の気運が盛り上がり、担い手である人材の発掘やより多くの住民の参加が促され、地域活動の活性化につながるものと考えております。

市民意見交換会においては、地域団体との関係についても意見を伺いたいと考えており、この意見を参考として、地域団体がより一層活性化されるよう、今後とも取り組みたい。

住民自治のあり方は、落ち着いた環境で、市民同士、市民と行政とで、じっくり検討する仕組みを設けることが必要(意見) 

【山口議員】地域委員会はもとより、住民自治のあり方については、落ち着いた環境で、市民同士、また市民と行政とで、じっくり検討する仕組みを設けることが必要です。市民意見交換会がそのための一つのステップとなることを願って、質疑を終わります。

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