2011年3月定例会

震災対策補正予算についての議案質疑(2011年3月30日) 岡田ゆき子 議員

被災地域への支援物資の購入について

どのような支援が必要と考えての3億円か

【岡田議員】3月11日に発生した東日本大震災は、文字通りの国難というべき戦後最悪の大災害となりました。被災地域は、前例がないほどの広範囲におよび、二十数万人の方々が、不自由な避難所での生活を続けておられます。地震と津波、さらに深刻な原発事故による被害で、少なくない太平洋沿岸の町が壊滅し、被災自治体は、自治体機能がマヒ状態となっているなど、被害ははかり知れません。

被災された方々や関係者の皆様に、心からお見舞い申し上げます

名古屋市は、職員がいち早く現地に赴き、3/27時点で、延べ493名の職員を被災地に派遣するとともに、被災地域支援本部を設置し、被災地の状況把握に努められています。市営住宅の提供など、全市を挙げた支援活動と、職員の献身的な奮闘に心から敬意を表します。

今回、名古屋市として3億円分の被災地支援物資の購入をする議案が補正予算 として提出されました。支援物資は、物資や人を移送する自動車とお聞きしています。

そこでまず、今回の災害について市長はどのように受け止め、名古屋市として、どのような支援が必要と考えたのでしょうか。

また、今回の3億円の提案に至った経緯についてもお聞かせください。

市民の思いを届けるため、県知事に聞いて各県1億円で何かをと聞いた(市長)

【市長】協定による支援は当然しますが、それを超える応援をしたいという市民のみなさんの思いを何とか届けられないかと言うのが私の認識です。

 どのように3億円を決めたかということだが、最初は仙台か盛岡かの国土交通省の政務官と電話し、ガソリンを大至急送ってという話があり、すぐ出来ないかと指示したが、ローリー自体がないということでなかなかむずかしいので、どうしたらいいか、せめてガソリンのお金で、減税相当分のお金で皆さんの気持ちを届ければと、1億円ぐらいの気持ちはあると、宮城県、岩手県、福島県の知事それぞれ本人に電話した。すべて内容については知事の要望を具体的におうかがい、要望書をいただいてそれに従って準備をしている。気持ちとしては普通の税金と違い、市民に戻るべき減税分だったから皆さんのおカネを使わしてもらって申し訳ない、いいですかという気持ちでさせていただいている。

日本共産党の現地対策本部にも話を聞いたが、課題はいっぱい。なぜ車なのか

【岡田議員】私は、宮城県に設置された日本共産党の現地対策本部から、被災地の現状を聞きました。

公用車は、ほとんどなくなったため、たしかに自動車は必要だが、ガソリンがないことが問題といわれました。内陸部と沿岸部では被害状況は違い、特に内陸部は、津波の被害はなかったものの、自宅におられる方が多くて、一人で買い物に行けない、行くことができても物資がないなどの問題が浮上しているということでした。

移送の問題で言いますと、被災地の末端まで物資が届かず、米、衛生用品、下着などが足りていないということ、また動けない状態の方の入浴が、まだほとんど行われていないとお聞きしました。

また、救助されても、避難所で命を落とすなど、予断を許さない状況が続いています。避難所には、介護を必要とされる方もたくさんおられ、継続的な医療、介護チームによるバックアップと、震災後の「心のケア」として精神科医や保健師などのスタッフ派遣がまだまだ足りないということです。

現地の状況に合わせて、移送手段として自動車を送ることは必要だと思いますが、車だけ届いてもガソリンがないという問題があります。医療・介護スタッフや行政職員などの、人的援助も必要だと思われます。

そこで、お聞きします。3億円という金額は、すべて自動車のみとなるのでしょうか?どんな車を、何台、送られるのですか。

自動車を送るというなら、市長が以前より、企業には減税分を寄付してもらうとおっしゃっていますので、自動車関連企業に協力を求めて、自動車を寄付して送っていただくということは、できないのですか。お答えください。

力のある企業には、その力を発揮していただくことが必要と考えます。

民間にタダで車を出せとは言えない(市長)

【市長】トヨタさんは義援金3億円(3月17日、トヨタ自動車のホームページより)と、それぞれすごい援助をされておりまして、民間企業の方にこういうことをいうのはとてもはばかることです。それほど大したことない人間ですから民間で自発的にやられているところで、あんたんとこ車作っているからタダで出してくれというようなことは言う気にはなりません。

取り崩した財政調整基金は今後どうするか

【岡田議員】被災地の支援や復興対策には、大きな財源が国でも地方でも必要です。日本共産党は、政府に対して、大企業の法人税引き下げや優遇税制は行わず、震災復興にすべて充てるべきだと、申し入れました。

さて、名古屋市においても被災地支援や、防災のための財源をどうするかが大きな課題です。今回の財源は、財政調整基金を1億7千万円取り崩すこととしています。財政調整基金を取り崩す条件の一つが、災害により生じた経費の財源に充てる場合です。昨年度末には約87億円あった財政調整基金の残高は、今回の補正予算後では、約52億円に減少しています。

そこで質問ですが、今回の財源については、緊急なので財政調整基金を活用することは、やむを得ないと思いますが、今後もこの財源について財政調整基金を取り崩したままにするのでしょうか。

また、財政調整基金について、今後、一定の水準を保つ必要があるのではないでしょうか。

100億円を目指す(市長)

【市長】(棒読み)財政調整基金につきましては、今回の補正予算において1億7千万円を取り崩すことにより、平成22年度末の基金残高は52億円余となる見込みです。

平成22年9月に定めた、本市の財政運営に関する規律において、「財政調整基金の積立額は100億円を目指す」としたところです。

財政調整基金は、平成23年度当初予算において約30億円積み立てることとし、平成23年度未における残高は82億円余となる見込みです。今回の取り崩しへの対応としては、平成23年度中に財政調整基金に積み立てることを今後検討します。

人的支援などあらゆる支援をすすめ、市民のいのちを守るまちづくりを(意見)

【岡田議員】被害が甚大であるが故、避難生活が長期化するものと思われます。今なお続く余震に子どもたちの泣く姿や、「夜も眠れない」と訴えておられる高齢者の方が、テレビでも映し出されている状況です。一刻も早く、避難という状況から抜け出し、落ち着いた生活をとり戻すため、名古屋市ができる支援として求められることは非常に多岐にわたると考えます。特にこれからは、車を送るだけに終わらせず、人的支援も重要となります。そして名古屋市においても、市民の命と暮らしを守る「福祉防災のまちづくり」をすすめることを申し上げて、質問を終わります。

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