2025年11月定例会
岡田ゆき子議員の議案外質疑②(11月21日)就職氷河期の非正規シングル女性に政治の光を
非正規シングル女性の厳しい現状
【岡田議員】
就職氷河期のシングル女性を取り巻く諸課題について、スポーツ市民局長にお聞きします。
総務省の労働力調査では、非正規雇用の約7割を女性が占め、働く女性の52.7%が非正規雇用です。世帯構成では、単身世帯が増えており、名古屋市の単身世帯割合は、2000年は、34%でしたが、2020年には、45.3%と増えています。単身世帯の中でも、1990年代から2000年初頭にかけて、就職難だった、就職氷河期と言われる、現在、40~50歳代で、非正規雇用のシングル女性は、若年者施策からも、子育て施策からも外れ、光が当たりにくい存在となっています。日本では、これまで「夫が働き、妻は家事・育児を担う」とした標準世帯モデルで、雇用・税制・社会保障制度がつくられてきたことから、この枠から外れるシングル女性は、あたかも社会にいないかのように扱われて来ているのではないでしょうか。就職当初、正規採用が狭き門だった時代を経て、現在もなお、正規雇用への転換を希望しても叶わず、ぎりぎりの生活で、貧困と背中合わせにあるということが、民間団体や自治体の調査などにより、認知されつつあります。中高年となった就職氷河期世代の非正規シングル女性の、こうした実態について、どのように認識されていますか。
シングル女性の53%が年収200万円以下
【岡田議員】
名古屋市が、2021年に行った「ウィズコロナにおける女性の生活・労働等実態調査」から、非正規・子どもなし・シングル女性の53%が、年収200万円未満で生活している実態がみえてきました。また、横浜市の調査では、「現在、感じている悩み・不安」について、一人暮らしの回答者の2人に1人が「住まいについての悩みや不安」を抱えているといいます。名古屋市内で派遣社員として働く50歳代のシングル女性の方から、「今、住んでいる賃貸住宅の契約更新の時期を迎えるが、『家賃を3000円値上げ』するとの通知が届き、困っている」と相談を受けました。「今でもギリギリなのに、さらに値上げされれば、生活ができなくなる」と悩みを話されました。家賃の値上げは死活問題です。シングル女性が共通して望む住まいは、身の安全を考え、2階以上、オートロックであること、人通りが多く明るい場所にある等、安全で質の良い住まいです。そのため家賃は高め。横浜市の調査では、非正規シングル女性の収入に占める住居費負担率が、30%を超える人が3割あり、高い家賃を今後も払い続けられるのか、転居するとしても初期費用が準備できるのか、大きな不安を抱えています。 非正規雇用から正規雇用への転換を国は進めていますが、実際は進んでおらず、非正規の少ない収入が将来の低年金へつながる不安も、大きなものがありまます。シングルで生きるという多様な生き方の一つを選択することに対する、周りからの圧力や、孤立感、こうした様々な困難について、特に中高年にあたるシングル女性の暮らしや住まい等に関わる、実態調査をする考えはありますか。
【スポーツ市民局長】
スポーツ市民局に対し、就職氷河期のシングル女性を取り巻く諸課題について、2点のおたずねがありました。バブル崩壊後の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った、就職氷河期世代は50歳代に差し掛かっており、今後、高齢期を迎えます。国が設置した「就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議」において、就職氷河期世代の賃金上昇率は他世代と比較し小さいうえ、金融資産の保有額も少なく、また、40.50代の単身世帯の持ち家率が低下していることが示されており、今後、就職氷河期世代が高齢期を迎えるにあたり、将来の生活の安定に備えておくことも、重要な課題とされています。国が現在策定中の第6次男女共同参画基本計画(案)では、高齢女性は高齢男性よりも貧困率が高く、その中でも単身世帯の高齢女性の貧困率が高い状態にあるとされています。また、女性の方が雇用者に占める非正規雇用労働者の割合が高いことが、女性が貧困に陥りやすい背景の一つになっていると、指摘されています。スポーツ市民局といたしましても、これからの高齢期を迎える就職氷河期世代のうち、非正規雇用のシングル女性においては、こうした課題があると認識しているところでございます。本市が、令和3年に実施した「ウィズコロナにおける女性の生活・就労等実態調査」において、家族や貯蓄の状況、仕事の悩みや、生活での不安などの実態調査を行いました。調査では、非正規雇用の子どもを持たないシングル女性は、「収入が少ない」ことや「雇用継続」で仕事の悩みを抱える割合が高く、「将来や老後の生活」に対する不安が強いことが明らかになりました。 スポーツ市民局では、こうした調査結果も踏まえ、非正規雇用のシングル女性が互いに交流しながら、ライフプランなどについて考える講座や、孤独・孤立で困難を抱える女性を対象とした、「女性のためのつながりサポート事業」を実施しており、このような取り組みを通じて、引き続き、就職氷河期の非正規雇用のシングル女性の状況把握に努めてまいります。
家賃支援・正規雇用への転換支援など必要
【岡田議員】
就職氷河期の非正規・シングル女性の置かれている実態を「つぶさに知ってほしい」と、当事者から、私は求められてきました。この問題の解決は、男女の賃金格差や正規・非正規間の格差の是正、最低賃金の引き上げであり、政治に責任があります。そのうえで、低収入、貯蓄がないことに対する、家賃補助など直接支援や、非正規から正規雇用の転換を促すための事業所支援など、市として何ができるのか、把握するためにも、コロナ禍を経た現在の実態把握を求めたいと思います。
キーワード:岡田ゆき子












