2025年11月定例会
岡田ゆき子議員の議案外質疑③(11月21日)住まいは人権…ホームレスの自立に向けた多様な支援を
一時保護所―間取り2Kに大人3人
【岡田議員】
つぎに、ホームレスからの自立支援の在り方について、健康福祉局長にお聞きします。
市内で野宿されるホームレスの方は市の発表で約70人、日常的に見回り・相談支援する支援団体の確認では、約120人が暮らしているといいます。また、ネットカフェ等で寝泊まりする方は、東京都の推計から、名古屋市内には600~700人と推計されます。住まいのない方の区役所相談件数は、ホームレスの10倍以上といわれ、住まいの回復を必要とする方が多くいることを示しています。区役所・支所に相談すると、まずは、名古屋市の一時保護所に多くの方が入所されますが、一時保護所にとどまれず、途中退所するケースや区役所の相談段階で、一時保護所の入所を拒否され、相談が中断するケースも少なくありません。ホームレス支援者の方々は、そうした状況の背景に、相談後の入り口である一時保護所の集団生活の在り方に問題があると指摘します。2014年に支援団体と医療機関が行った全市的なホームレス実態調査で、精神疾患、知的障害の疑いの方が6割だった結果を考えると、現在の一時保護所が、2Kの間取りに、カーテンとふすまで仕切られた、プライバシーのない空間に、一時的であっても、大人3人が生活することは、非常に大きなストレスを伴います。(図参照)施設の居住環境が原因で、支援につながらない、支援が続かないという課題がある中で、その入り口である一時保護所の現状をどのように認識していますか。
人権としての住まいは、その人の尊厳が守られてこそ、行政を信頼し、居宅をめざして自立へ向かうものではないですか。ホームレス支援者は、「一時保護を経験したホームレスは、集団生活でつらい体験を繰り返している。その経験が、区役所へ相談に行けない気持ちにさせ、ホームレスを再び選択する『きっかけ』になっている」といいます。精神疾患があるホームレスに、長年ボランティアとして寄り添っている精神科医は、「ホームレスからの自立には、人間としての尊厳が守られ、同時に、本人を支えるための医療や保健の関わりは欠かせない」といいます。精神疾患などなんらかの障害特性により、集団生活が困難な方がいることを踏まえ、支援団体と信頼関係があるホームレスに対し、一時保護所を経由せず、アパート等を中間施設として、入居当初から、支援団体、保健医療等の関係機関が伴走し自立に向けた生活をスタートする、こうした取り組みを試行的に行う考えはありませんか。
一時保護所の個室化など環境改善は必要
【健康福祉局長】
健康福祉局に対しまして、住まいは人権―ホームレスからの自立支援の在り方について2点のおたずねがありました。ホームレスの支援においては、まずは、落ち着いた環境に身を置くことで、ご本人が自立に向かう気持ちとなることが大切であると考えております。また、受け入れる施設の居住環境として個室を望む声が、ご利用者からだけでなく、相談支援に関わる職員からも上がっております。現状として、一時保護所については個室ではなく、十分な居住環境とは言えませんが、ホームレス支援の一端を担う生活保護施設の植田寮について、令和6年度に改築により全室個室で整備するなど、これまでも一時保護所に限らず課題と認識し、施設の居住環境の改善を進めてきたところです。ホームレスの相談支援にあたっては、様々な関係機関、専門職などの関わりが欠かせないと考えております。そのため、本市としましては、まずは、一時保護所をはじめとした施策を通じて、相談員などがご本人の状況を丁寧に把握し、必要に応じて保健部門や医療機関等との連携を図ることとしております。
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