2025年11月定例会

岡田ゆき子議員の議案外質疑①(11月21日)平和首長会議に加盟の市長なら、 核兵器禁止条約の批准に背を向けるな

【岡田議員】                                                                      

 通告に従い質問します。はじめに、被爆80年を踏まえ、核兵器廃絶を目指す本市の対応についてお聞きします。 昨年10月、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞されました。ヒバクシャによる核兵器のない世界を実現するための草の根運動と、核兵器を二度と使用してはならないことを被爆体験に基づき証言してきたことを高く評価されたものです。 被爆者の運動は、国際世論となり、2017年、「核兵器禁止条約」が採択され、2021年に条約発効となりました。 核兵器禁止条約は、「核兵器の使用から生ずる壊滅的で、非人道的な結末を深く憂慮」してつくられ、日本政府も、核使用は「人道主義の精神に反する」との見解を示しています。 市長にお聞きします。名古屋市の平和都市宣言は、「原水爆の脅威からまぬかれ」と謳っています。この平和都市宣言の理念を実現するために「核兵器禁止条約」は、重要であると思いますが、この条約の意義について認識をお聞きします。

【岡田議員】

 次に、基町高等学校の生徒と被爆者との共同制作による「原爆の絵」について、健康福祉局長にお聞きします。被爆の実相を語り継ぐ被爆者の平均年齢は、86歳を超え、被爆者の体験と核兵器廃絶の強いメッセージを、継承するは、未来を生きる私たちの使命でもあります。広島市立基町高等学校の生徒が被爆者から聞き取った被爆の体験を絵画にする「次世代と描く原爆の絵」プロジェクトが、2007年から取り組まれています。この「原爆の絵」を平和事業に活用してほしいと、被爆者や平和団体とともに、私どもも名古屋市に求めてきました。現在、健康福祉局によって、広島平和記念資料館を通じ、作品5十数点のデータが取り寄せられてパネル化し保管されています。しかし、その活用は、年に1度、愛知・名古屋戦争に関する資料館での展示にとどまり、市民の目に触れることはほとんどありません。「原爆の絵」は、「被爆の実相を広く発信する」ことを目的に、貸し出されています。絵画は、健康福祉局に留まらず、全庁的に周知し活用していただきたいと思います。健康福祉局長の考えをお聞きします。

【市長】

 被爆80年を踏まえて、核兵器廃絶を目指す本市の対応について、核兵器禁止条約に対する私の認識についてお尋ねいただきました。核兵器禁止条約は、核兵器の開発、保有、使用などを包括的に禁止し、核兵器の廃絶を目指す国際条約であり、核兵器の非人道性を明確にし、核兵器のない世界の実現に向けた国際的な努力を促す意義を有するものと認識しております。本市では、昭和38年に名古屋市会で議決された「名古屋市平和都市宣言」において、「原水爆の脅威から免れ」とうたわれており、核兵器廃絶を目指すという条約の理念と共通していると考えております。

【健康福祉局長】

 健康福祉局には、基町高等学校の生徒と被爆者との共同制作による「原爆の絵」の庁内展開についてご質問いただきました。議員ご指摘の「原爆の絵」については、広島平和記念資料館と広島市立基町高等学校の協力の下、平成19年から継続的に被爆体験証言者と高校生が共同して制作しており、被爆者の高齢化が進む中、絵の制作を通じて、被爆体験を後世へと継承するとともに、平和の尊さについて考えることを目的とされております。このような趣旨を踏まえ、例年8月6日に「愛知・名古屋戦争に関する資料館」で開催される「原爆被災体験を聞く会」において、また、令和7年度は8月1日から8月15日まで、市役所本庁舎地下のPRスペースにおいて展示を行ったところです。(写真)健康福祉局としましては、今後もこうした取り組みを継続するとともに、「原爆の絵」の活用について、関係局などと連携を図りながら、情報共有に努めてまいりたいと考えております。

【岡田議員】

 まず、市長に再質問します。市長は、核兵器禁止条約について、廃絶に向けた国際的な努力を促す意義があると認識を示されました。重要な見地です。その国際的な努力を促す、対象に日本政府があると思うのです。今年8月に、平和首長会議が、政府に対し要請を行っています。その中で、来年開催される、核兵器禁止条約の再検討会議に、日本政府が、まずはオブザーバー参加することと、条約に日本政府が批准・署名することを求めています。平和首長会議に加盟している広沢市長も、この要請については同じ立場ですね。お答えいただけますか。

【市長】

 本市では、平成25年に平和首長会議に加盟しており、また、平和首長会議が日本政府に対して、「核兵器廃絶に向けた取組の推進を求める要請文」を提出されたことは承知しております。私としましては、平和首長会議が核兵器廃絶の市民意識を喚起し、世界恒久平和の実現に寄与することを目的としている点においては、同じ認識であります。

【岡田議員】

 広沢市長、核兵器廃絶への道を切り開こうという平和首長会議に賛同されての答弁だと思います。そのうえで、首長会議はすべての国が「核兵器禁止条約」の実効性を高めるために早期に締結するが重要だとして署名に取り組んでいることもご存じと思います。崇高な理念のもと、加盟されている広沢市長におかれましても、この署名には賛同いただきたい。改めて署名をお願いしたいと思います。「原爆の絵」は、なごや平和の日の行事や市民が参加するイベントなど、また、高校生が描く絵画ですから、児童生徒の平和学習などにも活用できるということを、庁内で共有をお願いしたいと思います。

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