2024年2月議会

みつなか美由紀議員の個人質問(2024年3月7日) 名古屋市独自の奨学金返還支援制度創設について

【みつなか議員】名古屋市は今年度から「介護・障害福祉職員奨学金返済支援事業助成金」を始めました。「介護職員奨学金返済支援事業」は、今年度は30人の利用があり、今後も広報に力を入れ利用を促進したいとのことでありました。「障害福祉職員奨学金返済支援事業」では、5人の想定であったところ、70人が申請したとのことで、それだけ、奨学金の返還が若い労働者にとって重い負担になっているということがわかります。

 2018年度から始まった「民間保育所等保育士等奨学金返済支援事業」は6年目になり、毎年200人程が利用しています。来年度は条件を緩和してより多くの若い保育士が活用できるようにするということです。

全国にひろがり始めた奨学金返済支援制度

 しかし、奨学金返還に苦労している若者は、保育士や介護職員に限ったことではありません。

 奨学金返還支援制度は全国の自治体で進められており、2023年には36都府県、695自治体で創設されています。

 札幌市では、企業と市とで年最大18万円を3年間支援する制度を2020年度に開始しました。登録企業は、初年度は100社ほどだったのが、4年間で330社に増え、「いい取り組みだ」「期間をもっと伸ばしてほしい」などの声が寄せられている。申請者数も年々増え、定数の100人を突破したということで、拡大することも考えたいとのことでした。

 新潟県は、県内に在住、就職していることを条件に、奨学金を返還している本人が、県に直接申請します。企業の負担なく、6年間で最大120万円の支援をする制度を2016年度から行い、今年度も新たに52人が活用しています。

 このように、奨学金返還支援制度は、企業、従業員どちらからも必要とされている制度です。愛知県でも来年度から、開始する予定で、多くの企業から問い合わせがあると聞いています。

 そこで経済局長にお聞きします。2015年にわが会派の西山議員が質問した「奨学金返還支援制度の創設の見通し」について、市民経済局長は「地元産業界との協議が必要。産業界の要望をお聞きするとともに、県とも情報共有をしてまいりたい」とお答えになりました。地元産業界とどのような協議をし、どのような対策をしてこられたのでしょうか。また、県とはどのように情報共有をしてきたのでしょうか。お答えください。

 奨学金返還支援を愛知県が来年度から始めますが、企業が支援した額の半分を県が補助するというもので、企業が一定負担をしなければなりません。組合やNPO法人、個人企業主まで幅広く対象としているのはよいのですが、支援をする体力がない小さな企業はそもそも利用できません。企業の人材確保と定着という点からも、そういった利用が困難な企業に対して、名古屋市が保育士などに行っているように、企業の負担なく本人に直接、奨学金返還を支援する制度を作るべきと考えますが、見解をお聞きします。

【経済局長】

 経済局には、地元産業界とどのような協議をし、どのような対策をしてきたのか。県とはどのように情報共有をしてきたのか。また、奨学金返還支援の制度について質問をいただきました。

 経済局では、これまでも機会をとらえ中小企業者や経済団体からご意見やご要望を伺いつつ、様々な施策を実施してまいりました。

 現在中小企業における人材確保は大きな課題となっており、様々な人材確保支援施策を実施しているところでございます。

 そうした中、スタートアップの成長において、人材不足が大きな課題となっていることから、スタートアップが優秀な人材を確保するための対策として、「スタートアップ企業支援補助金」において、貸与型奨学金の返済費用軽減に係る経費を補助対象としております。

 また、愛知県においては、企業等が従業員への奨学金返還支援制度を導入することにより、学生が企業選びをする際の大きなポイントになることから、中小企業の人材確保を図ることを目的に、従業員の奨学金返還を支援する企業等を対象とした補助制度を令和6年度から創設する予定でございます。

 経済局としましては、引き続き産業界の意見を伺いながら、人手不足に悩む市内企業に対する施策の充実に努めるとともに、愛知県で創設される奨学金返還支援制度の周知にも努め、市内中小企業の人材確保を支援してまいりたいと考えております。

【みつなか議員】次に奨学金返還支援制度についてです。経済局長からご答弁いただきました。従業員への奨学金返還支援に係る経費も、スタートアップ企業支援補助金において今年度から補助対象に含めたということですが、今のところまだそういう内容の申請はありませんし、そもそもこの補助金は、事業所の開設や新商品の開発販路開拓に必要な経費を対象としたもので、人件費も含まれておりますが、従業員の定着を目的としたものではありません。

 また、愛知県の制度を周知するとのことでありますが、愛知県の制度では利用できない企業や若者はそのままでいいのかという課題が出てきます。労働者福祉中央協議会が行っているアンケートによると、奨学金の返済が苦しいが、4割以上。今後の返済について不安が7割。返済が生活に及ぼす影響については、結婚が4割、子育てや出産が3割。さらに、日常的な食事や、レジャー・交際が4割、医療機関の受診が3割にも達しています。奨学金返還が結婚や子育てを始め生活設計の重荷となり、将来への不安を増大させています。

 市長は、「市長提案説明」の中で、重点戦略の一つ目として「若い世代が将来に明るい展望を持ち、結婚・子育ての希望をかなえられるよう、社会全体で応援します」と述べられました。先ほどアンケート結果で示したように、奨学金を返還している若者の4割が、日常的な食事や交際費を削っており、このことが出会いの場を少なくしている原因の大きな一つになっています。

 経済的な不安が大きくて将来設計が立たないという若者への支援の1つとして、奨学金返還の負担を軽くすることが、「若い世代が将来に明るい展望を持つ」ために大変有効だと考えます。

 これまでわが会派がたびたび要望してきました。2016年度の予算編成にあたっては、市民経済局は「奨学金返還支援制度を含む大学生の中小企業への定着支援事業」を予算要望しましたが、市長は結局予算計上しませんでした。これについて、わが会派の代表質問に市長は「もうちょっと待ってちょうだい」と答えています。

 「もうちょっと待ってちょうだい」とはいつまで待てばいいのでしょうか。国も支援に乗り出し、愛知県も来年度から制度を開始します。いよいよ名古屋市も支援制度の創設を決断するときではないでしょうか。市長、お答えください。

「真剣に考えます」(市長)

【市長】

 若い子どもさんといいますか、大変ですのでね 奨学金を返すということは、

 こんな裏金にまみれた日本の中でね、要はそんな返すと強制するなんていうことですよ 本当に

 こういうことだもんで、いや本当に賛成何とかしてたんだけどあんたんとこも減税に反対しとったらですね、

 これはねやっぱり商売を全体で盛り上げると、

 いう事についてですね、やっぱ、全体でやらなあかんわけだ。これは、

 いうことなんで非常にかたよっとると、

 いうふうに思えるわけだけど非常に重要なことで、これは

 零細企業がどんだけ人材を集めるのに苦労するかいうのは私は身をもって体験しておりますので、

 非常にそれは重要。

 ということでございますが、若い人たちの真面目に学校やってきた人の奨学金なん かえさんでもいいですよ、これ。

 本当にそう思っております。

ちょっとまたちょっと真剣に考えますと、

【みつなか議員】市長からは前向きに真剣に考えるとの答弁をいただきました。

 市長は、2013年の我が会派の山口議員の質問に、「なかなかいいんじゃないですか。いっぺん考えさせてもらいます」と答え、2015年の西山議員の質問に市民経済局に指示したと答えています。それで市民経済局が予算要望をしたのに計上しなかった。その直後の「もうちょっと待ってちょうだい」という答弁でした。

 2013年から11年です。もうちょっと待ってちょうだいからも8年、ちょっとがえらい長いと思いますけれども、しかし、ここで再度前向きの答弁をいただきましたので、ね。ぜひあの実現をしていただきたいと思います。

 市民税減税は、私達は金持ち優遇の逆立ち減税だと思っています。市民税減税をやめれば、99億5500万円財源も作れます。それがあれば、奨学金返還支援にも役立てていただきたいと思います。

 市長の働く大変な若者を応援したいという、その熱い思いをぜひ形にしていただきたいと思います。奨学金返還支援制度は、企業の人材確保や定着にも効果があり、奨学金返済に大変な若者の支援にもなります。そしてそれが名古屋市の発展にも繋がるというトリプルウィンの政策です。

 名古屋市も独自の制度を早急に創設することを強く要望し、全ての質問を終わります。

  

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