後期高齢者医療広域連合議会 2023年2月定例会 伊藤建治議員(春日井)の議案質疑③窓口2割負担の影響と診療抑制(2023年2月14日)

保険給付費への影響額は

【伊藤議員】2022年10月から一部の窓口負担が1割負担から、倍の2割負担となっています。今予算は、通年でその影響を受ける最初の年度です。2割負担導入による保険給付費への影響額をお尋ねします。

受診抑制で2023年度は約123億円の減少

【管理課長】2割負担導入による保険給付費への影響額は、2022・23年度保険料率算定における2年間の財政運営の見通しで、負担割合の引上げによる被保険者の受診抑制も含めて、国の方法で算出した結果、2年間で約172億円の減少となる。
 年度別では、2022年度は5か月分で約49億円の減少、2023年度は通年12か月で約123億円の減少であり、各年度の当初予算はそれぞれの影響額を反映している。
 2023年度当初予算の保険給付費総額は約9,413億円なので、2割負担導入がなかった場合の保険給付費総額と比較しますと、およそ1.3%減少となっている。

受診回数を減らすなど受診抑制はないか

【伊藤議員】2割負担導入に伴い受診回数を減らすなどの受診抑制がないか、現状をお尋ねします。

1か月分しかデータがないので分析困難

【管理課長】2割負担導入後の医療費の実績は、2022年10月診療分のみであるため、現時点では、受診抑制等の影響を分析することは困難です。

一人当たり年間5万円超の負担増でとても認められない(意見)

【伊藤議員】2割負担導入の影響額が通年で123億円です。被保険者の約23%が2割負担の対象で、一人当たり年間5万円を超える負担増になります。こうした予算に賛意を示すことはできません。

全国保険医協会の調査は19%が抑制

 受診抑制について、昨年全国保険医団体連合会が行ったアンケート調査があります。これは後期高齢者医療の2割になった人を対象にしたものではなく、広く経済的理由での受診抑制の実態についての回答を求めたものですのですが紹介します。
 愛知県の方の回答は509通。うち、経済的理由で受診抑制をしたのは19%です。受診回数を減らしたり、検査、薬、治療を減らすように頼んだ方が多く、中には受診できなくなったと回答している人もいます。
 私は、議員になる前は医療機関で働いてきました。窓口負担が増えるたびに、患者さんが病院に来なくなるという実態を目の当たりにしています。一度足が遠のくと、「罪悪感のようなもの」を感じて余計に来にくくなるという話もよくお聞きします。喘息の患者さんが最近見ないなと思うと、夜中の緊急搬送で運ばれてくるという場面も何度も見てきました。
 医療の自己負担の増額は、まさに命にかかわる問題を引き起こしかねないものであり、受診抑制の実態は注視していただきたいと思いますし、国に対して意見を上げ続けていただきたいと思います。

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