後期高齢者医療広域連合議会 2022年8月定例会 伊藤建治議員(春日井)の一般質問 保険料軽減の勧奨、金融資産への賦課の検討、コールセンター(2022年8月22日)

保険料軽減の勧奨

所得の未申告者に対する保険料軽減の取扱の現状

【伊藤議員】最初の事項は所得の未申告者に対する保険料軽減の取り扱いについてです。この質問についてもここ数年毎年お尋ねしているものです。
 後期高齢者医療の保険料の算定上、遺族年金、障がい年金は、所得としてはみなしませんが、所得の申告が必要です。未申告の方は、所得不明と取り扱われ、均等割は満額算定されます。これを回避し、所得に応じた保険料軽減を受けるには、後期高齢者医療広域連合に対して、所得がないことを申告する、簡易申告書を提出する必要があり、各市町村が所得の申告の勧奨を実施しています。
 昨年8月の議会での一般質問では、所得未申告者のうち、保険料が軽減される可能性がある被保険者数は約 2182人との答弁がありました。そこで、今年度の状況をおたずねします。

2022年度で2,112人

【納付課長】所得の未申告者のうち、申告することで保険料が軽減される可能性がある被保険者は、他の世帯員の所得により均等割額を賦課されることが確定している者以外の方であり、2022年度の7月末時点で2,112人です。

所得の申告の勧奨について

【伊藤議員】昨年の答弁では、広域連合で後期高齢者医療制度において用いる所得の簡易申告書を作成し、市町村にデータで送付し、市町村が簡易申請書を対象者に送るとの説明でした。この簡易申請書の送付はすべての市町村で実施されているのか。
 未申告の被保険者に対する再度の働きかけの実施状況は把握していないとのことですが、これを把握し、実施するよう市町村に促す考えはないか。

ほとんどの自治体で実施しており未実施自治体には実施を依頼した

【納付課長】市町村で簡易申告書の送付や住民税申告の案内等を実施している。一部の市町村で実施していなかったため、送付するよう依頼した。未申告の被保険者に対する再度の働きかけの実施は18市町村です。
 未申告のままとなっている被保険者について、なるべく再度所得の把握に努めるよう、担当課長会議や実務担当者会議の場で市町村に呼び掛けていく。

送付していないのはどこで、どうする(再質問)

【伊藤議員】保険料負担増を行っているわけですから、軽減できる方へのフォローはしっかりとお願いしたい。その点で、簡易申告書の送付あるいは住民税申告の案内等が肝要です。一部の市町村で実施がなかったとのこと。これは昨年までのやり取りでは明確になっていなかったので、参考になる答弁です。
 いくつの自治体が未実施だったのか。送付するよう依頼したとのことですが、現時点での対応状況はいかがでしょうか。

未実施は1自治体。8月に実施した

【納付課長】簡易申告書の送付等の対応が未実施であった自治体は1つです。未実施だった自治体に簡易申告書等の送付を依頼し、8月18日に自治体から対象者へ簡易申告書を送付した。

再度の働きかけを増やすよう(意見)

【伊藤議員】再度の働きかけを実施しているのは18市町村とのことでした。担当課長会議や実務担当者会議の場で呼びかけるとのことですので、それに期待したいと思います。

金融所得や金融資産の保有状況を勘案した負担

国の検討状況はどうなっているか

【伊藤議員】財務省の財政制度等審議会が5月に大臣に提出した「歴史の転換点における財政運営」に関する建議書の中で、医療分野での患者負担、保険料負担を求める観点から、金融所得、さらには金融資産の保有状況を勘案した制度設計としていくことが重要と述べています。
 資産にまで保険料負担が持ち込まれれば、所得のない高齢者へのさらなる負担増となることは明白で、すでに金融資産の保有状況を勘案する仕組みが持ち込まれている介護保険では負担増となっています。これは看過できる話ではありません。
 そこで、後期高齢者医療制度における検討状況は現状どうであるかお尋ねします。

具体的な検討には入っていない

【納付課長】昨年12月に経済財政諮問会議が決定した「新経済・財政再生計画 改革工程表2021」に、「医療保険・介護保険ともに、マイナンバーの活用等により、金融資産の保有状況を考慮に入れた負担を求める仕組みについて検討すること」が社会保障分野の項目の一つとして掲げられている。
 本年5月の財政制度等審議会の建議「歴史の転換点における財政運営」は、全世代型社会保障の構築に向けて、患者負担を含めた保険給付範囲の見直しや、能力に応じた保険料負担について、「金融所得や金融資産の保有状況を勘案した制度設計」をすべき旨の提言がなされた。
 本年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の方針2022」、いわゆる骨太方針2022には、制度設計の見直しに関する具体的な記述は盛り込まれておらず、現時点においては、まだ具体的な検討には入っていない。

導入した場合の影響はどうか

【伊藤議員】仮に導入した場合の影響についてお尋ねします。金融所得、金融資産の保有状況を勘案した制度設計とした場合、保険料負担や窓口負担はどのようになると見込まれるかお尋ねします。

まだ具体的な検討には入っていない

【納付課長】制度設計の見直しの提言はされていますが、具体的な検討には入っていないものと認識しており、現時点では、制度設計が見直された場合の影響を答えることは困難です。

金融資産の保有状況を勘案する仕組みを持ち込まないように国に求めよ(再質問)

【伊藤議員】骨太方針2022には具体的な記述は盛り込まれておらず、具体的な検討には入っていないとのことでした。具体的な検討を始めてもらっては困るということを、まず述べておきます。
 金融資産の保有状況を勘案する仕組みが持ち込まれている介護保険と、そうではない後期高齢者医療の保険料負担割合の推移を、制度設立当初と現在とで比較をしてみると、後期高齢者のプラス1.72%に対し、介護保険はプラス6%の伸びです。二つの制度では時間軸が異なりますが、保険料改定の回数は同じです。この数字は、財政審の建議の資料に示されていたもので、金融資産の保有状況を勘案する仕組みを持ち込めば、もっと保険料があげられる、という意味合いで添付されたものです。
 後期高齢者医療の保険料はどんどんと引き上げられ、新たな負担増を持ち込むべきではない。ましてや金融資産といういわば蓄えについても勘案するということは、財布の中に手を突っ込むのと同じこと。応能負担は所得に対してのみ考慮されるべきです。
 後期高齢者医療には、金融資産の保有状況を勘案する仕組みを持ち込まないようにという意見を、国に対して上げていくべきではないか。

低所得者に対する配慮は必要不可欠と伝えたい(事務局長)

【事務局長】金融資産の保有状況を勘案した制度設計は、金融資産の把握方法や負担能力への反映の方法等、整理すべき課題が多く、特に、低所得者の多い高齢者には、金融資産の評価の内容によって生活に深刻な影響を及ぼす懸念もあり、低所得者に対する配慮は必要不可欠ではないかと考えます。
 現時点では、金融資産の保有状況を勘案した制度設計の具体的な検討には入っていないようですが、本広域連合としては、慎重な検討を要する事項であると考えており、全国後期高齢者医療広域連合協議会の要望活動等を通じて、国に対してその旨の意見を伝えていく。

コールセンター

設置理由は何か

【伊藤議員】今年、後期高齢者医療の保険料と保険証に関するコールセンター(電話窓口)を開設されました。これは保険料の算定方法や保険証の負担割合等について対応するものとのことです。今年度は窓口負担2割の導入により負担が変わる被保険者も多く、多くの問い合わせがあることを想定しての対応であると思われますが、設置理由をお伺いします。

被保険者の利便性向上と事務負担軽減のため

【納付課長】7月から8月にかけては保険料の賦課決定や被保険者証の年次更新に伴い、保険料の算定方法や窓口負担割合等への問合せが増加する。
 このため2020年度から、被保険者の利便性向上と、広域連合及び市町村の事務負担軽減を目的として、コールセンターを設置している。
 2022年度は、窓口負担2割の導入に関して多くの問合せが想定されるため、コールセンターの開設期間を12月末まで延長し、2割負担に関する問合せも含めて対応します。

利用実績は

【伊藤議員】これまでの利用件数、平均通話時間をお尋ねします。

35日間で5279件、1日平均150件

【納付課長】コールセンターのこれまでの利用件数、平均通話時間は、7月11日~8月14日の35日間の利用件数は5,279件、1日平均で150.8件。平均通話時間は約4分です。

利用者に通信料を負担させるのか。誰の収入になるのか

【伊藤議員】コールセンターの利用には通信料がかかり20秒で10円かかる、高いのではないか、というお話も寄せられました。一部自治体のホームページには通信料がかかることが記載されているが、いくらかかるのかの表示はない。広域連合のページにはそもそもその案内がない。
 通信料がかかるならばそれを表示すべきではないか。またその額はいくらか。どうしてこのような通信料が必要なのか、現状をお尋ねします。

NTTコミュニケーションズのナビダイヤルサービスを利用、通信料が発生するので案内する。携帯からは20秒で10円程度

【納付課長】コールセンターは、NTTコミュニケーションズのナビダイヤルサービスを利用しており、利用者に通信料が発生する。固定電話からの発信は210秒ごとにおよそ10円、携帯電話からの発信は20秒ごとにおよそ10円です。
 携帯電話からの電話料金は、携帯電話の加入内容によって異なるため、通常の電話料金との比較は難しい。固定電話からの電話料金は一般的な金額である。コールセンターに電話をすると通話料が発生すると最初に音声アナウンスがあるので、表示はしていなかった。今後作成するチラシ等では、誤解を招かないよう、通話料が発生する旨を表示したい。広域連合のホームページでは既にその旨を表示した。
 この通信料は、NTTコミュニケーションズの収入となる。

コールセンターは無料対応に

【伊藤議員】そもそもこのような窓口は無料にて対応すべきものと考えますが、当局のお考えをお伺いします。

フリーダイヤルでは長電話や迷惑電話等、関係ない電話が増え、市町村の負担金増にも繋がる

【納付課長】フリーダイヤルでは、いたずら電話や無言電話、コールセンター業務に関連しない長電話などが増え、コールセンターの電話が繋がりにくくなる事態も想定されるし、広域連合の費用負担が発生する。税金を財源とする県内市町村の負担金の増加にも繋がる。
 ナビダイヤルは、様々な自治体や企業等のコールセンターでもよく利用されている一般的なサービスであり、市町村や広域連合への電話も無料対応ではなく、電話での問合せに関して一定の通話料の負担は、被保険者の理解を得られる範囲だ。

負担増の人からの問い合わせは無料に(意見)

【伊藤議員】通信料がかかることの記載を広域連合のホームページには記載したとのことです。素早い対応だと思いました。通信料は一般電話からであれば、通常の電話代と変わらないとのことですが、昨今携帯電話での利用も多いと思われます。
 そもそも、負担増となる方の問い合わせを想定した窓口であり、それは、いままでの2倍もの窓口負担の増額です。問い合わせがあって当たり前だと思いますし、その通信料は無料であるべきです。

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