2022年6月議会

田口一登議員の個人質問(2022年6月24日)物価高騰から暮らしを守る対策を 

物価高騰から暮らしを守る対策として、消費税減税と給食費無償化を   
                         田口一登議員

消費税減税に対する市長の認識はどうか
【田口議員】物価高騰から暮らしを守る対策について質問します。
 コロナ危機によって景気が低迷し、生活の困難が長期に及んでいるところに、物価の高騰がおそいかかり、市民生活は深刻な打撃を受けています。なぜいま物価が高騰しているのか。原因は、「新型コロナ」と「ウクライナ危機」だけではありません。日銀の「異次元の金融緩和」が、異常円安と輸入価格の上昇をもたらした。「アベノミクス」が招いた失政だと言わなければなりません。
 物価高騰の影響が大きいのは低所得世帯です。総務省の「家計調査」をもとに推計すると、年収200万円以下の層では物価上昇による家計の負担が、年収比で4.3%増加し、消費税が5%増税されたことと同等の負担増となっています。こういう時こそ緊急に消費税を減税するべきではないでしょうか。消費税減税は、所得の少ない人ほど効果が大きく、中小企業・業者ほど税負担の軽減につながります。
 そこで、「減税」を標榜されている河村市長にお尋ねします。消費税をただちに減税することを国に求める考えはありませんか。
 大企業は円安の恩恵などにより、軒並み過去最高の利益をあげ、富裕層も資産を大きく増やしています。
大企業と富裕層に応分の税負担を求め、消費税は減税する。これは税制の公正という観点からも当然だと考えますが、市長の見解を求めます。

市民税減税に反対して、よう消費税減税なんて言えたもんだ(市長)
【市長】おんなじような質問を何べんもしてもらっても困るけど。減税については正しい経済理論に基づいた・・・、どちらにしろ市民税減税をやるには総務大臣の許可がいりますので。いったんはこの議会で否決されリコールになった。その後は議会が承認して、みなさんで・・・(ヤジに応答)。共産党がわからんのは市民税減税に反対しておいて、よう消費税減税なんて言えたもんだな。信じられないおもいですわ。

富裕層には「どっさり」庶民には「ちょっぴり」非課税者には恩恵ゼロという、「金持ち減税」はやめ、教育・くらしの充実を(意見)
【田口議員】市長は、国に消費税減税を要望するとは答弁されませんでした。「減税」の看板が泣きますよ。
市民税減税については、「共産党は反対で増税するのか」と余分なことを言われましたので、これには反論しておきます。
 河村市長の市民税減税は、減税額がトップの方は448万円も減税されるなど、納税者の0.1%に満たない富裕層が20万円を超える減税の恩恵を受ける一方で、納税者の過半数は5000円以下の減税です。富裕層には「どっさり」、庶民には「ちょっぴり」、非課税者には恩恵ゼロという減税は、税制の公正を損ないます。こんな「金持ち減税」はやめて、税収を92億円増やし、その財源で学校給食の無償化など教育、福祉、暮らしを応援するというのが、日本共産党の立場であります。

学校給食費の無償化にふみきれ
【田口議員】日本共産党市議団は5月23日、河村市長に対して物価高騰から暮らしと営業を守る申し入れを行いました。その中で求めた学校および保育所の給食費の食材費高騰分に対する市の財政支援については、今回の補正予算に計上されたことは評価します。
 しかし、この予算措置では保護者の現在の給食費負担が軽くなるわけではありません。給食費は小学校では月4400円、中学校のスクールランチでは1食320円プラス牛乳代が約56円、ひと月21日で約7900円です。物価高騰の折、この負担は重いのではないでしょうか。
 わが会派は、2014年の6月定例会以降、本会議質問で何度も学校給食の無償化を求めてきました。今回はこれまでの論点に加えて物価高騰への対策という観点も踏まえて数点お尋ねします。
 第1は、義務教育の無償化を定めた憲法26条に基づいた学校給食無償化の意義についてです。
憲法制定後の1951年、参議院で日本共産党議員の質問に対して政府は、「義務教育の無償をできるだけ早く広範囲に実現したいということは、政府としての根本的な考え方」とした上で、教科書、学用品、学校給食などを無償とすることが理想と答弁しています。いまだ実現していないことが問題であります。
 河村市長にお尋ねします。市長はこれまで、給食費無償化について、「義務教育は無償とする内容を拡大していくことは必要」と答弁されてきました。教育の一環である学校給食の無償化は、「義務教育は無償」という憲法26条の規定の完全実施に向かうものという認識では、私どもと市長は一致していると考えますが、いかがですか。

普通の庶民は全部無料になる就学援助の方がいい(市長)
【市長】就学援助では修学旅行も無料になる。かなり大きい。修学旅行だけでなく通学費とか、学用品とか、そういうのを名古屋では年収子ども2人世帯では500万円ちょっとで、今年から日本一になっとります。その方がものすごく手厚くて、給食を食育などむつかしいことを突然言っているが、修学旅行こそ、遊びで行くわけでない、一番義務教育に近い。そちらの方も一緒に無償にしていく。子ども2人で年収502万円になると本当に普通の庶民は全部無料ですよ。そちらの方がはるかに暖かい考え方で、教育の本旨とは何かということに近いと思っている。

「義務教育は無償」という憲法の原則には、所得制限という考え方はない(意見)
【田口議員】市長は、「就学援助で無償にしている」とおっしゃった。「全部タダにすると金持ち優遇」と言われなかっただけましですが、「義務教育は無償」という憲法の原則には、所得制限という考え方はないということを申し上げておきます。

給食費無償化は「金持ち優遇」になるのか
【田口議員】第2は、給食費の無償化は「金持ち優遇」か、ということです。
 市長は、給食費無償化について、当初は「泣かせる話」とか、「給食費を応援することはええこと」などと前向きに捉えようとされていました。ところが、ある時から、「全部無償にすると金持ち優遇になる」とおっしゃるようになりました。転機となったのは、2017年の市長選挙で対立候補が学校給食無償化を公約に掲げたことにあると、私は考えています。
 「金持ち優遇」という市長の見解について昨年9月、教育子ども委員会で自民党のふじた和秀議員が取り上げています。「給食費無料にしていくのは、金持ち優遇の施策になるのか」という質問に対して、当時の安藤教育次長は「無償化したから、金持ちだけ優遇にしたというようには、我々は捉えていない」と答弁されています。
 そこで、太田教育次長に確認します。教育委員会としては、学校給食を所得制限なしで無償化しても、「金持ち優遇」には当たらないという考えでいいですね。

給食費無償化が金持ち優遇に当たるとは考えていない(教育次長)
【教育次長】教育委員会といたしましては、「給食費無償化が金持ち優遇に当たる」とは考えておりません。

就学援助制度の拡大でよしとするのか
【田口議員】第3は、就学援助制度の拡大でよしとするのか、ということです。
 教育委員会は、「経済的に困っている世帯には就学援助がある」として、「真に援助を必要とする方に適切な援助を続けていく」との答弁を繰り返してきました。河村市長も、昨年6月定例会でのわが会派の代表質問に対して、「全部、ただにしてしまうと金持ち優遇になるので、就学援助を拡大することによって、相当の方が無料になる」と答弁されています。
 今年度から就学援助の所得基準が、生活保護基準の1.2倍程度まで引き上げられたことは重要です。しかし、就学援助と給食費無償化とでは制度の趣旨が異なります。就学援助は、「真に援助が必要」と行政がみなす子どもに限定した貧困対策です。本市の就学援助の認定率は、所得基準が引き上げられても、小学校12.9%、中学校15%の見込みとのことで、給食費が無償になる世帯は限られます。
 一方、給食費無償化は、すべての子どもを対象にした「義務教育は無償」という憲法の要請であるとともに、子育ての経済的な負担を軽減する子育て支援策であり、食育を通じて児童・生徒の健やかな成長を保障するものであります。
 教育次長、就学援助の拡大でよしとするのですか。子育ての経済的な負担を軽減する、とりわけ昨今の物価高騰のもとでの負担軽減にとって、給食費無償化は必要ではありませんか。答弁を求めます。
 第4は、無償化を実施する上で課題となる財源についてです。
 教育委員会は、「本市のように規模が大きい自治体が給食費の無償化を実施するには、費用面が大きな課題」であり、「国の動向や他都市の動きも注視したい」と答弁していました。
 コロナ禍のもとで給食費無償化に踏み出した政令指定都市が現れています。大阪市では2020年度から所得制限なしで小中学校の給食費を無料にしています。千葉市では、今年1月から第3子以降の学校給食を無償化しました。規模が大きい自治体でも無償化が始まっているのです。
 愛知県下では、小中学校給食費の完全無償化を実施しているのは豊根村だけですが、半額補助や一部補助、第3子以降の無償化など、何らかの助成を行っている自治体は19市町村にのぼっています。
 さらに、物価高騰対策として、国の地方創生臨時交付金を活用して、期間限定などで無償化に踏み出す自治体が現れています。津島市では、小中学校だけでなく、保育所なども含めて9月から来年3月まで無償にする。犬山市、蒲郡市、稲沢市なども期限付きで、小牧市は第3子から無償化すると聞いています。
 そこで、お尋ねします。緊急の物価高騰対策として、国の地方創生臨時交付金も活用して、期間を限定してでも学校給食の無償化に踏み切りませんか。
 恒久的に無償にする場合には、段階的な実施が考えられます。千葉市のように第3子以降の無償化を、本市で小学校給食に限って実施した場合、必要な経費は約4億4千万円です。1兆3千億円を超える本市の一般会計からすれば、この程度の予算が捻出できないはずはありません。
 まずは多子世帯の子育ての経済的負担を軽減するために、第3子以降の小学校給食費を無償にしてはいかがですか。

 給食費無償化や補助を行っている自治体
・大阪市:2020年度から小中学校の給食費を無料に
・千葉市:今年1月から第3子以降の学校給食を無償化
・愛知県:完全無償化の豊根村をはじめ、半額補助や一部補助、第3子以降の無償化など、何らかの助成を行っている自治体は19市町村に
     さらに期間限定で無料にー-津島市(7か月)、犬山市(4カ月)、蒲郡市(3か月)、稲沢市(2か月)   

食材費は保護者負担とするが、経済的困窮者は就学援助を。物価高騰対策で負担増なしでの給食水準の維持をする(教育次長)
【教育次長】学校給食法等により給食に必要な施設設備や運営に伴う人件費など調理にかかわる経費は学校設置者が負担し、その他の経費は保護者が負担することとされているので、食材費は、引き続き、保護者に負担をいただきたい。経済的にお困りの方には、就学援助制度で給食費を無償としている。この考え方は、期間を限定した無償化や第3子以降の無償化でも同様です。

給食費を払えない子どもはいないのか(再質問)
【田口議員】教育次長は、給食費無償化が「金持ち優遇」に当たるとは考えていないと、まっとうな答弁をされました。ただ、それ以外の答弁は納得がいきません。
 学校給食法では食材費は保護者負担とされているとの答弁でしたが、これは経費区分の問題で、保護者負担分を自治体が肩代わりすることを否定していません。現に今回の補正予算では、食材費の一部について補助されるじゃないですか。その補助を拡大して無償化したらどうかと、お尋ねしたんです。
 「経済的に困っている方には就学援助で無償にしている」と、従来からの答弁を繰り替えされました。それなら給食費を払えない子どもはいないのか。
 教育次長にお尋ねします。小学校の給食費が未納だった児童は何人いたのか。そのうち、経済的な理由で払えなかった児童は何人か。お答えください。

未納68人のうち経済的に払えないのは21人(教育次長)
【教育次長】把握している直近の数値は、令和2年度のもので、約11万人の対象者のうち、給食費の未納の方は68人、そのうち経済的な理由で支払えないという方は21人と聞いている。

物価高騰が家計を圧迫しているもとで、 給食費負担が重くなっている(再々質問)
【田口議員】答弁されたように、就学援助制度があっても、経済的な理由で給食費を払えなかった子どもがいるのです。
 4人の子どもを育てているお母さんから寄せられたメールを紹介します。「うちは、いま二人が小学生ですが、毎月4400円×2人分の給食費は、とても大きな負担です。来年度には3人になります。家計を切り詰めて払うしかないですよね」。
 給食費だけでなく、学用品費などの負担もあり、家計を切り詰めながら支払っている家庭が少なくないのではないでしょうか。とくにこの方のような多子世帯が大変です。この方の場合、来年度には6年生、4年生、1年生と3人になるそうですので、給食費だけで毎月13,200円の出費になります。
 教育次長にお尋ねします。就学援助の対象とならない一定以上の所得がある世帯にとっても、給食費の負担は重いと思いませんか。とりわけ物価高騰が家計を圧迫しているもとで、給食費負担が重くなっているという認識はありませんか。

保護者に負担なしで学校給食費に係る物価高騰対応支援を行う(教育次長)
【教育次長】物価高騰の中でも、保護者に負担をかけることなく現在の給食の水準を維持するため、学校給食費に係る物価高騰対応支援として、この6月定例会に補正予算案を提出した。

物価高騰が家計を圧迫している、給食費無償化に踏み出すべき(意見)
【田口議員】物価高騰による給食費の値上げを回避するために、補正予算で財政支援されることは評価しますが、現在の給食費負担に対する認識は、お答えになりませんでした。
 子どもが多い世帯の経済的負担を軽くするために、まずは第3子以降の小学校給食費の無償化を検討していただきたい。物価高騰が家計を圧迫しているときだからこそ、給食費無償化に踏み出すことを求めて、質問を終わります。

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