後期高齢者医療広域連合議会 2021年8月定例会 一般質問 コロナ禍の受診や健診など(伊藤建治春日井市議・2021年8月23日)

コロナ禍での受診控え対策、健診率アップ、保険料軽減の勧奨を    伊藤建治議員(春日井市)

① コロナ禍における受診控えについて

2020年度の医療費の状況はどう推移したか
【伊藤議員】事業概況の医療費の減額をみると、コロナ禍での受診控えの影響を受けていると思われる。2020年度の医療費、及び一人当たり医療費について、通年と、月別の状況をお伺いします。

2020年度の医療費は前年より1.61%減少、一人当たりでは3.58%の減少
【給付課長】2020年度の医療費は△1.61%、1人当たり医療費で△3.58%。月別では、医療費は6月、9月及び10月など2019年度を上回った月もあるが、全体としては減少、1人当たり医療費は全ての月で2019年度を下回った。

入院、入院外等、診療種類別の推移はどうか
【伊藤議員】医科入院、医科入院外、歯科、柔道整復師・針きゅうあんまマッサージ等、診療種類別ごとの状況をお尋ねします。

医科入院外と歯科で大きく減少
【給付課長】医科入院で、医療費は△0.93%、1人当たり医療費は△2.91%。医科入院外で、医療費は△2.42%、1人当たり医療費は△4.38%。歯科で、医療費は△2.50%、1人当たり医療費は△4.45%。調剤で、医療費は△1.97%、1人当たり医療費は△3.93%といずれも減少、特に医科入院外と歯科では大きく減少した。
 柔道整復、はり・きゅう、あん摩マッサージも、医療費は△16.31%、1人当たり医療費は△17.98%と大きく減少した。

今年度に入ってからの状況はどうか(再質問)
【伊藤議員】必要な医療を受けることは不要不急ではない。今現在の状況はどうなっているか。

増加しているがコロナ禍前の水準には戻っていない
【給付課長】2021年5月までの医療費を2020年度と比較すると、医療費、1人当たり医療費ともに増加しているが、コロナ禍前の2019年度の水準までには戻っていない。

柔道整復、針きゅうあんまマッサージの減少率は16.31%と高い原因は何か(再質問)
【伊藤議員】柔道整復、針きゅうあんまマッサージは16.31%と減少率が極めて高いが、コロナ禍以外の理由もあるのではないか、頻回受診を抑制するような働きかけなどを行ったことはないか。

正しいかかり方に関するリーフレットを送付
【給付課長】受診回数が比較的多い被保険者に毎年1回、正しいかかり方に関するリーフレットを送付しているが、医療費の適正化を目的としたものであり、受診の抑制を目的としたものではない。

適切な受診を促すように(意見)
【伊藤議員】これらの医療は、日常生活を送るために必要な基本的な動作であるADLや、生活の質であるQOLに直結するものです。ここが適切に受診できないことでADLやQOLが低下すれば、医療や介護の依存度が高くなる恐れがあります。
 必要な医療を適切に利用していただくことが、被保険者のくらしにも、保険者の医療給付にも肝要であり、適切な受診を促すようお願いします。

② 健康診査について

コロナ禍で受診率などに影響はあったのか
【伊藤議員】健診もほとんどの自治体で減少している。集団健診の中止や、被保険者が受診を控えたことなどの理由があると思われるが、その状況をお尋ねします。受診率が大幅に伸びている自治体もあるが、その理由をお伺いします。

集団検診の中止や短縮などにより44市町村で受診率が減少
【給付課長】昨年度は44市町村で受診率が減少した。新型コロナウイル感染症の影響等による集団健診の中止や実施期間の短縮等、当初計画を変更した影響と思われる。
 受診率が大幅に増加した自治体は、人間ドック受診者を健康診査受診者に含める取扱いとしたため。

受診率向上の取り組みをどう行ったか
【伊藤議員】コロナ禍でも受診率の向上は図られるべきで、その取り組みはどうか。

受診勧奨などの有効事例を紹介している
【給付課長】受診率の高い市町村の取組を他の市町村へ横展開することで、全体の受診率向上に努めている。市町村を個別に訪問し、受診率向上の取組みについて聞き取りを行い、課題を協議し、有効と思われる事例の紹介を行っている。
 未受診者を対象とした受診勧奨の実施、集団健診の日時を指定した通知の送付、地域の通いの場等に直接赴いて健康診査を行う「巡回健診」の実施、医療機関の待合スペースにポスターを掲示するなど。

働きかけは評価したい。今年度の取り組み状況は(再質問)
【伊藤議員】健診率向上への努力は評価したい。
 昨年度大きく低下をした健診受診率を、いかに引き上げていくのかが課題です。集団健診の中止や実施期間を短縮された自治体において、今年度の取り組み状況はどうなっているか尋ねします。

把握してないが機を見て状況確認したい
【給付課長】全ての市町村の実施状況を把握していないが、今後、時機を見て実施状況を確認したい。

検査項目の拡充を
【伊藤議員】検査項目には必須項目と詳細項目があるが、詳細項目の4項目は特別な検査ではなく、独自にこれらを必須項目に入れている自治体も多くある。詳細項目を必須項目に加えてはどうか。

必須項目、詳細項目とも厚労省のプログラムと同じ。50市町村で追加検査を実施
【給付課長】後期高齢者の健康診査は、厚生労働省の定める「標準的な健診・保健指導プログラム」に基づき実施している。全ての受診者が受ける必須項目とは別に、心電図検査、眼底検査、貧血検査及び血清クレアチニン検査の4項目を、健康診査の結果、医師が必要と認めた方に受診する詳細項目としている。これは、厚生労働省のプログラムにおける取扱いと全く同様で、今後もこの4項目は必須ではなく、詳細項目として取り扱っていく。
 自治体独自の検査項目の追加状況は、現在、県内の50市町村が実施している。心電図検査が26市町村、眼底検査が9市町村、貧血検査が32市町村、血清クレアチニン検査が49市町村。

全部必須にすればいい。柔軟に実施を(意見)
【伊藤議員】独自で詳細項目を必須にしている状況をみれば、全部必須にすればいい。とくに血清クレアチニンは54自治体中49自治体です。厚労省の線引きに固執するのではなく、被保険者の健康を守るという観点で、もっと柔軟に考えてほしい。

③ 歯科健診について

歯科健診の取り組みが遅れている
【伊藤議員】歯科健診の実施自治体は前年度比で減っています。実施しても受診者が1名など、実質的に取り組みがされていない自治体もある。広域連合も歯科健診を重要な保健事業と位置付けており、取り組みの拡大が必要です。

2020年度は前年より4減し、29市町村で実施
【給付課長】歯科健康診査は県内29市町村で実施、受診者数は8,185人。前年度は33市町村が実施した。減少した要因は、新型コロナウイルス感染症の影響で事業を中止したり、事業を実施したが歯科健康診査の受診者がいなかった等があげられる。
 重要な保健事業の一つと考えており、今後も引き続き、実施市町村数の拡大に努める。

実施自治体を増やし、受診率を上げる取り組みを(再質問)
【伊藤議員】実施自治体数は54自治体中29で半数になるが、受診者は県全体で8,185人、受診率で0.8%。歯科健診も重要な保健事業と位置付けているというが、全く活用されていないとも言うべきものです。
 受診者1名は春日井市。担当者によると、74歳以下の方が健診し、請求の時期のずれで、後期高齢者にカウントされただけとのこと。受診者がわずかな自治体もあり、重要な健診という位置づけとは全く乖離した実態がある。
 歯科健診の実施自治体を増やすことと、実施自治体においては受診率を上げる取り組みが必要ではないかと思いますが、ご所見を伺います。

実施は市町村。拡大に向けて補助する。受診率向上は自治体の仕事
【給付課長】歯科健康診査事業は、健康増進法において市町村が実施する健康増進事業。広域連合は、市町村への補助を行って拡大に努める。受診率向上は、市町村が地域の実情に応じて取り組むべきもの。

健診の取り組みの拡大に努力を(意見)
【伊藤議員】高齢者の死亡原因の2位、3位が肺炎であり、歯科健診はここから命を守るという点でも重要であり、健診の取り組みの拡大に努力して欲しい。

④ 所得の未申告者に対する保険料軽減の取り扱いについて

保険料が軽減される可能性がある被保険者数の推移は
【伊藤議員】後期高齢者医療の保険料の算定上、遺族年金、障がい年金は、所得としてはみなしませんが、所得の申告が必要です。未申告の方は、所得不明と取り扱われ、均等割は満額算定されます。これを回避し、所得に応じた保険料軽減を受けるには、後期高齢者医療広域連合に対して、所得がないことを申告する、簡易申告書を提出する必要があり、各市町村が所得の申告の勧奨を実施しています。
 昨年8月議会では、所得未申告者のうち、保険料が軽減される可能性がある被保険者数は約1881人との答弁だったが、今年度の状況はどうか。

今年7月末で2,182人
【管理課長】所得の未申告者のうち、他の世帯員の所得により満額の均等割額を賦課されることが確定している者を除き、保険料が軽減される可能性がある被保険者数は、2021年7月末時点で2,182人。

未申告者に再度の働きかけを(再質問)
【伊藤議員】昨年とほぼ同数です。そのほとんどの方が手続きさえすれば軽減される方だと思います。
 全市町村で対象者に簡易申告書の送付が実施されているのか。未申告の方には再度の働きかけを実施するよう、広域連合から呼び掛けていただきたい。

市町村が適切に実施
【管理課長】市町村で実施をしている。保険料軽減の可能性の有無に関わらず所得が未申告である対象者は、広域連合が対象者の一覧と後期高齢者医療制度で用いる所得の簡易申告書を作成し、データで該当市町村に送信している。市町村は、対象者を確認した後に必要な方に対し簡易申告書を送付し、その対象者から申告があった場合、所得の簡易申告の情報を広域連合へ送信し、広域連合で、その所得情報を基に、保険料の軽減判定を行っている。
 市町村で一度勧奨を行っているのに未申告となっている被保険者にの更なる対応等についての詳細は把握していない。必要に応じて適切に市町村が実施していると考えている。

ぜひ把握を(意見)
【伊藤議員】昨年の答弁と同じ。ぜひ把握をしていただきたい。この間、保険料率は値上げ、軽減特例も次々と廃止や縮小と、負担増ばかりになっている中にあって、負担が軽減できる方に対しては、きめ細やかなフォローが必要だと申し上げておきます

キーワード: