後期高齢者医療広域連合議会 2月定例会 一般質問 健診等へのコロナの影響(伊藤建治春日井市議・2021年2月12日)

受診控えや健診の受診率への影響について

受診控えや健診の受診率低下はどれだけか
【伊藤議員】私たちは今過去に経験のない世界的な感染症の危機にさらされています。その影響は、医療についても、受診控えや健診の受診率低下などに影響があると考えますが、その状況をおうかがいします。

医療費は10月までで1.47%減、5月は8%減。健診を中止した自治体もあり10.8%の減
【給付課長】令和2年度の当広域連合の被保険者に係る医療費については、3月から10月受診分までで、昨年度に比べ1.47%減少しています。診療月別に見ますと、国の緊急事態宣言が発出された 4、5月は各々4.82%、8.55%の減少と大きく落ち込んでおり、特に、令和2年5月の医科外来で前年比8%、歯科では17%近く減少しています。
 また、健康診査については、感染予防の観点から集団健診を中止した市町村もあり、4月から11月受診分までで、昨年度に比べ受診者数が10.84%減少しています。

受診勧奨の取り組みはできないか(再質問)
【伊藤議員】慢性疾患のある方の受診控えは、病気の重症化を招く恐れがある。適切に治療を続けるように受診の勧奨ができないか。

健康診査の必要性やかかりつけ医への相談等の重要性などの情報提供をする(課長)
【給付課長】過度な受診控えは健康上のリスクを高めてしまう可能性がある。コロナ禍でも医療機関で必要な受診を行っていただくため、ホームページに「コロナ禍でも必要な受診を」という項目を掲げ、厚生労働省の「上手な医療のかかり方.jp」のページにリンクさせることで健康診査の必要性やかかりつけ医への相談等の重要性など、新型コロナウイルス対策を踏まえた適切な受診に関する情報提供を行っている。
 今後も、積極的な情報捏供に努め、適切な受診につなげていきたい。

健診受診率向上の取り組みが必要では(再質問)
【伊藤議員】健診については、約11%のマイナス、集団健診を中止した自治体もあるとのこと。受診機会そのものがなくなってしまう。集団健診で行っていた自治体では、受診率が大きく低下してしまう。実施方法を変えるなど、コロナ禍の現状に即した健診受診率向上の取り組みが必要ではないか。

実施時期の見直しや機関の拡大などを検討(課長)
【給付課長】国の通知で、緊急事態宣言の対象地域では、集団での実施は、緊急事態宣言期間、原則として巽施を延期することとされている。
 集団健診の実施時期を緊急事態宣言解除後に延期し、感染拡大防止策を十分に講じたうえで実施することや、個別健診の受付期間のさらなる拡充を図るなど、市町村において、感染拡大の状況や地域の実情に応じ取り組んでいただく必要がある。

様々な機会に働きかけを(意見)
【伊藤議員】受診控えや、受診率の低下の影響が出ていることははっきりしていますので、様々な機会を捉えて、働きかけをしていただくようご期待申し上げます。

ワクチン接種でのレセプトデータの提供について

基礎疾患のある人のレセプトデータを各自治体に提供してはどうか
【伊藤議員】ワクチン接種は65歳以上の高齢者から実施するとのことですが、重症化や死亡率が高いとされている基礎疾患がある高齢者をより優先すべきではないか。しかし地方自治体は個々人の疾病データを有しておらず、選別ができない。そこで、そうした事務が行えるよう後期高齢者医療がレセプトデータを各自治体に提供し、活用できないか。

目的外使用はできない。厚労省の手引きにも記載はない
【給付課長】レセプトデータは、病歴等の配慮すべき個人情報を含むものであるため、診療報酬等の支払いという本来の使用目的以外の事務のために、本人の同意なく、利用、提供することは難しい。
 市町村で実施される、新型コロナウイルスワクチンの接種は、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に係る手引き」に具体的な事務取扱が提示されており、保険者から市町村へのレセプトデータの提供についての記載はない。
 この手引きは、今後の国における検討状況により随時追記されるので、国から何らかの方針が示された場合には、必要な協力を行う予定です。

指示待ちになるのでなく積極的な対応を。基礎疾患をかかえた人のデータ作成はできないのか(再質問)
【伊藤議員】厚生労働省の手引きに書いていないから、やらないという趣旨の答弁でした。
 私たちが直面しているのは、かつて経験のない事態であります。過去に倣うことができない事象が次々と起きています。そうした中にあっては、いつも通りの指示持ちになるのではなく、どんどん積極的にアイデアを反映させていくべきではないかと思います。
 これについて、技術的な点をお尋ねします。重症化や、死亡リスクが高いときれているCOPDでありますとか、糖尿病など、そうした基礎疾患を抱えている方をピックアップしたデータを作ることは可能か、この点についてお尋ねいたします。

レセプトは年間3000万件受理。膨大なデータが含まれている。その中からピックアップすることは困難
【総務課長】レセプトは、個人ごとに一か月単位で作成されており、当広域連合においては、一か月で約250万件、年間約3,000万件受理され、レセプトには、請求のあった医療機関等において、被保険者が過去に診断されたものを含め、多くの病名が記載されている。
 新型コロナウイルス感染症においてリスクが高いとされる、慢性閉塞性肺疾患いわゆるCOPDや糖尿病など、基礎疾患と呼ばれる疾病を抱えるすべての被保険者を一人一人ピックアップすると、膨大なデータを分析することになり、多くの時間、労力、費用等を要する。
 また、基礎疾患を抱える方のうち、他の疾病を併せ持っている方は、薬の飲み合わせなどの関係から治療を一時中断している場合もあり、そのような方はピックアップされない。

命を守るために手間、暇、金を惜しむな(意見)
【伊藤議員】デリケートな情報であり、その取扱いは慎重を期す必要があるが、人命を守るという観点で、あらゆる方法について検討し、実行して欲しいと思います。答弁は、手間、暇、金がかかるとのことでした。しかし、それで救われる命があるならば、それらを惜しむ道理はない。
 ワクチンをめぐる情勢は、二転三転しています。一つの瓶から6回分の量が取れるとしていたワクチン量は、注射器の形状から5回分しか取れないことが明らかになり、確保してあるワクチンで想定していた接桂可能人数が減る可能性があるとの報道もある。接種は集団接種の方法がとられるとのことだが、個別接種も加えるとのこと。いずれにせよ、ワクチンが行き渡るのに時間を要する中にあっては、リスクの高い方を優先することや、接種の際の感染対策への配慮は必要と思われます。レセプトデータは、そのために有用性の高いものであり、活用を検討すべきものです。
 私たちが直面しているのは、かつて経験のない事態です。多くの人命を守るために、過去や前例にこだわることなく、あらゆる知恵を出し合ってこの危機を乗り越えなければならないということを申し上げ、質問を終わります。

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