後期高齢者医療広域連合議会 8月定例会 一般質問 健診受診率の引き上げを/所得の未申告者に保険料軽減の勧奨を    (伊藤建治春日井市議・2020年8月18日)

健康診査等について

受診率の減少傾向が続いているが、その原因は
【伊藤議員】愛知県の受診率は、過去五年間、35%程度にとどまり、減少傾向が続いています。減少傾向が続いている原因はなにか。

受診できる医療機関数や、日数の減少や新型コロナウイルス感染症の影響など
【給付課長】受診率は、2018年度35.89%、2019年度35.75%とわずかながら低下。2019年の受診率低下の原因を市町村に聞いたが「受診できる医療機関数や、日数の減少」の他、年度末頃まで実施していた市町村では、新型コロナウイルス感染症での受診控えの影響も考えられる」としている。

受診率向上のために実施した取り組みは
【伊藤議員】受診率向上のための取り組みは。

多様な広報、国保健診などとの連携など有効と思われる事例を紹介
【給付課長】受診率の高い市町村を訪問し、受診率向上の取組について聞き取りを行い、受診率が伸び悩んでいる市町村を訪問し、課題を協議し、有効と思われる事例の紹介を行っている。
 主な事例として、「広報誌、ホームページ、行政無線及びメール配信サービス等、多様な方法で受診勧奨を行う」「受診券の発送時期を合わせるなど、国保の特定健診や他の健診と連動した取組を行う」「医療機関の待合スペースにポスターを掲示するなど、受診勧奨に医療機関の協力を得る」「共同でチラシを作製するなど、国保だけでなく、他の健康保険組合と協力して受診勧奨を行う」など。

健診受診率が向上している自治体での特別な取り組みはなにか
【伊藤議員】豊橋市、刈谷市、大口町は2ポイント以上の健診受診率が向上。蒲郡、稲沢、知多、岩倉、清須、あま、飛島、阿久比は1ポイント程度の向上。これら改善が見られた自治体において、どんな特別な取り組みがあったのか。

未受診者への勧奨、受診できる医療機関の増加、休日対応による受診可能日数の増加、受診予約の不要化等
【給付課長】2019年度の健康診査受診率を見ると、30の市町村で受診率が上昇し、1.0パーセント以上上昇したのは11市町村でした。受診率上昇の原因は、様々で、未受診者への勧奨、受診できる医療機関の増加、休日対応による受診可能日数の増加、受診予約の不要化等が挙げられる。

未受診の理由の調査や電話や訪問での受診勧奨を
【伊藤議員】より効果的な取り組みを実施するために、未受診の理由の調査をしてはどうか。電話や訪問での受診勧奨に取り組む考えはないか。

普段から医療機関を受診しているため必要ないという国保の調査結果と同様。個別の受診勧奨を働きかける
【給付課長】未受診理由の調査は、一部の市町村の国民健康保険で実施され、「普段から医療機関を受診しているため、別途、健康診査を受診する必要はないと考えている」というのが多かった。後期高齢者も同様と考える。
 未受診者への個別の受診勧奨は、市町村が実施しており、2019年度は17市町村が取り組んだ。今後も、市町村で個別の受診勧奨を実施するよう働きかける。

検査項目の拡充を
【伊藤議員】検査項目には、必須項目と、医師が必要と判断した場合に受けることができる詳細項目がある。貧血検査、心電図検査、眼底検査、血清クレアチニン検査の4項目。いずれも特別な検査ではなく、基本項目に入っていても不思議ではないものばかりです。自治体によっては、独自にこれらを必須項目に入れているところも数多くあります。詳細項目を必須項目に加えてはいかがでしょうか。

厚生労働省のプログラムと全く同様で今後も継続する
【給付課長】後期高齢者の健康診査は、厚生労働省の「標準的な健診・保健指導プログラム」に基づき実施している。現在、全ての受診者が受ける検査の必須項目とは別に、心電図検査、眼底検査、貧血検査及び血清クレアチニン検査の4項目を、健康診査の結果、医師が必要と認めた方に受診いただく詳細項目としている。これは、厚生労働省のプログラムと全く同様で、今後も4項目は詳細項目として取り扱っていく。

独自に必須項目に加えている自治体は
【伊藤議員】独自に必須項目に加えている自治体の状況をおたずねします。

心電図検査が26市町村、眼底検査が7市町村、貧血検査が32市町村、血清クレアチニン検査が49市町村で50市町村が実施
【給付課長】自治体独自の検査項目の追加状況は、現在、県内50市町村が実施している。心電図検査が26市町村、眼底検査が7市町村、貧血検査が32市町村、血清クレアチニン検査が49市町村。

歯科健診の実施を増やせ
【伊藤議員】口腔の健康は、日々の食事だけでなく、肺炎などの疾病の予防からも重要で、歯科健診の有用性が指摘されています。愛知県における歯科健診の実施自治体は毎年増え、33自治体になり、すべての自治体での実施が望ましい。見解と、実施自治体を増やすための取り組みについてお伺いします。

実施市町村数の拡大に努める
【給付課長】2019年度の後期高齢者医療の歯科健康診査は、県内33の市町村で実施し、受診者数は9,232人でした。2018年度は実施市町村数が30、受診者数7,468人で、2019年度は実施が拡大している。
 歯科健康診査は、口腔機能低下の予防を図り、肺炎等の疾病予防につなげることを目的としており、当広域連合も、重要な保健事業の一つと考えている。
 今後も、市町村へ歯科健康診査の実施を依頼するとともに、歯科健康診査実施費用の市町村補助を行いながら、実施市町村数の拡大に努める。

未受診理由の独自調査を行い、対策をすべきだ(再質問)
【伊藤議員】東京都の広域連合が2019年度に健診の未受診の理由を調査しました。「健康だから、日常気になるところがいから」が50%近くあった。愛知県でも同様の傾向ではないか。自覚症状がないところから生活習慣病は進行していきます。東京都は、結果を踏まえて受診勧奨の取り組みをするとのこと。愛知県でも、まずは調査。その結果に基づき、効果的な勧奨方法を検討してはどうかと思います。

国民生活基礎調査の中でも「心配な時はいつでも医療機関を受診できるから」が全体の34.9%と最も多かった
【給付課長】健康診査の未受診理由は、厚生労働省が実施した2019年国民生活基礎調査に、全国の20歳以上の方を対象にした調査結果の記載があり、その中で「健診等を受けなかった理由」について、「心配な時はいつでも医療機関を受診できるから」が最も多く、全体の34.9%を占める結果となっており、受診率が頭打ちとなっている原因の一つではないか。
 当広域連合としては、こういった傾向を踏まえ、被保険者に対する健康診査の重要性の啓発方法等、効果的な受診率向上の取組みについて、引き続き検討したい。

血清クレアチニンは、ほとんどの自治体が実施しており必須に加えたら
【伊藤議員】検査項目で心電図、貧血検査は半数を超える自治体が実施。血清クレアチニンはほとんどすべての自治体が実施。検査の有用性は明らかで、やはり広域連合として、項目に加えるべきと感じました。特に血清クレアチニンは、ほとんどの自治体が実施しています。これはもう必須に加えたらいいと思うのですがいかがでしょうか。

国の検討会でも両論あったが、国に従う
【給付課長】血清クレアチニン検査は、厚生労働省において専門家による検討会の報告を踏まえて2018年度から健康診査の項目に追加された。その際、検討会では、基本項目に位置付けるべきという意見と、詳細項目として実施すべきという意見の両論があり、最終的に、詳細項目として追加された。
広域連合では、国のプログラムに従い詳細項目として今後も実施していく。

歯科健診をすべての自治体で(再質問)
【伊藤議員】歯科健診は、広域連合として実施しているところが複数ある。愛知県においても健康診査と同様に広域連合としてすべての自治体での実施をしてはいかがかと思いますが、ご所見を伺います。

歯科健診は市町村が実施する健康増進事業であり、市町村に補助して拡大する
【給付課長】健康診査事業は、広域連合が取り組む保健事業であり、歯科健康診査事業は、健康増進法で市町村が実施する健康増進事業です。後期高齢者に対する歯科健康診査事業も市町村で実施し、広域連合は、市町村の実施経費を補助する方法で、市町村を支援し、広域連合全体の事業の拡大に努める。

所得の未申告者に対する保険料軽減の取り扱いについて

保険料が軽減される可能性がある被保険者数は
【伊藤議員】所得の未申告者に対する保険料軽減の取り扱いについて聞きます。
 後期高齢者医療の保険料の算定上、遺族年金、障がい年金は、所得としてはみなしませんが、所得の申告が必要です。未申告の方は、所得不明と取り扱われ、均等割は満額算定されます。これを回避し、所得に応じた保険料軽減を受けるには、所得がないことを申告する、簡易申告書を提出する必要があり、各市町村が所得の申告の勧奨を実施しています。
 2017年8月の一般質問では、所得未申告者のうち、保険料が軽減される可能性がある被保険者数は約2,400人であったが、その後どう推移しているか。

7月末で2018年度2,015人、2019年度1,246人、2020年度1,881人
【管理課長】所得の未申告者のうち、他の世帯員の所得により満額の均等割額を賦課されることが確定している者を除き、保険料が軽減される可能性がある被保険者数の推移は、各年度の7月末時点において、2018年度2,015人、2019年度1,246人、2020年度1,881人です。

所得の申告の勧奨を
【伊藤議員】広域連合で後期高齢者医療制度において用いる所得の簡易申告書を作成し、市町村に送付し、市町村が勧奨を実施する手続きとの説明がございました。それでも、未申告のままとなっている被保険者がいるとのことでした。現状も一定の人数でそうした方がいると思われます。この方々に対して、再度の働きかけを実施してはどうか。
 すでにそのような取り組みを実施している自治体があれば、その状況をうかがいます。

必要に応じて適切に市町村が実施
【管理課長】未申告者に対する所得の申告の勧奨は、市町村で実施している。具体的には、保険料軽減の可能性の有無に関わらず所得が未申告である対象者について、広域連合がその対象者の一覧と後期高齢者医療制度において用いる所得の簡易申告書を作成し、データにて市町村に送信しています。
 市町村で対象者を確認した後に、必要な方に対して簡易申告書を送付し、その対象者から申告があった場合、所得の簡易申告の情報を広域連合へ送信し、広域連合にてその所得情報を基に、保険料の軽減判定を行っている。
 広域連合としては、市町村で一度勧奨を行っているにも関わらず未申告となっている被保険者に対する更なる対応等について、詳細は把握してないが、必要に応じて適切に市町村が実施していると考える。

負担が軽減できる方に対しては、きめ細やかなフォローが必要だ(意見)
【伊藤議員】所得の未申告者に対する保険料軽減の取り扱いについて、以前に質問をした際、年金機構に問い合わせをするなどして自動適用ができないものかとお尋ねをしましたが、「少額の一時所得や雑所得など、他の所得を有することがあり得るため、軽減を自動的に適用することはできません」とのことでした。
 保険料が軽減される可能性がある被保険者は1881人とのことです。おそらく、そのほとんどの方が手続きさえすれば軽減される方だと思います。市町村で申請勧奨をしており、未申告のままの方に対する対応は把握していないとのことでした。これはぜひ把握をしていただくことと、電話などでの働きかけを実施するようにしていただきたいと思います。
 この間、保険料率は値上げ、軽減特例も次々と廃止や縮小と負担増ばかりになっている中にあって、負担が軽減できる方に対しては、きめ細やかなフォローが必要だということは申し上げます。

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