2020年6月議会

田口一登議員の報酬800万円特例条例案に対する質疑(2020年6月26日6月定例会)

コロナ禍のもと、市民の気持ちに寄りそって
          田口一登議員

住民に寄り添うなどの点では意義があるが、なぜ800万円特例値なのか
【田口議員】日本共産党市議団が実施している新型コロナに関する市民アンケートでは、窮状を訴える声とともに、国会議員の歳費や地方議員の報酬の削減を求める声が寄せられています。国会議員が歳費を2割削減し、いくつかの指定都市も含めて少なくない地方議会でも、報酬の一時的な削減を行いますが、これは、議員が国民・住民に寄り添い、気持ちを一つにして、コロナ危機に立ち向かうという点で意義があると考えます。
 本条例案は、コロナ禍のもとで、議員報酬を特例的に制度値から半減の800万円に引き下げるというものです。まず、お尋ねしたいのは、どうして800万円なのかという点です。
 現行の特例値は、月額報酬を制度値から15%削減していますが、これは、それまでの800万円から、市民の声も聞かないで、1455万円へと一気に引き上げたものであり、いまでも市民は厳しい視線を向けています。わが会派は、まずは引き上げ前の800万円に戻し、その上で、新たな報酬額については、市民参加の第3者機関を設置し、民意を聴取しながら検討し決定することを求めてきました。わが会派が、800万円という特例値を提示しているのは、議員報酬額の議論を出発点に戻すという立場からのものです。
 減税ナゴヤは、昨年6月定例会に800万円を恒久化する条例案を提出しました。800万円を制度値とする根拠については、当時の議会で議論させていただきましたが、本条例案は特例で一時的なものです。そこで今回は、特例値を800万円とする根拠をお尋ねします。

昨年、制度値が否決されたので、2011年に可決した特例値で提案
【鈴木議員】昨年6月定例会に、制度値を800万円とする条例案を提出したが、可決には至らなかった。今回は、「自ら身を切ることで、コロナ禍で苦しんでい

る市民のみなさまに寄り添い、ともにコロナと戦い抜く決意を示すこと」を第一の目的としており、可決させたいとの思いから、平成23年に全会派共同で議員提出議案として提案し、全会一致で可決したことのある「特例値800万円」として提案した。

昨年、共産党提案の800万円特例条例に減税は反対した。今回提案では制度値1633万円に戻らないといえるのか
【田口議員】昨年の2月定例会でわが会派は、1年間は800万円に引き下げるとともに、第3者機関で民意を聴取しながら新たな報酬額を検討するという条例案を提出しました。これにたいして減税ナゴヤは、総務環境委員会で「特例値はどこまでいっても特例値であり、制度値である1633万円に戻る可能性は否定できない」と言って反対しました。この言葉を今回はそっくりお返ししたい。
 特例値はどこまでいっても特例値であり、制度値である1633万円に戻る可能性は否定できないのではありませんか。お答えください。

1633万円に戻る可能性は否定できない(鈴木)
【鈴木議員】期間が定められた特例条例案である以上、期間が過ぎれば自動的に制度値である1633万円に戻る可能性は否定できない。

市民参加の第3者機関を設置し、民意を聴取しながら報酬額を検討する考えはないのか
【田口議員】制度値の1633万円に戻さないようにするためには、特例で800万円に引き下げている間に、制度値を引き下げれば済みます。しかし、新たな報酬額については、民意を聴取し、市民の理解と納得を得て決めなければなりません。河村市長も、昨年の2月定例会で、「議会みずからが名古屋市議会基本条例第16条に基づき、参考人制度や公聴会制度等を活用しながら、報酬について市民にしっかり説明をし、市民の理解と納得を得て決めていかなければならない」と述べるとともに、「議会がやられて、市民の皆さんの納得ができる、了解のできる金額が出てきたら、……それは従うことになります」と答弁し、議会が民意にもとづく報酬額を決めたら、市長も従う意向を表明しました。
 そこで、提案者にお尋ねします。議員報酬の制度値については、市民参加の第3者機関を設置し、民意を聴取しながら検討するお考えがありますか。第3者機関という場合、議会基本条例で例示された公聴会制度も含めて、見解を伺います。

広く市民の意見をうかがうことは重要(鈴木)
【鈴木議員】制度値については提案した際に議論したいと思いますが、例えば公聴会制度なども含め、どういった形での聴取が望ましいかについては今後検討したいと思いますが、広く市民のみなさまのご意見をうかがうということに関しては重要であると考えています。

場当たり的で、以前の800万円にしたいとしか聞こえない。市民の声を聞いて報酬額の提案をするべき(意見)
【田口議員】意見を申し上げます。
 1点目。特例値を800万円とする根拠については、平成23年に全会一致で可決したことがあるからとの答弁でした。これは、平成28年4月に引き上げられた特例値を、引き上げ前に戻すという考えにほかならないと理解させていただきます。
 2点目。「特例条例案である以上、期間が過ぎれば自動的に制度値である1633万円に戻る可能性は否定できない」と答弁されましたが、このことを理由に、昨年2月定例会では共産党市議団の800万円特例条例案に減税ナゴヤは反対されたのです。この反対理由が、自分たちが特例条例案を出す際に跳ね返ってくることを考えなかったのですか。場当たり的だと言わなければなりません。
 3点目。制度値の議論にあたっては、「広く市民の意見を伺うことは重要である」と答弁されました。民意を聴取する仕方については、私たちが提案した市民参加の第三者機関もあれば、議会基本条例で例示された公聴会制度もあります。「どういった形での民意の聴取が望ましいかは、今後検討したい」とのことですので、今後は、あなた方が、民意を聴取する手続きを伴わないで制度値を提案することはありえないと受け止めました。
 以上で質問を終わります。

参考:提案趣旨説明
【鈴木孝之議員】ウイズコロナ時代の新しいマナーを守って感染拡大を防いでくださっている市民のみなさま、日々現場でご尽力いただいている医療・介護従事者・市職員をはじめとする関係者のみなさまに、この場をお借りして、深く感謝申し上げます。
 このコロナ禍により社会経済の低迷がさらに長期化することが懸念されている今、市民に広がる多大な不安や経済的損失を少しでも払拭できるよう、市民生活への可能な限りの支援が求められています。
 また、本市では今のところ急激な感染拡大の兆候は見られないとのことですが、検査体制や医療体制の充実など、第2波・第3波への備えも急務です。
 先日の提案理由説明におきましても、市長からは「名古屋市職員一丸となって、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済の再生に全身全霊で取り組んでいく」と決意表明がなされたところです。このような状況下において、市民の代表である市会議員として何ができるのか。自ら身を切ることで、苦しんでいる市民のみなさまに寄り添い、ともにコロナと戦い抜く決意を示すことではないでしょうか。
 ひいては、財政調整基金が年度末には5000万円まで激減する見込みの本市の財政状況において、報酬削減分をコロナ対策の一部に充てることにもつながります。
 以上、本年8月より令和5年3月末までの間、議員報酬を年額800万円とする条例案を提出するものです。

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