名港議会 山口清明議員の一般質問②水族館の入場料(2019年3月26日)

国際バルク戦略港湾の見直しを

国際バルク戦略港湾からの撤退を

【山口議員】名古屋港は2011年に国際バルク戦略港湾に穀物(とうもろこし)で選定され、2012年には、北浜ふ頭にバルク関連の桟橋、大水深の泊地、企業用地用の埋立を行うことを名古屋港の港湾計画に追加して位置づけました。
 この間、計画を進めるための調査費として組合の自主財源から約4億円を支出してきましたが、2015年度以降は、バルク関連の予算は4年間、一円も計上されていません。

 国際バルク戦略港湾に関する事業は事実上、凍結されています。なぜか。
一つは整備のための費用が多額になることです。2011年度からの調査によって、土質調査により軟弱な地盤層が厚く堆積していることが確認され、検討の結果、埋立護岸整備費が当初試算の200億円から約600億円に増加することが明らかになりました。
 二つめに民間企業に依存した計画であることです。国際バルク戦略港湾には穀物・鉄鉱石・石炭で計9港湾が選定されましたが、事業着手したところは5港。いずれも公共岸壁であり、国の直轄事業として、岸壁や航路・泊地の整備が進められています。ところが名古屋港のように民間ふ頭の整備という事業手法の港はどこも事業に着手していません。

 民間岸壁の整備には民間の投資が必要ですが、TPP11とかアメリカとの新たな貿易協定といった貿易の自由化の影響が不透明で、民間企業は新たな投資に慎重な姿勢を示しているのです。
 そして国の姿勢です。国策だと言いながら、港湾整備に係る国からの特別な支援は何もないことがはっきりしました。膨大な負担を地元の港湾管理者と関係企業に求めるだけ、とても国策とか国際戦略と呼べるようなものではありません。
 新年度予算には国際バルク戦略港湾に関するものは今年も一円も計上されていません。これで5年間、一円も予算がつかないわけですが、企画調整室にはバルク戦略担当がずっと置かれています。このままでいいのでしょうか。
 そこでうかがいます。国際バルク戦略港湾はもはや実現の見通しがないのではありませんか。いまが潮時です。名古屋港として国際バルク戦略港湾からの撤退を表明する時ではありませんか。答弁を求めます。

状況変化を見ながら、関連企業や国と協議をする

【企画調整室長】名古屋港は、2011年5月に穀物で国際バルク戦略港湾に選定され、この計画実現に向け、穀物関連企業との協議や新食糧コンビナート用地の埋立免許取得に必要な調査などを行ってきた。
 しかし、埋立計画地の護岸整備費が当初想定した約200億円から約600億円に増加することが明らかとなり、また、選定時以降、穀物輸入を取り巻く環境が大きく変化し、社会経済情勢においてもTPP11協定や日米物品貿易協定(TAG)等による穀物需要への影響程度が不透明で、穀物関連企業は計画の具体化に向けた民間投資に慎重な姿勢を示しており、本組合としては、計画内容の検証を進めている。
 今後、状況変化を見据えながら、穀物関連企業や国と協議を行っていく。

国の予算がないのに担当を置く組織体制は見直しを(意見)

【山口議員】国際バルク戦略港湾については、状況変化を見据えながら関連企業や国とも協議する、との答弁でした。提案されている予算書にも国際バルク戦略港湾に関するものは影も形もありません。もう5年目に入ります。企業は投資に慎重な姿勢を崩していません。
 国に対して、計画そのものの見直しや名古屋港からの提案取り下げなど、事業からの撤退を見据えて、はっきり態度を表明する段階です。
 予算がないのに担当を置いている組織体制についても見直すべきです。
 新年度中に、方向性をはっきりさせ、何らかの決断をされることを強く求めておきます。

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