名港議会 山口清明議員の一般質問①ヒアリ対策(2017年11月10日)

ヒアリ等の対策について
山口清明 議員

全国でいちばんたくさんヒアリが発見されている名古屋港
【山口議員】特定外来生物「ヒアリ」が今年6月に兵庫県尼崎市において国内で初めて確認されました。特定外来生物の対応を所管する環境省の発表では、11月9日現在、12都府県で24件確認されています。
 今月に入っても浜松市で6日、鍋田ふ頭で7日、それぞれ新たに発見されたアリが、ヒアリと同定されました。鍋田ふ頭で陸揚げされ、浜松市内の事業者敷地内に運ばれたコンテナ貨物から約200個体、空になって鍋田ふ頭に返ってきたコンテナから7個体が発見されました。つまり、鍋田ふ頭で陸揚げされた時点、港のコンテナヤードを出る時点では発見できませんでした。水際では防げなかったケースです。
 名古屋港では本年6月27日、鍋田ふ頭のコンテナターミナルにおいて、搬出されるコンテナ外部で「ヒアリ」が発見されたのを皮切りに、飛島ふ頭や船見ふ頭などであいつぎ、ヒアリ及び同じく特定外来生物の「アカカミアリ」が発見されました。全国で発見確認されたヒアリ24件のうち6件、四分の一が名古屋港。件数では全国でいちばんたくさんヒアリが発見確認されているのが名古屋港です。この事態を冷静かつ深刻に受け止めて、総合的な対策をとる必要があります。
 日本共産党名古屋市議団は、7月5日に、愛知県議団及び鍋田ふ頭が立地する弥富市議団と連名で、管理組合に対し、ヒアリ対策について4項目の申し入れを行い、また8月17日には環境省・国土交通省からレクチャーを受けるとともに対応の強化を要請してきました。

名古屋港管理組合に申し入れる、本村伸子衆院議員、愛知県議団(わしの団長、しもおく議員)、名古屋市議団(田口団長、山口議員、高橋議員、くれまつ議員、さはし議員、藤井議員)と那須弥富市議(7月5日)

 初めての事態の中で、名古屋港管理組合がこれまで関係諸機関と共に行ってきた調査と防除、注意喚起等の取り組みについては一定の評価ができると思います。また国等への要望事項についても適切な内容であり、実現のために私も努力したいと思います。そのことを前提にしてうかがいます。

国への要望に対する対応や財政支援はどうなったのか
【山口議員】名古屋港管理組合管理者から国土交通大臣に対し7月13日に提出した要望、及び9月11日に六大港協議会として同じく国土交通大臣に対し提出した要望について、国はどのように対応しているのですか。
 要望には「港湾管理者が実施する対策にかかる費用の財政的な支援」についても含まれています。提案された補正予算には、ヒアリの水際での防除に向けた調査費として800万円が計上されていますが、この費用について国からの財政的な支援はありますか。

国はトラップ等の調査を行い、舗装の亀裂の補修に取り組んだ。財政的支援制度が概算要求の盛り込まれた(部長)
【港営部長】7月に総合的な対策や財政的な支援について要望しました。
 こうした中、総合的な対策として中国や台湾等からのコンテナ定期輸送サービスが行われている全国68港湾において、コンテナ貨物の周辺を対象に、8月から11月にかけてヒアリの調査に取り組みました。この調査は、対象施設の目視調査や、トラップを設置・回収し、トラップの判別を行うもので、1回目は全ての作業を国が、2回目及び3回日は港湾管理者が目視調査とトラップの設置・回収作業を分担して行っています。
 また、国土交通省は、コンテナ夕ーミナルにおいてヒアリの定着を防止するため舗装の亀裂箇所を補修する取り組みにも着手しました。
 一方、港湾管理者への財政的な支援として、来年度の国土交通省港湾局の概算要求において、ヒアリ等特定外来生物の生息環境となりうる港湾施設の改良に対する財政的な支援制度の創設が盛り込まれています。

愛知県や名古屋市との連携はどうだったのか
【山口議員】ヒアリ等の特定外来生物への対応は国に一義的な責任があります。この立場を堅持したうえで、港湾管理者として港湾の安全と環境を保全する責務を果たすことは当然です。しかし港湾管理者としてできることには限界があります。
 特定外来生物の防除や駆除については、自治体レベルでは県・市の環境及び保健衛生行政が担うべき分野とされており、一部事務組合としての名古屋港管理組合には担当すべき部署も、専門的な人材もいません。
 貨物については税関も含めて水際でチェックすることになっていますが、コンテナという輸送手段、コンテナと言う箱については、そもそも船社等の所有物であり、港湾管理者に点検する権限はありません。
 さらに名古屋港でヒアリが発見されたコンテナターミナルの管理運営は、港湾民営化によって港湾運営会社などが担うことになったところです。ヒアリ等の特定外来生物の防除を徹底して、コンテナ物流の安全と信頼を確保するためには、港湾管理者の取り組みだけでは不十分です。そこでうかがいます。
 特定外来生物の駆除・防除という業務を水際で徹底するためには、愛知県や名古屋市に対して、保健衛生分野での人的支援や財政的な支援を求める必要があると考えますが、いかがですか。県・市との連携について、これまでの取り組みと今後の対応についても答弁を求めます。

情報共有を図りつつ、確認時の対応などについて協議・確認を行っている(部長)
【港営部長】本港でヒアリが確認されて以降、愛知県、名古屋市とは情報共有を図りながら、ヒアリ等確認時の対応などについて協議・確認を行うなど速携を図っています。
 その中で、ヒアリと疑われるアリが発見された場合には、愛知県環境部で問合せ・相談を受け、名古屋市城内で発見された場合には、名古屋市の各区の保健所でも問合せ・相談を受ける体制とされている。
 名古屋港内でヒアリが確認された際は、愛知県環境部、名古屋市環境局等関係部局、本組合はじめ関係機関が連携して目視調査などを実施しています。引き続き、愛知県、名古屋市と連携を密にして対応していきます。

コンテナターミナルの舗装は港湾運営会社の責任と負担でおこなうのか
【山口議員】国が新たに示した対策の一つにコンテナターミナルの舗装に関するものがあります。いわゆる上物に相当する部分ですが、この整備・補修は港湾運営会社の責任と負担で行うものと考えてよいですか。

財政的な支援制度の創設は盛り込まれたが詳細な内容はわからない(部長)
【港営部長】来年度概算要求でヒアリ等特定外来生物の生息環境となりうる港湾施設の改良に対する財政的な支援制度の創設が盛り込まれたが、港湾運営会社の責任や負担を含めた制度の詳細な内容は、現在のところ明らかになってない。
 国土交通省港湾局の検討状況を注視しつつ、支援制度の活用に向けた関係者調整に取り組んでいきたい。

コンテナ所有者の責任を明らかにする働きかけを
【山口議員】コンテナ所有者の責任についてはどう考えていますか。アリが巣くうような状態のコンテナは船舶輸送には使わせないルールが必要ではないでしょうか。
 管理組合からも既に国へ要望していますが、積出港での対策強化が抜本的な問題解決には不可欠です。国に対策を求めるだけでなく、中国港湾当局との交流にも力をいれてきた名古屋港として独自に働きかけることはできませんか。
 国にはもちろんですが、関係業界にも、交易相手国の港湾当局にも、積極的に働きかける姿勢が必要ではないでしょうか。

コンテナ所有者における対策も重要だ(部長)
【港営部長】ヒアリが海外から輸送されてくるコンテナ内部の床板等で発見されていることを踏まえ、水際での防除においては、船会社、荷主などのコンテナ所有者における対策も重要と認識している。

積出港での対策強化の具体化をどうするのか
【山口議員】積出港における対策強化をどう具体化していくか。

日中韓生物多様性政策対話等で論議されている。国へは総合てみな防止策を要望した(部長)
【港営部長】積出港での対策強化は、7月から環境省が主催する専門 家会合において、ヒアリの防除等に関する検討の中で議論されており、また、8月の日中韓三カ国環境大臣会合を受け、事務レベル会合である日中韓生物多様性政策対話において、コンテナ積出し時の効果的な対策の可能性についての議論が進められている。
 9月には、本港はじめ、東京港、横浜港、大阪港、神戸港などの港湾管理者で構成する六大港湾協議会から、国土交通大臣に対し、積出港における対策も含めた総合的な施策を実施し、水際での侵入防止を徹底することを要望した。

ヒアリ等の調査は、国の責任でしっかりやるように(要望)
【山口議員】ヒアリ等の特定外来生物に対する必要な調査はしっかりやってください。しかし調査費用は基本的に国が責任を持つべきです。
 名古屋港独自の対策ならともかく補正予算に盛られた調査内容を見る限り、国の行う調査と内容は変わらない。回数をこまめに行うだけです。
 問題なのは11月に新たに鍋田で見つかったようなケース。ヒアリがいたコンテナ貨物が名古屋港をスルーしてしまい、港で確認されたのは空になったコンテナが返ってきた時点でした。
 水際での予防対策としては、定期的な調査だけでは不十分なのです。早期に発見し、定着を防ぐための取り組みと同時に、もう一歩、積極的な攻めの対策が必要です。
 11月4日の読売新聞では「環境省は中国本土でコンテナに殺虫剤を入れる新たな対策を導入する方針を固めた」との報道がありました。積出港やコンテナそのものへの対策が国レベルでも動き出しています。
 こういう動きを後押しするような名古屋港独自の中国港湾への働きかけやコンテナ所有者への働きかけをぜひ具体化していただきたい。
 そして財政的に大変なのが、コンテナターミナルヤードの舗装です。上物を整備と管理を担う港湾運営会社の責任と負担について、よく検討してください。公共から民間に移した途端、公的な負担で整備すべき課題が生じた。港湾の公共的な性格をよく踏まえて検討いただきたい。

キーワード: