2017年2月定例会

柴田民雄議員の個人質問①マイナンバー運用について(3月9日)

特別徴収税額決定通知書へのマイナンバーの記載について

柴田民雄議員

マイナンバーを普通郵便で送るのはやめるべき
 
【柴田議員】事業主が従業員の市民税を特別徴収する、いわゆる天引きで納税を行う場合、従業員のマイナンバーを収集することがマイナンバー法で義務付けられました。同時に、事業主の個人情報管理の「安全管理措置」がマイナンバー法で義務化され、情報が漏れた場合、4年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科せられることになりました。事業所内の書類の厳格な管理、パソコンソフトのセキュリティー対応品への切り替え、頑丈な金庫やシュレッダーなどの設備が必要となるなど、この安全管理措置は、とりわけ零細事業者には、過大な負担を強いるものとなっています。まだ対策が十分とれていないからマイナンバーを正直取り扱いたくないと考えている事業者も多いのが現状です。
 一方、従業員がマイナンバーの開示を拒んだ場合、とくに罰則もなく、マイナンバーは記載しないまま申告でき、本市も受理するという運用になっています。これはマイナンバーが様々な個人情報を一つに結び付けることを目的としている設計思想上、極めて重要な個人情報となることから、その開示を拒む権利を強制的に奪うことはできないというバランスで統一的に運用されているルールであると考えられます。
 ところが5月頃に本市から事業主に送られる、「個人住民税に係る特別徴収税額決定通知書(特別徴収義務者用)」には、従業員がマイナンバーを開示していようがいまいが、本市が住民基本台帳でマイナンバーをつかんでいる従業員について、一方的にマイナンバーを記載して通知する方針だと、しかもその送付は普通郵便で行われる方針と聞いています。
 そのような重要な個人情報であるマイナンバー、漏えいの罰則を事業主に課すようなマイナンバーを、郵便受けからの抜き取りや、誤配送など情報漏えいのリスクのある普通郵便で送っていいのですか。配慮に欠けるのではありませんか。

普通郵便で支障ない(財政局長)
【財政局長】マイナンバーは重要な個人情報であり、その取扱いについて配慮するよう、法令のほか、通知等もなされている。特別徴収税額決通知書の送付方法は、かならずしも簡易書留でなくてはならないとはされていないが、各市区町村の判断により、適切な郵送方法で送付することとされた。
 多数の方に短期間で通知する必要があり、従来から普通郵便で支障なく送達されているが、マイナンバーは重要な個人情報なので、適切に取り扱っていきたい。

特別徴収税額決定通知書へのマイナンバーの記載は義務ではない
【柴田議員】そもそも、特別徴収税額決定通知書へのマイナンバーの記載は、自治体の義務なのでしょうか。
 地方税法施行規則が改正されて、新しくなった特別徴収税額決定通知書の様式を使うことは義務でしょう。しかし、そこに従業員一人一人のマイナンバーを記載するかどうかは、自治体の裁量権が認められているのではありませんか。マイナンバー印字が義務であるとする根拠は何でしょうか。答弁を求めます。

自治体の裁量権は無い(財政局長)
【財政局長】事業主宛てに特別徴収税額決定通知書を送付することは、地方税法において義務付けられている。マイナンバーの記載も地方税法施行規則の改正に伴い様式が変更された。情報漏洩対策に努め、法令の規定に従い適切に対処したい。

税額決定通知書にはマイナンバーを印字するな(再質問)
【柴田議員】自治体の裁量権は無いと判断して、普通郵便でやむを得ず送っているということがわかります。
 条文上マイナンバーの印字が義務であるとは明記していないため、情報漏えいのリスクなど様々な問題をかかえるこの件は、全国的に大きな問題になっています。とうとう総務省がQ&Aの事務連絡を出さなければならない状況に至った、そんな大問題になっているということで、他都市の対応の例をお示ししたいと思います。
 東京都中野区は、区の対応として特別徴収税額通知への個人番号の印字は、

・区が個人番号を保有している納税義務者については、「*(アスタリスク)」すなわち雪のマークのような記号を印字し
・区が個人番号を保有していない納税義務者については、空欄とする。
・事業主からの求めがあったときは、個人番号を記載した資料を簡易書留で郵送する。

 という対応を取ったうえで、普通郵便で送付することにしたそうです。情報漏えいのリスクにも対応できる適切な対応だと思えます。
 このような判断をしたのは中野区だけではありません。東京都下62自治体に対する聞き取り調査によると、今年の2月の時点ですでに24自治体が、この通知にマイナンバーの記載をしないことを決めており、申告に記載が無い場合は通知に記載しない杉並区など「一部のみ記載」する自治体は6自治体、合わせて実に半数近い30自治体が、記載しないまたは一部記載しないという判断をしているのです。あとは18自治体が検討中。その他2、無回答2で、マイナンバーを記載すると回答した自治体は10自治体、たった16%しかないことがわかりました。
 さらに、従業員本人がマイナンバーの申告を拒否している場合でも、本人の許可なく、市から事業主に対して従業員のマイナンバーが、従業員の意思に反して通知されてしまうという大きな問題があります。これはいわゆるプライバシー権、「個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由」を、本人の意思に反して侵害する行為に当たると考えられます。日弁連もこの問題を重く考えていて「特別徴収税額決定通知書への従業員の個人番号の記載欄をなくすこと、あるいは個人番号を記載しない取り扱いとすること」を求める意見書の準備を進めていると聞いています。
 このように考えると、本市が、個人情報の漏えいや憲法に抵触するリスクを引き受けてまで、あえて従業員のマイナンバーを記載しなければならないのか、はなはだ疑問です。
 そこで市長に伺います。このように、事業主に対する税額決定通知における従業員のマイナンバー印字は、名古屋市の事務処理にとって特段メリットもありませんし、むしろ問題だらけです。事業主に対する税額決定通知における従業員のマイナンバー印字は事務処理として不適切なのではありませんか。印字はやめたらどうですか。ご答弁を求めます。

個人のプライバシーを守るために相談していきたい(市長)
【市長】私はかねがね、新進党、民主党の時代から、健全な自由主義に対して大変な脅威となるということで、アメリカで「SSN」で、どれほどのなりすまし被害があって、国防総省も離脱したということも指摘して、限定番号によるべきだと強く主張して参りました。
 質問にあったことも、ある自治体の長と話したが、いろんな解釈があるようです。ここは国・自治体の方とよく相談して、事業者の大きな負担や個人のプライバシーを守るためにどういう方法をとったら一番いいのかということをしっかりと相談していきたいと思います。

印字取りやめの判断を(意見)
【柴田議員】しっかり検討していただいて、ぜひ憲法を暮らしに生かすという見地から、マイナンバー制度の運用に対しては十分な配慮をしていく姿勢で臨み、印字取りやめの判断をしていただきたいと改めて求め、この件については終わります。
   

*新聞赤旗(2017年4月30日)

 

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