後期高齢者医療広域連合議会 8月定例会⑤一般質問(保険料軽減策) くれまつ順子(2016年8月22日)

保険料軽減特例の廃止をやめさせ、県独自の保険料軽減策創設を
          くれまつ順子 議員

後期高齢者医療制度の保険料軽減について
【くれまつ議員】2008年4月に75歳以上の高齢者を国保・被用者保険から切り離し、すべて高齢者から保険料を徴収する後期高齢者医療制度が導入され8年が経過しました。導入時の愛知県の年額平均保険料76,388円が2年ごとに値上げされて、現在は84,035円と10%も高くなり、全国で3番目に高い保険料となっています。保険料を払えず、「短期保険証」を発行された方は2016年3月末で813人、保険証の未渡しが143人となっています。ところが、政府は、後期高齢者医療制度が行っている保険料軽減の特例措置を2017年度から段階的に縮小・廃止しようとしています。特例措置廃止によって、愛知県の後期高齢者全体で5割近くの人が影響をうけ、保険料が2倍から10倍に増える人もでてきます。そうなれば、保険料を払えない高齢者が増えて、医療をうけられないという状況になるのではないかと危惧します。
 消費税増税、介護保険料の値上げの一方、年金が引き下げられる中で、高齢者の方が安心して医療をうけられるようにするために、保険料の負担軽減が重要な課題と考えます。そこで、保険料の軽減について、3点お伺いします。

2015年2月9日以降の国への働きかけの状況及び国の対応状況はどうか
【くれまつ議員】昨年2月に広域連合議会は、保険料軽減特例の継続を国に求める意見書を提出したところですが、その後、この間の国への働きかけの状況や、国の対応状況について、お伺いします。

保険料軽減特例措置の継続を要望。やむを得ず見直す場合はきめ細やかな激変緩和措置を講ずることを要望している(課長)
【管理課長】他の広域連合と連携し、平成27年6月、同年11月及び平成28年6月の3回にわたり、全国後期高齢者医療広域連合協議会として、保険料軽減特例措置の継続を、やむを得ず見直す場合でも、きめ細やかな激変緩和措置を講ずることを厚生労働大臣に要望している。
 軽減特例措置について、国の新たな動きはない。平成29年度の予算概算要求等、予算の編成過程において明らかになる。

東京都と石川県が実施している独自の保険料軽減制度の内容と財源はどうか
【くれまつ議員】全国の広域連合の動きについてです。愛知県広域連合として保険料の改定時などには、他の広域連合の情報収集もされているかと思います。私は、独自で保険料の軽減制度を実施しているところとして東京都と石川県があると聞いております。この2つの広域連合の具体的な保険料軽減制度の内容、財源について伺います。

東京は低所得者減免の拡大を市町村負担で実施(課長)
【管理課長】東京広域は、所得割軽減で被保険者の所得に応じて軽減額を拡大しています。通常は旧ただし書き所得が58万円以下の場合に所得割50%を軽減するが、東京広域ではこれに加え、旧ただし書き所得が20万円以下の場合に所得割の75%を、また、旧ただし書き所得が15万円以下である場合に所得割の100%を軽減している。
 財源としては、所得割軽減の拡大部分を区市町村の100%負担とし、保険料を財源としていない。
 石川広域は、一律の保険料軽減ではなく、申請減免として、被保険者の属する世帯が生活保護世帯並みに困窮している場合で、6ヶ月以内に状況が改善される見込の無い場合に、所得割のみを10%の範囲内で軽減している。財源は保険料で市町村の負担はない。

愛知県でも保険料軽減の独自制度創設を
【くれまつ議員】年金の引き下げや、消費税増税、介護保険料の引き上げ、そして高齢者の医療保険料の値上げが高齢者のみなさんの大きな負担となっています。高齢者が安心して暮らしていけるようにするために、愛知県広域連合が低所得者への保険料軽減の独自制度をつくるべきと考えますが、お答えください。

全国一律の措置として、国の軽減制度の中で行うべき(課長)
【事務局長】後期高齢者医療制度は、高齢化に伴う医療費の増大が見込まれる中で、高齢世代と若年世代の負担の明確化等を図る観点から、全国一律の制度として設計されているものであり、低所得者に対する保険料軽減も、全国一律の措置として国の軽減制度の中で行うべきものと考える。

保険料を引き下げた広域連合の数、引き下げの財源及び引き下げた広域連合の国からペナルティーの付加状況は(再質問)
【くれまつ議員】保険料軽減特例の継続で国に3回の要望をされたという答弁の一方で、平成29年度から廃止することとされているというのは、後ろ向きな答弁です。
 東京都では、保険料を財源とせずに、区市町村の100%負担にて恒常的な保険料軽減の制度がつくられています。
 石川県は、保険料を財源にしていますが、生活保護世帯に準ずる世帯ということで、低所得世帯へのつの自治体は平成28年度保険料改定でも保険料の引き下げが行われています。一人あたり平均保険料月額東京都は8,097円から7,958円に139円の引き下げ、石川県は5,148円から5,022円へ126円の引き下げです。
 そこで、改めて今年度の保険料改定について伺います。全国の広域連合の中で保険料を下げた広域連合はいくつあったのか、引き下げの財源はどのようなものか、そのような広域連合は国からペナルティーを付加されたのか、お聞かせください。
 平均保険料が減となった広域連合は23。剰余金の活用、財政安定化基金を活用、市町村等からの財政支援などが財源。ペナルティはない(事務局長)
【事務局長】先ほどの答弁を「後ろ向き」との指摘ですが、国が示している方針を客観的に答えたもの。当広域連合は、今後とも、機会あるごとに国に対し、保険料軽減特例の継続等について、働きかけていく。
平成28・29年度保険料率改定において、平成26・27年度と比べ1人当たり平均保険料が減となった広域連合の数については23です。保険料増加抑制に活用した財源としては、全ての広域連合で剰余金を活用しているほか、8広域が都道府県財政安定化基金を活用しています。市町村等からの財政支援を受けている広域が2広域です。
 保険料引き下げによって国からペナルティーを課された広域はない。

保険料軽減特例の継続への働きかけ及び保険料軽減の独自制度創設を(再再質問)
【くれまつ議員】国に対し、来年度の保険料の軽減特例の継続への働きかけを行うとの答弁でしたが、この秋にも、実施していただくように、要望します。
保険料の引き下げについてですが、47広域のうち23の広域連合は剰余金や都道府県財政安定化基金の活用、また市町村の財政支援によって実施しているとの答弁でした。半分の広域連合で保険料を下げるという努力をしているという事実がしめしているのは、後期高齢者の保険料軽減への要望が大きいということであると私は思います。
 高齢者の方に、いつでも安心して医療をうけられるようにするために、あらためて、愛知県の広域連合として、全体の保険料を軽減する、または低所得者のための保険料軽減の独自制度を創設する考えはないか、連合長に伺います。

独自の保険料軽減制度を創設することは考えてない(連合長)
【連合長】国への働き掛けは重要なことだと思います。この6月の全国後期高齢者医療広域連合協議会からの厚生労働大臣への要望に、私も同席した。この秋に予定されている大臣への要望活動や、東海北陸ブロック事務局長会議の場など、機会あるごとに国への働きかけを行っていく。
 保険料の独自軽減制度は国のペナルティはないが、その財源は保険料に転嫁するか、市町村等からの支援を求めるしかない。市町村からの支援は、全市町村で議会を含めた意思決定が必要となり現実的ではない。当広域連合としては、低所得者に対する保険料軽減については、全国一律の措置として、国の軽減制度の中で行うべきものであり、広域連合から率先して、独自の保険料軽減制度を創設することは考えてない。

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