2016年6月定例会

岡田ゆき子議員の個人質問② 熊本地震の教訓から福祉住宅の運営改善を(2016年6月22日)

災害時要援護者の安全確保について

指定避難所における合理的配慮okada2
【岡田議員】次に、災害時要援護者の安全確保についてお聞きします。
 健康な人も障害のある方も、地域防災計画では、一旦地域の指定避難所に避難することになります。不特定多数の方が集まる場所には、一定の割合で乳児、高齢者、障害者などが必ず存在します。そのことを前提に、多くの人が一気に集まる避難所などのあり方を考える必要があります。
 今年4月施行の障害者差別解消法は差別の禁止と合理的配慮を求めています。合理的配慮とは、当事者から社会的障壁を除いてほしいとの意思があった場合に、過剰な負担が生じない範囲で、その個人に行う支援をいいます。
 要援護者に焦点を当てた備えがあれば、それは健常者にとっても有効な施策や配慮になります。
熊本地震では、指定避難所に多くの方が避難されましたが、動きが緩慢であったり、わずかな段差で転倒しやすい高齢者もたくさんいらっしゃいました。加えて、普段は車いすで自立して生活していた人が、わずかな段差があるために避難所にも入れない、そもそも避難所に行くことを諦める人も多くいました。okada5
 自助・共助も重要な考え方ではありますが、健常者の手を借りることを前提とした、建物構造では、避難所で過ごせない人、つまり要援護者を多く作り出すことになりませんか。
 避難所のバリアフリーに関して現状の認識と、不特定多数が利用する場合の施設として、今後検討すべきことについて、防災危機管理局長に聞きます。

福祉環境整備が出来てない市有施設の避難所は、発災後、簡易式車いす用トイレや簡易式スロープを設置することとなっている
【危機管理局長】災害時要援護者の方の避難生活の確保に関する事項は「名古屋市地域防災計画」に定められている。避難所に指定された市有施設は、施設所管局において、福祉環境整備に努めておくとされている。福祉環境整備が行われていない避難所は、発災後、簡易式車いす用トイレを設置するとともに、簡易式スロープを設置し段差の解消を図ることとなっている。
 災害時要援護者の避難生活の確保は、熊本地震の経験も踏まえて、本市の現行の対応にどのような問題や課題があるのかを整理し、健康福祉局はじめ関係局とともに検討する必要がある。

指定避難所に、だれが簡易型スロープを設置するのか(再質問)okada7
【岡田議員】再質問です。避難所における合理的配慮について、防災危機管理局長から現状認識をこたえて頂きました。福祉環境整備が行われていない指定避難所には、簡易式スロープを設置し段差の解消を図ることとなっていると答弁されました。
 「名古屋市地域防災計画」に簡易型スロープの設置等でバリアフリー化を図ると、具体的に記載されたのは、1997年です。それから20年近く経っていて、いまだに設置されていない避難所がたくさんあります。
 具体的に聞きます。小中学校やコミセンなどの指定避難所に、だれが簡易型スロープを設置するのですか。具体的に示してください。防災危機管理局長に再度お聞きします。

防災危機管理局の統括のもと、健康福祉局を中心に施設所管局が対応
【危機管理局長】先ほど、ご答弁させていただきましたとおり、災害時における要援護者の方々の避難生活の確保は大変重要であり、これまでも施設所管局において、市有施設の福祉環境整備を行ってきているところでございます。
 福祉環境整備が行われていない避難所については、議員ご指摘のとおり、発災時に備え、簡易スロープなどを常備しておくことは有効な対策であると考えております。
 今後は、熊本地震を踏まえ、さらに対策を加速させる必要があると認識しており、まずは、避難所施設の状況を調査し、簡易スロープなど必要な機材の配備について、防災危機管理局の統括のもと、健康福祉局が中心となり施設所管局など関係局において、早急に対応してまいります。

防災危機管理局が状況をつかみ、所管局に取り組ませるなど、統括としての役割をしっかり担って(意見)
【岡田議員】避難所の状況調査と簡易式スロープなどの配備について、「早急に対応する」と答弁いただきました。しっかりやっていただきたい。これに尽きます。今後は防災危機管理局が防災計画の進行状況などつかみ、所管局としっかり取り組んでいく、統括としての役割をしっかり担っていただきたいと思います。

福祉避難所の体制強化を
【岡田議員】次に福祉避難所okada8についてお聞きします。今年4月に内閣府は「福祉避難所の確保・運営に関するガイドライン」を改定しています。今回の改定は、東日本大震災において、障害者の死亡率が被災した住民全体の2倍にも及んだことを受け、「支援人材の確保」、「要配慮者の移送」、「被災者の避難先の判断基準をどうするか」「多様な要配慮者への対応」について、より具体的な留意点を加えています。
 福祉避難所への流れはこうです。まず指定避難所に住民が避難します。そこで支援が必要な人について、福祉避難所への搬送が必要か否かの判断がされます。次にその情報を災害救助地区本部に伝え、そこから協定を交わした福祉避難所の受け入れの可否を確認する。そして、受け入れ可能であれば、最後に福祉避難所へ移動手段を確保し、移送します。
 これが国の福祉避難所ガイドラインの手順ですが、熊本地震では困難を極めました。
 熊本市の福祉避難所は、発災前、176か所あり、1700人分の受け入れ枠をつくっていましたが、発災当初、機能した施設はわずか5カ所でした。
機能しなかった理由。一つは、福祉避難所の施設そのものも損壊し、職員も被災していた、2つは、施設の通常利用者の安否確認に追われ、要援護者を受け入れる余裕がなかった、3つは福祉避難所には行政職員の配置はなく、避難所運営のノウハウがなく混乱した、4つは福祉避難所が一般の住民には公開されていなかったため、一般の住民が避難してきたのを断ることができず結局、要援護者を受け入れられませんでした。
 名古屋市は103か所の福祉避難所と協定を結んでいますが、要援護者の人数を考えるととても足りません。名古屋市と協定を結んでいる、ある生活介護施設の管理者からお話を聞きました。
 災害時に不安に思うこと。1つは、福祉避難所の絶対数が足りず、今のままでは施設に過剰な負担がかからないか。
 2つめに、平常時でも経営が厳しく福祉職員の確保に苦慮している中、災害時に職員が確保できるのか。
 3つめに、福祉避難所としてのスペースは確保しているが、避難所運営のノウハウがない。指定避難所と同様に行政職員を配置して欲しい。
 4つめに、要援護者を振り分けて移動させる方法は要援護者にとっても支援者にとっても大きな負担である。避難所での要援護者の振り分けは一見合理的に思えるが、実際は大変な労力と時間のロスがあり、現実的な方法と言えない、という意見でした。
 これら現場の意見を踏まえ3つ提案します。
 1点目、福祉避難所を速やかに増やすために、災害時に必要な職員体制を組むことができるよう、平常時から災害対応のための人員配置加算を創設すること。
 2点目は、福祉避難所の運営をバックアップする行政職員を配置すること、
 3点目、福祉避難所への誘導方法について、地域で、特別な配慮が必要な要援護者は、指定避難所で振り分けるのではなく、始めから、地元の福祉避難所に直接避難できるようにすること、また、平常時から福祉避難所を地域に公開することも提案します。以上、健康福祉局長に見解をお聞きします。

避難所にあらかじめ人員を配置することや開設時に職員を配置すりことは困難、福祉事務所への直接避難もむづかしい
【健康福祉局長】通常の避難所では避難生活を送ることが困難な方が二次的に避難する場所として、福祉避難所の指定を進めており、平成28年4月1日時点で103か所となっている。災害対策という性格上、あらかじめ災害に特化した職員を配置するための加算を設けることは困難です。災害時に配置した相談員等の人件費は、災害救助法により公費での負担が認められている。
 次に、福祉避難所への行政職員の配置は、一般の避難所も地域による運営を原則とする中、困難です。自主的な運営に向けた訓練等に取り組み、発災時には、他都市からの応援もいただきながら、その運営をバックアップする。
 次に、要援護者の方々が福祉避難所へ直接避難することは、建物の被災状況や安全確認したり、通常の利用者の安否や職員の被災状況等を確認の上、受け入れ体制を整えていただく必要があることから課題がある。
 また、地域への公開は、福祉避難所が二次的避難所であり、方法に工夫が必要です。
 いずれにいたしましても、福祉避難所の数を増やし、その運営体制をより充実させていくことは必要なことで、今般設置された避難所に関する全庁的な検討会議での議論も踏まえながら、関係局とともに検討していきます。

要援護者を福祉避難所へ振り分ることは現実的ではない(意見)
【岡田議員】避難所に避難してきた要援護者を福祉避難所へ振り分るという問題は、本当に現実的ではないというのが災害現場の声です。事業所の不安にこたえるには、課題の整理が、未だ膨大にあると考えます。
 内閣府も熊本に入って聞き取りを行っているようで、「避難所間の移動が大変であること。福祉避難所の対象者が、直接地域の福祉避難所に行って速やかに良好な生活が送れるような支援策が必要」という判断を一定しているようです。名古屋市も要援護者が本当にどんな状況に陥るのか、よく学んで避難の仕組みを検証していただきたい。

災害時要援護者名簿の迅速な活用をokada9
【岡田議員】最後に、災害時要援護者名簿についてお聞きします。
 東日本大震災では、発災直後から、全国の災害支援団体が障害者の捜索と安否確認のため被災地に入りました。障害者手帳所持者等の名簿の開示を、自治体に求めましたが、「個人情報保護法」が壁となり、開示されることなく捜索が遅れるという事態が起きました。
 1か月半ほどして、南相馬市と陸前高田市が支援団体に対し、要援護者の安否確認の協力要請があり、名簿の提供がされ、ようやく安否確認の訪問が始まりました。
 災害時の個人情報の開示について国は、すでに「個人情報の目的外利用の活用」をうたっていましたが、活用が進みませんでした。
 この経験から、熊本地震の際にも、災害支援団体は直後から自治体に名簿の開示の要請しており、発災から2週間経過してやっと限定的でしたが名簿の開示が県を通して行われたと聞きました。
 熊本市内で活動する全国組織の福祉団体の担当者は、「地元の自助・共助だけでは、障害者まで支援は届かない。行政の迅速な要援護者名簿の開示の判断は、その後の障害者の生命を大きく左右する」といわれました。
 要援護者に対し迅速な安否確認と支援を始めるために、支援団体等への名簿の開示は有効と考えますが、現状はどうなっていますか、どんな検討が必要ですか、健康福祉局長にお聞きして、第1回目の質問を終わります。

平時の「助け合いの仕組みづくり」を推進。発災時に提供する名簿の区分や障害特性に配慮した確認方法、その後の連携など、様々な課題が
【健康福祉局長】平常時には、同意が得られた方の避難行動要支援者名簿を地域団体へ提供し、個別支援計画の作成や訓練の実施等に活かしていただく「助け合いの仕組みづくり」を推進している。この取り組みの拡大に向け、防災危機管理局など関係局と連携していきます。
 一方、発災時には、協定に基づき、事業者団体等から、安否確認情報が本市へ提供されるほか、災害対策基本法に則り、同意の有無に関わらず、避難行動要支援者名簿情報の外部提供ができることとされている。災害の規模にもよるが、要援護者の迅速な安否確認と支援に向け、名簿情報を警察や各種団体等に、すみやかに提供する必要があるが、名簿の区分や障害特性に配慮した確認方法、その後の連携など、様々な課題がある。より迅速に安否確認ができる方策について、熊本地震の状況等も確認しながら、検討したい。

福祉サービスから抜け落ちている人の安否確認など課題解決に全力を(意見)
【岡田議員】熊本県を通して、支援団体に開示された名簿は、日常的に障害福祉サービスを利用しておらず、福祉とつながっていない障害者手帳所持者の名簿でした。サービスを利用していないから問題がないのかと思うと、訪問して面談できた人の約1割が、緊急対応を要する人、継続訪問が必要な人がいたということでした。
 訪問した職員は、「災害でパニックになってしまった障害当事者の対応に、家族も疲労困憊し、共倒れを起こしかねない状態の家庭があった」「災害を期に自立が困難となり、早い段階で継続的な支援が必要と判断した人は多い。」と、訪問の様子を話されました。日頃から障害のある当事者を支援している職員による安否確認、家屋訪問だったからこそ、迅速な対応できたのではないかと思います。
 名古屋市内の行動支援要援護者名簿は27万人に上ります。現状では、福祉サービスを利用している人の安否確認は事業所によって一定可能と考えます。
 今後、福祉サービスから抜け落ちている人の安否確認を、全国の支援団体に協力を求める場合、名簿の整理等早急に行われなければいけません。この問題は、今後も引き続き、取り上げていきます。

社会的弱者に焦点を当てた対策は、より多くの住民のいのちを救うことになるということを、災害対策の肝において進めよ(意見)
【岡田議員】防災危機管理局が昨年発足しました。災害予防、災害対策について、関係局が速やかに対策を講じられるように、全体を管理統括するという役割を担いました。
 再質問では、具体的に避難所の簡易型スロープを取上げましたが、さらに、福祉避難所や要援護者の名簿開示をどうするかなど、具体的な対策は、本当にこれからだという段階です。
 これまでの各地の災害から学び生かすことが名古屋市の使命であり、市民とともに進めていっていただくことを強く要望します。
 また、平常時にどれだけ福祉とつながっているか、福祉施策が充実しているかが、要援護者を孤立させず、いのちを守ることに直結しています。社会的弱者に焦点を当てた対策は、より多くの住民のいのちを救うことになるということを、災害対策の肝において進めていただくことを最後に強調し質問を終わります。

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