名港議会 山口清明議員の一般質問① 特例港湾運営会社・名古屋港埠頭株式会社について(2016年6月7日)

特定港湾運営会社のメリットはあったのか

無利子貸付けの制度メリットを活用した取組の効果はmeiko yamaguti1
【山口議員】コンテナ取り扱い機能の強化について、大きく二つ質問します。
 名古屋港は、国の国際コンテナ戦略港湾の選定から外れて以降、コンテナ貨物だけでなくバルク貨物や完成自動車などを総合的に取り扱いもの背後地域のものづくり産業を支える「国際産業戦略港湾」をめざすとしています。
とは言うものの、国際競争力の強化に向けた取り組みのなかでは、やはりコンテナ取扱い機能の強化がその中心的な課題としています。
 その取り組みの一つが特例港湾運営会社制度です。名古屋港で、名古屋港埠頭株式会社が本格的に運用を開始して2年目を迎えました。港湾の民営化をすすめるこの制度そのものに大きな問題があると私は考え、会社の設立と管理組合からの業務委託に反対してきました。そこで、新会社が期待された効果を発揮しているか、数点について検証したいと思います。
 一昨年(2014年=平成26年)11月に国土交通大臣より特例港湾運営会社の指定を受けた埠頭㈱です。私は一昨年の6月議会で、この港湾運営会社をつくる効果(メリット)は、と質問しました。当局からは、「コスト面では無利子貸付制度を活用することによりガントリークレーンなどの上物施設の整備費が約15パーセント程度削減できるものと考えております」との答弁をいただきました。
 今年度は、その制度メリットを活かして荷役機械の大型化に取り組む、具体的には、約12億円のガントリークレーンを一基整備する予定と聞いています。
 ところがいまはご承知の通り、政府と日銀のすすめる金融緩和路線のなかでマイナス金利の時代となっています。そこでうかがいます。
 マイナス金利という経済情勢の下で、特例港湾運営会社の制度メリットとして強調してきた無利子貸付けにどのくらいのメリットが、コスト削減効果があるのですか。具体的な数値も入れて説明してください。

整備費が約1.5%低減される
【企画調整室長】港湾運営会社制度のメリットの一つである無利子貸付金は、ガントリークレーン等の上物施設整備を港湾運営会社が行う際に、最大8割の無利子の貸付けを受けることができるというものです。
 平成27年度の国や銀行の借入金利は1%未満となっており、これをもとに試算を行いますと、無利子貸付の制度メリットを活用することにより、全額有利子で上物施設整備をした場合と比較して、整備費が約1.5%低減されます。上物施設整備費用は、多額であることからその制度メリットを活用していきたい。
 また、港湾運営会社に対する支援には、無利子貸付金の他にも、行政財産である国有港湾施設の直接貸付や、港湾運営会社が取得した荷さばき施設等に係る税制優遇があるほか、コンテナターミナルの一元的な管理運営によるスケールメリットを活かした港湾コストの低減が図られるとともに、民の視点による利用者ニーズに対応した、サービスの向上が図られる。

岸壁使用料の低廉化や荷役機械使用料の細分化でいくら安くなったか
【山口議員】埠頭㈱は利用者へのサービス向上として、係船岸壁使用料の低廉化と荷役機械使用料の使用時間単位の細分化したとのことですが、埠頭(株)の利用者とはいったい誰で、コストはいくら低減されたのか、具体的に答えてください。またこの二つのサービス向上施策は民間会社でなければできないものか。この点もあわせて答弁を求めます。

係船岸壁使用料10.05円が9.07円に
【企画調整室長】名古屋港埠頭株式会社が平成27年4月から運営している飛島ふ頭北及び南コンテナターミナルの係船岸壁使用料は、総トン数1トンにつき、外航船舶12時間までの料金を、本組合の条例料金10.05円に対し、9.07円と低廉化に努めています。総トン数17万トンのコンテナ船が着岸した場合の試算で、本組合時の係船岸壁使用料約270万円が、14万円程度安くなります。
 一方、荷役機械使用料は、使用時間単位を30分制から15分制と細分化することで、利用者の使用時間に応じたより細かな支払いを可能として、料金の低廉化に努めています。
 国や本組合が、行政財産である岸壁や荷役機械等を特例港湾運営会社である名古屋港埠頭株式会社に貸し付け、一元的に管理運営することにより、コスト低減など、サービス向上が図られていると考えております。

会社の業績は何で評価するのか。どういう性格の会社なのか
【山口議員】ところでこの会社の業績は何で評価するのか、成果はどうやって検証するのでしょうか。同じく一昨年6月議会での私の質問に対し、当時の企画調整室長はこう答弁しています。「民の視点による利用者ニーズへの柔軟な対応や迅速な経営判断など、サービス面での向上が図られるものと考えております。これらの取り組みにより、船会社や荷主に選ばれ、利用してもらえることが重要であり、その結果としてあらわれるコンテナ取扱個数の増加などの成果を検証するものと考えております。」と。
 つまり、名古屋港の敢扱コンテナ貨物量が増えたかどうかで、港湾運営会社の成果を検証するとの答弁、いまも変わりはありませんか。名古屋港埠頭株式会社の業績も名古屋港の取扱コンテナ貨物量で判断するのですか。
 残念ながら、港湾運営会社ができてから名古屋港の取扱コンテナ貨物量は増えるどころか減っています。一般的に民間会社では会社の業績に応じてボーナスが支給されると思うが、コンテナ取扱が減っているなかでこの会社のボーナスも減るのかと思いきやどうもそうではないようです。民の視点と言いながら会社の業績や成果と社員のボーナスは連動しない。
 特例港湾運会社である名古屋港埠頭㈱はいったいどういう性格の会社なのか。何をする会社なのか。あらためて答弁を求めます。

公的な役割、利用者へ還元するなど、一般的な会社とは性格が違う
【企画調整室長】名古屋港埠頭株式会社は、公共財であるコンテナターミナル等を、一元的に管理する者として公的な役割を担っており、利用者への還元を行うなど、公共性が高く一般的な会社とは性格が異なっております。
 コンテナ貨物量は、名古屋港埠頭株式会社の収入に直結する重要な要素でありますが、船会社や荷主に選ばれ施設を利用してもらうことによる結果であることから、利用者ニーズに的確に対応した港湾施設の整備や更新をスピード感を持って行うなど、更なるサービス向上を図ることが重要であると考えております。

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