日本共産党市議団主催の市政懇談会を開催しました

 P1020017全景定員を超える多くの方のご参加をいただきました。座席と資料が不足し、ご不便をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
 会場からの発言は延べ14人でした。「国保料引き下げは大きな成果だ。減免制度を申請なしに受けられるよう改善して」「敬老パス制度の存続は、住民運動と共産党議員団の成果。『あり方検討』の場で意見をのべる機会をつくって」「学校給食無料化を求めた請願の審査内容を詳しく教えて」などの要望や質問、党議員団への期待が多数寄せられました。 以下は山口清明市議の報告です。
 

P1010977山口

予算案と2月議会・・・河村市政の問題点と党市議団の役割

山口清明

                                                  

はじめに 日本共産党 躍進の勢いを一斉地方選挙の結果に実らせよう 

いよいよ市会議員の改選前、最後となる名古屋市会2月定例会が16日~3月10日までの予定で開かれます。私たちの任期は3月12日までです。4年間の議会活動を支えていただき、ありがとうございました。
 そして4月3日告示、12日投票で、名古屋市会議員選挙、愛知県議会議員選挙が行われます。日本共産党は県議会でも空白克服、4議席以上の獲得を、そして名古屋市会では17人の候補者を立て、現有5議席から倍増以上12議席の公明党を追い越す構えでがんばります。
 いまの5人が当選した4年前、市議選での得票は62,916票(8.14%)でした。そこから盛り返して、一昨年の参議院選挙では名古屋市内で93,576票(11.21%)、昨年の衆議院選挙では108,362票(12.49%)、そして先日の県知事選では党推薦の小松たみこ候補が市内で117,467票(23.72%)と選挙のたびに得票を増やしてきました。(得票推移の一覧も資料でつけましたので見てください)
 がんばり次第で躍進は可能です。みなさんのご支援をまず心からお願い申し上げます。

 新年度予算と河村市政を検証する角度は
  河村市政は安倍暴走政治に追随する自民党型市政になっている
    安倍政権の2015年度予算案 三つの大問題に照らしてみる
      ○社会保障削減 ○大企業減税 ○過去最大の軍拡

市の予算編成の基本は「名古屋市総合計画2018」(2014~2018年)
  三つの重点 ○子育て世代に選ばれるまちをつくり、地域の活力を高める
        ○大規模災害に備える
        ○都市間競争を勝ち抜く大きく強い名古屋をつくる

河村市政が抱える五つの問題点
①国の社会保障削減路線そのままに、市民に負担増を押しつけ
②大型事業=ハコモノ推進に夢中
③「行革」の名で公的福祉を解体、民営化・営利化をすすめる
④「市民税5%減税」は格差拡大を招くだけ 富裕層にこそ増税を
⑤歪んだ歴史認識でアジアとの友好交流を妨げる「南京発言」

 市の予算編成の基本は「名古屋市総合計画2018」(2014~2018年)です。
 総合計画の重点は、○子育て世代に選ばれるまちをつくり、地域の活力を高める、○大規模災害に備える、○都市間競争を勝ち抜く大きく強い名古屋をつくる、の三つです。はじめの二つは当然ですが、三つめが曲者です。
 私たちは「河村市政は安倍政権の暴走政治に追随する自民党型市政」となり、それを自民党主導の「オール与党」議会が支えている、といまの市政を見ています。
 安倍政権の暴走ぶりは国の2015年度予算案にもくっきり現れています。社会保障は容赦なく削減する、大企業には一兆円を超える減税でとことん優遇、過去最高の5兆円規模の軍事費、戦争する国づくりをすすめる予算です。

この安倍暴走政治のコピーのような河村名古屋市政の特徴を次の五つにまとめてみました。

    1. 国の社会保障削減路線そのままに市民に負担増を押しつける
    2. 結局はハコモノづくりでしかない大型事業の推進に夢中になる
    3. 「行革」の名で公的福祉を解体し、民営化・営利化をすすめる 
    4. 格差を拡大し経済波及効果もわずかな「市民税減税」をまだ続ける
    5. 歪んだ歴史認識のまま、アジアとの友好交流を妨げている 

五つの問題点から新年度予算をみると・・・
 (1)国の社会保障削減路線そのままに、市民に負担増を押しつけ
  ○介護保険の改悪 保険料の値上げは42億円にも 
   保険料基準額(月額) 5440円→5894円 +454円
   保険料段階12段階→15段階 累進性は強化される
   低所得者の保険料軽減は当初案より縮小 コールセンター1億9115万円
  ○一定所得以上の利用者負担1割→2割など利用料負担増 
  ○介護報酬△2.27%改定 特養ホームとデイサービス狙い撃ち 

国の悪政そのままに市民に負担増を押しつける点での典型が、介護保険です。保険料基準額を5440円から5894円へ月額454円(年間5448円)あげます。保険料段階を12段階から15段階へと変更し累進性を強化しますが、65歳以上の市民にかぶさる負担増は総額で42億2153万円増となります。予算案の中で最大の市民負担増です。
 なお公費による低所得者の保険料軽減措置が盛り込まれますが、現行の保険料と比べると月額わずか90円の引き下げです。
 一定の所得がある人には利用料の2割負担、特養ホームの4人部屋利用でも部屋代を徴収など利用料の値上げも盛り込まれています。
 一方で介護報酬の2.27%引き下げは介護施設の運営と働く人の処遇改善には深刻な打撃を与えますが、この改悪に対しては何ら手立てをとっていません。国の介護保険制度改悪に対して市がとった唯一の手立ては市民からの苦情や問い合わせに対応するコールセンターの設置です。報酬のマイナス改定が保険料の値上げを抑制するのかと思いきや、保険料は報酬1.2%アップを見込んだ時点とあまり変わらない値上げ額です。
 消費税増税と物価の値上がり、マクロ経済スライド発動で実質的に目減りする年金支給、こんどは入院時の食事代まで値上げをたくらむ。高齢者のくらしを直撃する安倍内閣の増税と社会保障削減をそのまま受け入れ、市民の負担に転嫁する予算です。 

(2)大型事業=ハコモノ推進に夢中
  リニアと名駅 「リニア開業を見据えたまちづくりの推進」1億1500万円            
   「名古屋駅周辺地下公共空間整備」6200万円(総額134億円)

12月「中央新幹線の建設とその開業を見据えた地域づくり等に関する基本合意」
1月「中央新幹線に係る用地取得事務の委託に関する協定」
   名古屋まちづくり公社に用地取得事務を約23億円で委託 市職員を派遣
金城ふ頭 「金城ふ頭開発の推進」5億7841万円(市営立体駐車場191億円)
     「大規模国際展示場の整備等に関する調査費」2000万円
     「鉄道を活用した都市魅力向上策の推進」2000万円
木造天守閣の復元(400億円以上) 
名駅前に1000mタワー ―自民党議員が市長にけしかけ― 

 リニア開業を見据えたまちづくりの推進。予算では「リニア中央新幹線開業を見据えたまちづくりの推進」1億1500万円、「名古屋駅周辺地下公共空間整備」6200万円(総額134億円)です。
 リニア計画そのものが、採算性の不安と膨大な公費投入のおそれ、とりかえしのつかない環境負荷の増大、多大なエネルギー浪費など、冷静に検討すべき大きな問題を抱えています。その課題について改善を求めようともせずに、名古屋市は「名古屋まちづくり公社」に市職員を派遣してリニアのための用地買収を行う協定を結びました。委託費は約23億円。職員定数の削減をどんどん進めながら(予算では△80人)、民間大企業の用地取得のためには100人規模の体制(新聞報道)で市の職員を注ぎこむ、大企業の下請けとして用地買収に走り回るのが名古屋市の仕事なのか。問題です。
 市長はリニアについて、東京一極集中=ストロー現象の加速を恐れながら、「おもしれぇナゴヤにしよまい、駅前に1000メートルタワー建てるのはいかんか」しか言いません。 
 さらに「金城ふ頭開発の推進」として5億7841万円、191億円かけて建設する市営立体駐車場の設計等が予定されています。
 また「大規模展示場の整備等に関する調査費」2000万円も計上されています。現状3万4千㎡の国際展示場はもともと金城ふ頭内に改築移転する計画ですが、河村市長は自民党議員の要望も受けて10万㎡の展示場をつくると言い出しました。金城ふ頭では4万㎡しかなく稲永埠頭を軸に調査を行います。愛知県も広い国際展示場の整備を掲げました。こちらは空港周辺が有力視されています。何の調整もありません。ちなみに幕張メッセは7万2千㎡、東京の有明、東京ビッグサイトは8万㎡。新たな税金の浪費になりかねない構想です。
 そして性懲りもなく「鉄道を活用した都市魅力向上策の推進」2000万円=あおなみ線での蒸気機関車の走行実施に向けた技術的課題等の検討を予算計上しました。名古屋城天守閣の木造復元(400億円強)にも固執していますが、現在のコンクリート製の天守閣はあと50年持ちます。いますぐ建替える必要は全くありません。
 SLも国際展示場も自民党議員が市長にけしかけました。市長も自民党も一体で大型事業の推進に夢中になっています。 

(3)「行革」の名で公的福祉を解体、民営化・営利化をすすめる 
  「公立保育所の社会福祉法人への移管準備」6億1294万円 7園の民営化
   子ども子育て支援新制度の施行 
   職員定数△80人 最近の特徴は・・・相談業務の外注化 

 子ども・子育て支援新制度施行後の初めての予算です。延長保育や一時保育の拡充も行います。待機児童解消のために補正予算で1900人保育園の受け入れ定員を増やします。
 学童保育への補助金は8億円から12億5千万円に約5割増しです。保育の営利化と公的責任の放棄という新制度の危険な狙いには厳しく対応しながら、これまでの粘り強い運動で前進させた面をしっかり活用していくことも大切となっています。
 公立保育園の民間移管として6億1294万円、平成28年度に4園、29年度に3園の公立保育園を廃止・民営化する準備を加速します。
 そして最近の特徴は、相談業務の外注化とも呼ぶべき傾向です。
 保育案内人の増員、福祉コンシェルジュの配置、家具固定ボランティアの養成、子ども・若者総合相談センターでもボランティアの活用、介護保険の制度改正対応はコールセンター、生涯学習センターでは営利目的使用も認める、など、市民からの相談や苦情受け付けは外部委託や嘱託職員、ボランティア任せ、公的な施設や相談業務も企業の利益に、こんな「行革」の方向が見えてきます。 

(4)「市民税5%減税」は格差拡大を招くだけ 富裕層にこそ増税を
市民税5%減税=116億円(個人市民税81億円、法人市民税35億円)国の税制変更で法人市民税はマイナス 法人税減税は2年間で△3.29%

*OECD報告=格差拡大は経済成長を妨げる 
経済協力開発機構(OECD)も昨年末、格差は過去30年間で最大、格差が拡大するほど経済成長が低下する、格差拡大の政策では成長できない―と指摘。
 オバマ大統領は株価上昇などの恩恵が一部の富裕層に偏り、人種や所得階層による資産や教育、雇用などの格差が広がっていると批判。富裕層増税などで得た税収を中間・低所得者向けに再配分する。 
 世界経済フォーラムに国際的なNGO(非政府組織)が提出した報告は、このままでは世界で1%の最富裕層が世界の富の50%以上を保有することになると指摘。
*アベノミクス=トリクルダウン批判  実質賃金は17か月連続低下
*ピケティ「21世紀の資本」ブーム 格差拡大を批判するフランスの経済学者 トマ・   ピケティ氏は「(アベノミクスのやり方は)間違いだ」と発言。アベノミクスの対案として「労働所得に対して減税、資本に対して増税するのは自然な解決策だろう」(「東洋経済オンライン」26日)と提案。
*河村減税は115億円で200億円の経済効果 1.7倍    *敬老パスは121億円で316億円の経済効果 2.6倍

 市税の伸びはほぼゼロです。5%減税の予定額は約116億円(個人市民税81億円、法人市民税35億円)です。個人市民税減税の半分は介護保険の値上げで消える計算です。大企業は市が減税しなくても国が2年間で△3.29%減税します。これだけ見ても、ますます大企業と中小企業、富裕層と貧困層の格差を広げる「減税」なことがはっきりしてきました。
 そしていま、格差を広げることは経済成長にもマイナス、といのが世界の常識になりつつあります。この点でもう河村減税は、時代遅れの施策になったと言わざるを得ないと思います。なお減税の経済効果のシュミレーションの根拠を疑わせる告発も市民から届いており、いま検証作業を行っているところです。経済成長への貢献という点では敬老パスなど福祉の拡充こそより高い効果を発揮することも明らかにされています。
 いつまで、しがみつくのか。安倍政権の消費税増税も河村市長の市民税減税も、格差を広げ、経済成長に悪影響という点では共通の問題をもった政策です。 

(5)歪んだ歴史認識でアジアとの友好交流を妨げる「南京発言」
 「戦争に関する資料の常設展示」1127万円  *ようやく被爆者と面会
  航空宇宙産業の促進=軍需産業化の危険も 空港港湾の軍事利用   

 戦後70年です。先日、私たちが何度も要望してきていた被爆者のみなさんとの面談が15分でしたがようやく実現しました。戦後70年の年にささやかな成果だと思います。さて予算では、常設の戦争資料館が夏にも開設されます。こちらもようやく実現にこぎつけたといえる要望です。
 私はこの問題で、常設の戦争資料館の開設時の記念式典に、アメリカはじめ中国や韓国の在名古屋領事館を招くことを提案します。戦後70年、被爆70年の年にできるこの資料館をアジアからの来訪者にも見学してもらえる名古屋の魅力の一つにしようじゃありませんか。そのためには南京虐殺否定発言を撤回し、国際社会に通用する歴史認識を示し、侵略戦争と植民地支配を反省する態度を公にすべきではありませんか? と市長に迫りたいと思っています。 

 ○要求運動と論戦で前進(主なもの)

    • 国保料の引き下げ 保険者支援制度の拡充などで   5割・2割の法定減額の対象を拡大+2500世帯△1億3800万円
    •    減額適用世帯は17万5800世帯/34万2400世帯 55万人(国保)  
    •    平均保険料年額 △3213円(3.5%)*京都市△2532円
    • 低所得者の介護保険料軽減   保険料基準額0.45→0.4 月額ではわずか△90円 2448円→2358円   
    •    保険料第1・第2段階の保険料を軽減 10万人△3億6500万円 
    • 敬老パスの負担金据え置き ICカード化 あり方検討の討論会開催
    • B型肝炎ワクチン助成 半額2700円助成×3回 1億4500万円
    • 子宮頸がんワクチン副反応調査  
    • 保育料の据え置き(所得税から市民税所得割に算定基礎変更)
    • 待機児童対策1900人(補正予算18億430万円)認可保育所8など
    • 学童保育の補助拡充 学童保育への助成 8億円→12億5千万円 ト・ルーム24→28 4億7千万円 ト・スクール20億円
    •  補助単価は約1.5倍に ひとり親世帯保育料減免助成の拡充
    • 学習支援事業の拡充 
    • 第3児童相談所の設置、高等特別支援学校の整備に向けた調査費
    • 仕事・暮らし自立サポートセンター増設 1→3
    • 防災危機管理局の新設 震災対策事業基金45億円 防災対策の拡充
    • 地下鉄東山線に可動式ホーム柵(今年度完成)名城線名港線も2020年に
    • 地域巡回バスの運行時間帯拡大
    • 戦争に関する資料の常設展示 7月から  

 予算で前進が確認できた主なものを並べました。私たちが要望していたものもかなり盛り込まれていると思います。国保と介護は資料も参照してください。 

2月議会16日開会 19日補正予算等質疑 24日代表質問 25~27日個人質問    市会議員の任期は3月12日まで
市議会の会派構成の変遷・・・別紙参照
議会は河村市政を支える自民党主導の「オール与党」vs日本共産党の対決 

日本共産党市議団の三つの役割 党の名古屋改革ビジョンがめざすもの
 ○安倍暴走政治から市民を守る防波堤です・・・・・・・悪政への抵抗力
 ○市民の声をきき、市政に届けます・・・・・市民要求を実現する実行力
 ○市政を監視し、まともな議会をつくります・・・・・議会改革の推進力

☆福祉と子育て日本一の名古屋、働きやすさナンバーワンの名古屋、防災先進都市、環境      首都、そして国際平和交流拠点都市の名古屋に。 

 19日は岡田議員、24日は山口、個人質問には田口議員とさはし議員、わしの団長はおそらく10日になると思いますが最終日の本会議で市議会最後の討論に立ちます。みなさん、ぜひ傍聴にお越しください。

 会派の変遷については、いまや日本共産党名古屋市議団事務局作成の名物となりました別表をつけました。ご覧ください。バラバラになった減税日本くずれの議員たちがいま市議選に向けて、民主党、維新の党、生活の党と仲間たち(だったかな?)にぞくぞく鞍替えしています。入る方も入れてあげる方も節操はないのか、と呆れてしまいます。
 つい減税日本の動きに目を奪われがちですが対決の基本構図は自共対決です。

 最後に、日本共産党の議員が果たしている役割と、私たちがめざす市政の方向性をまとめてみました。悪政と対決し、責任ある対案を示し、共同を大きく広げて、市民要求の実現し、政治を変えていきます。
 任期中最後の2月議会ですが、市民のみなさんの要求実現と日本共産党の躍進に貢献できる論戦に努める決意を申し上げて報告を終わります。