2013年11月定例会

岡田ゆき子議員の議案外質問①(11月27日) 介護保険の要支援外しについて

介護保険制度の改正について

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要支援の訪問介護、通所介護あわせた金額と割合は

岡田 自席s【岡田議員】安倍政権が、臨時国会に提出している「プログラム法案」は、医療、介護、保育、年金など、社会保障全てに関して、国民に負担増と給付削減を進めるものであって、各界から怒りの声があがっています。名古屋市が保険者として、責任ある立場にある介護保険について質問します。

介護保険制度の見直しは、11月14日の社会保障制度審議会介護保険部会でその具体的な内容が示されました。中でも重大な問題は、介護保険制度の根幹を揺るがす「要支援者」の保険給付からの締め出しです。

当初は、「要支援者」のサービス全て保険給付から外し、市町村事業に丸投げするとしていましたが、サービスの切り捨てに反対する世論と運動を前に従来の方針を見直し、訪問看護などは保険から外さず、引き続き専門職が担うとしました。しかし、訪問介護・通所介護については保険給付から切り捨てる方針を変えていません。

ケアマネージャーに聞くと、要支援の場合、状態を悪化させないために、独居であれば通所介護を積極的に利用し、訪問介護のヘルパーの利用で、一緒に献立を考え一緒に調理するなどの関わりで、認知症の進行を遅らせる努力がなされていると言われました。

また、「要支援1、2であっても、短期記憶に問題あり、一人暮らしには注意や確認が頻繁に必要」という状態の高齢者がおられます。このかたたちは「すでに要介護状態に進行する恐れが十分にある」というのが、ケアマネージャーの認識です。「要支援者」が保険給付から外され、専門的な観点で関わる福祉の目が離れることになれば、結局、重度化していくことになるのではないかと大変危惧されていました。

要支援と認定されている方は2013年3月末で27,375人です。そのうち訪問介護の利用は一番高く35.7%、次いで通所介護では24.6%と主要なサービスとなっています。この2つのサービスの給付額は2012年度決算でいくらになりますか。また、要支援者の給付費全体に占める割合はどれくらいだったか、健康福祉局長にお聞きします。

名古屋市の2012年~2014年の第5次介護保険事業計画「はつらつ長寿プラン2012」では、要支援者・要介護者を「自立して生活するには不安がある高齢者」と捉えて、「良質なサービスが提供されるようサービスの質の確保・向上に努める」としています。国の動きにかかわりなく、要支援者に対して予防を重視した取り組みは今後も名古屋市の重要な施策だと考えますが、健康福祉局長の見解をお聞きします。

 要支援は49億6千万円、予防給付の57%

【健康福祉局長】要支援の予防給付のうち、訪問介護と通所介護をあわせた金額は、平成24年度の決算で49億6千8百万円余となっており、これは予防給付全体の57%を占めている。

 これまで、いきいき支援センターなどにおける適切な予防支援の実施や、保健所などにおける介護予防事業の実施に努めてきました。

 要支援者はもとより、比較的お元気な段階から、運動や機能訓練などを行ういわゆる介護予防は、要介護になることの防止や重度化を防ぐうえで大変重要であると認識しており、今後とも適切に介護予防の推進をはかりたい。

 要支援の保険外しやめよと国に求めるべき(再質問)

【岡田議員】要支援者の訪問介護、通所介護の給付額は約50億円にもなり、要支援の給付費全体に占める割合の6割ということです。これだけの量をごっそり保険給付から外すというのが今度の改悪の中身だということを、指摘したいと思います。

国の議論では、給付費を抑えるために、「多様な主体、多様なサービス」といって人員基準や運営基準を引き下げ、報酬単価も自治体裁量で引き下げもOKにする。そうなれば、事業所は、専門職など置けません。だからと言って、NPO法人や、ボランティアなどで賄えるものではないということを、名古屋市が一番わかっているのではないかと思います。サービスを専門職でない分野に置き換えるのは、国の進める給付削減の手段であって絶対やってはいけないことです。

今日、介護保険部会が最終まとめをする予定です。さまざまな団体から「保険から外すな」との声が上がっています。まだまだ中身も揺れる可能性は大です。だからこそ、名古屋市が政府に「要支援者の保険外し」はやめよと、国に強く求めるべきではないですか。局長お答え下さい。

 国の動向を注視し、必要なら要望する

【健康福祉局長】現在、国は、政府の社会保障制度改革国民会議が提出した報告書を受け、介護保険法の改正に向けた様々な議論が行なわれているが、予防給付のうち訪問介護や通所介護は、市町村の「新しい総合事業」に移行させることなどが検討されている。しかし、社会保障審議会の介護保険部会の資料を見ますと、改正の方向性が揺れ動いており、いまだ、曖昧な部分も多く、現段階では本市として評価できる段階にはいたっていない。

 これまで、大都市介護保険課長会議などの場を通じ、制度改正にあたっての財政措置や具体的な事務処理などについて、国へ要望してきた。改正案が成案となるまでは、今しばらく時間がかかるのではないかと考えておりますが、今後の国の動向を注視し、必要があればさらなる要望の検討も含め的確に対応したい。

 いずれにしても、制度改正にあたり市民のみなさまに混乱が生じることがないようにします。

 要支援の保険給付継続を国に要望すべき(意見)

【岡田議員】これまで介護保険制度は改訂のたびに給付費が抑制をされて、国民に混乱を持ち込んでいます。今回の改定はそれ以上に、公的保険としての役目を投げ捨てる内容です。

地方議会でも「要支援者の保険給付を継続せよ」という意見書が出されています。保険者の名古屋市が先頭に立ち、要支援者の立場に立って国にものを言う、これぜひお願いしたいと思います。

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