2012年6月定例会

田口一登議員の議案外質問① 自然エネルギービジョンの策定を(2012年6月22日)

中長期的な自然エネルギービジョンの策定を
【田口議員】野田内閣による大飯原発の再稼働決定に強く抗議し、その撤回を求めるとともに、「原発ゼロの日本」への思いを込めて、自然エネルギーの本格的な普及について質問させていただきます。
 福島第一原発の事故を目の当たりにして、原発依存から脱却し、自然エネルギー、再生可能エネルギーへの転換を求める市民の世論と行動が広がっています。河村市長も、先の本会議において、「原子力発電なしでも成長を続けることができる社会システムの構築について検討を深める」と表明されました。
 しかし、原発に代わるエネルギーである自然エネルギーの本格的な普及に向けた本市の取り組みは、緒についたばかりであります。昨年12月に策定された「低炭素都市なごや戦略実行計画」において、自然エネルギーによる発電設備容量を、2020年には現状の約25倍まで拡大することに挑戦する目標が掲げられました。これは一歩前進ですが、この計画は、エネルギー政策のビジョンとは言えません。また、エネルギー政策を立案し、推進する庁内の体制が弱いことも問題だと考えます。
 東京都はすでに2006年に、2020年までにエネルギー利用の20%を自然エネルギーに転換するという「再生可能エネルギー戦略」を策定し、環境局の中に再生可能エネルギー推進係を設置して推進しています。大阪市は昨年9月、「(仮称)大阪市エネルギービジョン(骨子)」を公表し、環境局の中にエネルギー政策室を設置して推進しています。大阪府と大阪市は現在、エネルギー戦略会議を設置し、府市エネルギー戦略の取りまとめも進めています。
 そこで、市長にお尋ねします。本市でも、中長期的な自然エネルギービジョンを早急に策定すべきではありませんか。また、エネルギー政策の立案と推進のための庁内の体制を強化する必要があるのではないですか。

ようやく担当ができた(市長)
【市長】正直言ってなかなかすすまんもんですから非常に苦労している。太陽熱温水器は、中国などで非常に進んでいて期待していたんですが、これもすすんでいない。全体のエネルギービジョンの中で考えないけないが、ようやく担当ができたんで、そこで何ができるか、これにもう一段取り組みを進めたい。

名古屋市民御岳休暇村における自然エネルギーの利活用を・・・木質バイオマスボイラーの導入でCO2削減と地域経済活性化を
【田口議員】名古屋市が有する施設において、太陽光発電以外の自然エネルギーを導入できないか。思い浮かんだのが、名古屋市民御岳休暇村です。御岳休暇村には、敷地内に約50ヘクタールの森林があります。周辺の地域にも豊かな森林資源があります。この森林資源、木質バイオマスをエネルギーとして利活用し、自然エネルギーを売り物に集客することを考えたらどうでしょう。
 御岳休暇村では現在でも、カラマツの間伐材から薪をつくり、炭を焼き、キャンプ場での炊飯などに利用されています。敷地内にある温泉「こもれびの湯」の休憩室には薪ストーブがあります。
 木質バイオマスをもっと利活用できないか。私が着目したのが、セントラルロッジのボイラーです。給湯用が2基、暖房用が3基ありますが、その燃料は重油です。重油の使用量は昨年度では27万2900リットル。これは、CO2排出量に換算しますと、約740トンとなります。このボイラーを林地残材などからつくるチップやペレットを燃料とする木質バイオマスボイラーに更新したらどうでしょう。CO2の排出量はゼロとなり、地球温暖化防止に貢献できます。林業の振興や木質バイオマス燃料の生産など周辺地域の経済活性化にも貢献できると思います。
 木質バイオマスボイラーの導入については、今すぐは難しいかもしれません。しかし、いずれはボイラーを更新する時期を迎えますので、その際に導入したらどうでしょう。あるいは、私は将来的にはセントラルロッジを建て替える必要があると考えていますので、建て替えに合わせて導入したらどうでしょう。木質バイオマスボイラーの導入を検討するお考えはないのか、市民経済局長にお伺いします。

イニシャルコストや設置スペースなど課題が多い(局長)
【局長】岩手県や山口県などの自治体では、地域経済の活性化や燃料の地産地消の推進の趣旨から木質バイオマスボイラーの導入に取り組み、CO2排出量削減や循環型社会への転換という観点から、大変有意義です。
 しかし、木質バイオマスボイラーの導入は、重油ボイラーと比較してイニシャルコストが大きくなることや、十分な設置スペースが必要となること、さらには燃焼によって生じる灰等の処理方法など、課題も多くあることから、名古屋市民御岳休暇村への導入は、今後十分に研究したいと考える。

小水力発電の設置計画は
【田口議員】御岳休暇村の温泉の駐車場の片隅に、職員の方が作られた小さな水車がありました。電球一個分の発電ができるそうです。私が訪れたときは、水量が少ないのか、残念ながら回っていませんでしたが、近くに谷川が流れていますので、工夫すれば水量を確保できるでしょう。
 谷川の水を活用した小水力発電を設置し、温泉、あるいはキャンプ場の照明などで使用する電気の一部でも賄うようにすれば、集客の一つの目玉になるでしょう。キャンプに来た名古屋の子どもたちが、自然エネルギーについて学べる場にもなるでしょう。小水力発電の設置についてのお考えも、合わせてお答えください。

コストと時間がかかる(局長)
【局長】河川水を利用した小水力発電は、地球温暖化対策として、有効な発電の手法ですが、休暇村を流れる樽沢は、一級河川であり、河川法による水利権取得をはじめ、周辺環境への影響評価、電気事業法など、各種許認可の手続きを進めていくことになり、諸手続きの調整にもかなりのコストと時間がかかるので、その実現には、十分な検証が必要となる。

自然エネルギービジョンの策定を(再質問)
【田口議員】自然エネルギーの普及は、脱原発と地球温暖化防止を同時に推進するにとどまらず、地域経済の活性化にもつながるものです。市長もおしゃっている原発なしでも成長を続けることができる社会システムを構築していく要に、自然エネルギーの普及をすえる必要があると思います。
 ですから私は、あえて自然エネルギービジョンと申し上げましたが、その趣旨は、自然エネルギーの普及を要にすえて、省エネなど低エネルギー社会への転換やエネルギーの分散化なども含めた総合的なエネルギービジョンが必要であり、その策定を求めたのです。市長、こうしたエネルギービジョンを策定する考えはありませんか。

本当にそういうのをつくらないかん(市長)
【市長】本当にそういうのをつくらないかんです。自然エネルギーの太陽光発電なんかは相応な補助もさせていただいて普及はしているところですが、自然エネルギーをどんなけにするのか。火力も相当技術開発がすすんどって、石炭火力なんかの相当高度な技術もできてきたやに伺っていますので、ま、エネルギーミックスで考える。節電そのものも発電ですから、発電ととらえてどうやって持っていくか。
 なんといっても、中部電力一社だけじゃない、そういう体制を作っていくということで、やりたいと思っております。ようやく担当者もできたましたので、早速取り掛かっていきたい。

早急な策定を(意見)
【田口議員】エネルギービジョン、太陽熱も含めて、自然エネルギーの普及を要とするエネルギービジョンは必要です。早急に策定されんことを要望しておきます。

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