2026年2月定例会

田口一登議員の2026年度一般会計予算 反対討論

生活保護世帯から水道料金を吸い上げ                        富裕層にはどっさり減税 どちらも5億円

 私は、日本共産党名古屋市会議員団を代表して、「令和8年度一般会計予算」に対し、原案及び修正案に反対する立場から討論を行います。

 物価の高騰が続いており、加えてイラン情勢の緊迫化によって原油価格が高騰し、市民の中に暮らしや営業への不安が広がっている時だからこそ、本市が「住民の福祉の増進」という地方自治体の役割を発揮することが求められています。来年度の予算案には、小学校給食費の無償化など市民要求に応える施策が部分的には盛り込まれている一方で、「住民の福祉の増進」に逆行する近年にない重大な問題があります。

 その一つが、公の施設の使用料改定です。これには3つの問題点があります。第1は、752にものぼる施設が対象となる軒並み値上げであり、物価高騰で苦しんでいる広範な市民に、今年度では12億6千万円、平年度ベースでは34億4千万円もの負担増を強いることです。文化施設の使用料値上げは、利用する文化団体などにとどまらず、文化・芸術を鑑賞する市民も、入場料の引き上げとなって影響を受けるでしょう。市長は本会議の提案理由説明で、「利用者の急激な負担増による影響にも配慮し上限率を設定」したと述べられましたが、上限である1.5倍の値上げが急激ではないとお考えなら、市民感覚とあまりにもかけ離れていると言わなければなりません。

 第2は、「住民の福祉の増進」を目的とする「公の施設」に受益者負担論を導入したことの問題であります。スポーツセンターなどの駐車場では、料金が2倍、3倍に値上げされるところが少なくありません。「周辺駐車場と同程度の料金とする」との受益者負担の考え方にもとづくものですが、公の施設の駐車場は、施設を利用する市民の利便性を向上させ、施設の利用を促すためのものです。その料金を、収益をあげるためのコインパーキングと同程度の料金とすることは、公の施設を収益施設に変質させる考え方にほかなりません。

 第3は、今回の使用料改定は「行財政改革」として位置づけられており、富裕層優遇の「減税」の財源づくりのために、福祉の後退を招くことです。河村前市長も広沢市長も、市民税減税の財源は「行革」で生み出すと述べてこられました。財政局は、「減税の財源はこれまでの行財政改革で生み出している」と言いますが、財源に色がついているわけではありません。「行財政改革」の一環である公の施設の使用料値上げが、市民の負担増をもたらすことから、市民税減税が市民サービスの低下を招くものであることが、明白になったのではないでしょうか。

 使用料改定にかかる修正案は、駐車場料金の値上げ幅に上限を設けるものです。市民の負担増を少しでも抑えようとする努力には敬意を表しますが、これによる値上げの抑制額は7千万円余と、原案の12億6千万円からすればわずかであり、市民の負担が増えることには違いがありません。公の施設の使用料値上げは撤回すべきであります。

 上下水道料金の生活保護世帯などの減免を廃止することも重大です。「上下水道料金は生活扶助に含まれている」などがその理由ですが、それならそれを承知でどうして70年近くも続けてきたのか。「福祉の増進を図るため」というこの制度の目的が、質疑を通じて明らかになりました。生活困窮者の命と生活を支えてきた減免制度の廃止は、福祉の後退そのものであります。それにもかかわらず、広沢市長は本会議で、「福祉政策を転換していくというものではない」と答弁された。私は耳を疑いました。弱者に寄り添う姿勢がまったく感じられませんでした。制度廃止まで1年間の経過措置がありますので、この間に再検討し、減免制度を継続するよう求めるものであります。

 市民税減税は、来年度は約107億円の税収不足をもたらします。この減税は富裕層、高額所得者優遇の減税であります。今年度、減税額がトップの方は、492万円も減税されました。この方の推計収入額は約16億4500万円だそうです。その一方で、半数近い市民は減税ゼロ円です。

 減税額が20万円を超える人は、推計収入が7千万円余を超える高額所得者で、1200人余りにすぎません。このわずかな高額所得者には総額5億円の減税をばらまく。その一方で、減税の恩恵がまったくない生活保護を受けている約2万5千世帯からは、減免制度の廃止によって5億円余りを水道料金として吸い上げる。富裕層優遇で生活困窮者に冷たい広沢市政と言わなければなりません。

 市民への負担増では、所得証明や粗大ごみ処理などの手数料値上げ、医療の給付とは別の目的の施策に保険料を流用する子ども・子育て支援金分を含めた国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の値上げも看過できません。

 その一方で、極めて厳しい財政状況と言いながら、バリアフリー対応などでゆきづまっている名古屋城天守閣木造復元、水が余っていて必要性がない徳山ダム導水路、2本目の需要がないのに進めている中部国際空港の代替滑走路、名鉄名駅再開発のたび重なる見直しにほんろうされる名駅南地下公共空間整備、いわゆる笹島巨大地下通路建設など、不要不急の大型事業は推進されます。「徹底的に行財政改革を進める」というのなら、これらの事業にこそメスを入れるべきであります。

 市民の理解がないのに、弥富相生山線の工事が再開されようとしています。折衷案なるものは、当初の計画の焼き直しであり、道路廃止の方針をなし崩し的に転換するものであります。工事再開に向けた予算は取り下げて、市長自らが住民の意見を直接聞く場を設けることを求めます。

 先ほどわが会派は予算組み替え案を提案しました。「タックス・ザ・リッチ」、「富める者に課税を」の立場で、富裕層優遇の市民税減税をやめて財源を確保する。ムダな大型事業などの予算を削り、公の施設の使用料値上げなど市民への負担増は中止し、物価高騰から暮らしを守る施策を拡充するというものです。この方向でこそ、市民の願いに応えることができると確信しています。

 最後に、冒頭にも触れたイラン情勢ですが、国連憲章・国際法は、武力行使の禁止・国家の主権の尊重を大原則としており、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃は、明白な国連憲章・国際法違反です。日本政府にはアメリカ・トランプ政権に対してイランへの攻撃をただちに中止するよう求めるとともに、いかなる形であれ自衛隊を米軍支援のために派遣しないよう求めて、討論を終わります。

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