2026年2月定例会
田口一登議員の個人質問(3月5日)弥富相生山線の工事再開予算は取り下げを
【田口議員】
弥富相生山線(天白区)の「折衷案の実現」、すなわち道路工事の再開について質問します。
建設工事が中断している弥富相生山線をめぐっては、地元住民の間に建設再開を望む声がある一方で、ヒメボタルが生息する相生山緑地の自然環境に重大な影響を及ぼすことから、建設中止を求める声があります。河村たかし前市長は、双方の住民の意見を直接聞く意向調査を実施した上で、「道路事業は廃止する」との方針を表明していました。ところが、広沢市長は、昨年11月定例会において、「一般車両の通行も可能とする折衷案をできるだけ早期に実現できるように努力する」と答弁された。これは、道路事業廃止の方針をなし崩し的に転換するものと言わざるをえません。
来年度予算案には、折衷案の実現に向けた調査・設計費が計上されています。折衷案という呼称について緑政土木局は、「当初の計画どおりの道路をつくる」のか「つくらない」のか、のどちらかではないと言っています。しかし、折衷案なるものの内実は、当初の計画に若干の修正を加えたものにすぎず、その実現とは、工事の再開ではないでしょうか。
そこで、折衷案といえるのか、緑政土木局長に数点お尋ねします。
「折衷案」は片側1車線 幅員は12m?
第1は、折衷案なるものの道路構造についてです。
緑政土木局は、昨年12月の土木交通委員会に折衷案の内容を示しました。それは、「片側1車線の相互通行と片側歩道」という構造で、一般車両の通行を可能にするというものです。弥富相生山線の未着手区間179メートルは、当初の計画では、片側1車線の2車線で、片側に歩道を設置する、幅員が12メートルという第4種2級の道路構造令を踏まえた構造となっています。
緑政土木局長、片側1車線で片側歩道という点では、折衷案なるものは、当初の計画と同じと考えますが、間違いありませんか。そうだとすれば、幅員は12メートルになるのですか。お答えください。
橋りょう形式は現行の線形で可能か
第2は、橋りょう形式についてです。
広沢市長は11月定例会の答弁で、「未着手区間のすべてを橋りょう形式でつなぐ」と表明されました。
橋りょう形式については、弥富相生山線が着工される以前の2001年度から2003年度にかけて開かれた「環境に配慮した道づくり専門家会」において検討された経緯があります。専門家会の提言を踏まえて、2004年2月に弥富相生山線の線形と幅員を現行の計画に変更する都市計画変更が行われましたが、専門家会の議論では、変更前の線形において橋りょうでつなぐ案が検討対象にあがりました。
パネル(下)をご覧ください。お手元にも配布させていただきました。左下の線形比較は専門家会に提出された資料で、都計線形、これは変更前の沢筋に沿った線形ですが、都計線形において低い橋梁と高い橋梁の案が示されています。しかし、沢筋のすべてを橋りょうでつなぐ案は採用されず、線形を南側にずらした上で、一部を橋りょうとし、それ以外は擁壁とする設計に変更されました。

このパネルの道路設計案というのが、当初の計画、すなわち現行の都市計画にもとづく道路設計です。すべてを橋りょうとせず、擁壁構造にしたのは、南側にずらした線形では、高低差のある傾斜地に接するからだと思われます。
折衷案では、未着手区間のすべてを橋でつなぐと言いますが、沢筋に沿った計画変更前のルートであれば可能かもしれませんが、南側にずらした現計画のルートでは、地形上の支障が生じるのではないでしょうか。
緑政土木局長、現行の線形において、おそらく幅員が12メートルになるであろう橋りょうで、未着手区間のすべてをつなぐことは可能なのですか。答弁を求めます。
自然環境への配慮は目新しいものではない
第3は、自然環境に配慮した対応についてです。
折衷案では、ヒメボタルへの影響が少ない道路照明や夜間の一般車両の通行制限といった対応が示されていますが、これらは何ら目新しいものではありません。
道路照明については、着工前に出された専門家会の提言書の中で、光の分散を避ける直下照明型やヒメボタルに配慮した通行車両の光の分散を避ける対応が提言され、施工中に市民や専門家を交えて数十回開かれた施工ワーキングにおいて検討されてきたことです。
また、夜間の一般車両の通行についても、専門家会の提言書で、「夜間通行禁止による走行車台数の減少を図る」などの対策の検討が提言されており、道路建設が中断した直後に出された『相生山緑地の道路建設に係る学術検証に関する報告書』の中でも、建設を再開する場合には「夜間の通行止めを行う」ことが提言されています。
それにもかかわらず、緑政土木局が示している折衷案では、「ヒメボタル繁殖時期における夜間の一般車両の通行を制限するなどの対応を検討」すると、「制限」「検討」にとどまっています。禁止するかどうか定かではありません。
夜間の通行については、「禁止する」とはっきり言わず、「制限を検討する」にとどめているのはどうしてか、お答えください。
弥富相生山線の必要性は希薄に
次に、弥富相生山線は都市計画道路としてそもそも必要なのかお尋ねします。
弥富相生山線は、野並交差点と島田交差点の渋滞の緩和につながるとともに、幹線道路の渋滞をさけて、生活道路へ進入している交通の減少にも役立つという理由から都市計画決定されました。
緑政土木局は、河村前市長が道路事業の廃止を表明して以降、野並交差点と島田交差点において車線を追加する対策を講じており、また、地下鉄桜通線の徳重までの延伸なども相まって、両交差点の朝の時間帯の渋滞は、ほぼ解消されました。私は、登庁する際には島田交差点を東から西に通過しますが、渋滞はなく、今朝もスムーズに通れました。ですので、当局も、「夕方の時間帯は混雑」と、「夕方」「混雑」としか言えなくなっているのです。周辺の生活道路への車両の入り込みについては、私は、前市長が道路廃止を表明した直後の市議会で、具体的な対策を提案し(下図)、
私の提案も部分的に取り入れた対策が講じられてきました。その結果、主要な通り抜け経路上にある双子池前の交通量は、当局の計測によると、対策を講じる前の2016年度と比べて減少し、通り抜け車両の走行速度も減少しています。近年では一定の範囲で推移している傾向がありますが、当局が地元住民とともに取り組んできた対策は、一定の効果を上げたと考えます。
野並・島田の両交差点の渋滞対策や緑地周辺地域の通過交通対策を講じてきたことによって、幹線街路として都市計画決定された弥富相生山線の必要性は希薄になっていると考えますが、緑政土木局長は都市計画道路として今でも必要だとお考えですか。
答弁を求めて、第1回目の質問を終わります。
緑政土木局長「幅員は当初計画と概ね同程度」
【緑政土木局長】
折衷案の幅員については、当初計画と同様に片側1車線で片側歩道の構成とすることから、当初計画と概ね同程度の幅員になると考えておりますが、今後の設計において詳細を検討してまいります。
折衷案の検討において、未着手区間の全てを橋りょう形式でつなぐことが可能であることを確認しております。
夜間の通行制限については、警察など関係機関との協議が必要であるため、今後検討を進めてまいります。
相生山緑地の周辺地域の交通課題については、現在、野並、島田、いずれの交差点においても夕方の都心から郊外へ向かう方向において混雑がみられ、また、入り込みの交通量についても大きな変化はないことから、依然として課題が残っていると認識しております。
また折衷案については、道路建設賛成、反対など、様々な意見がある中で、「当初の計画どおりの道路をつくる」のか「つくらない」のか、のどちらかではなく、緑地の自然環境に十分配慮し、防災や安全、地域間のつながりや自然とのふれあいなど、期待されている効果を市民の皆様にできる限り早く還元していくという考えのもと、折衷案の検討を進めてまいりました。
そのため、弥富相生山線の折衷案を整備することにより、渋滞や入り込み交通の解消だけではなく、災害時の防災機能や、暮らしの利便性の向上など、多面的な効果を発揮させることができることから、弥富相生山線は必要であると考えております。
当初の計画の焼き直し。道路廃止の転換か
【田口議員】
弥富相生山線の折衷案については、当初、当局が検討していた案であれば、折衷案といえなくはありません。当初の折衷案は、歩行者、自転車と緊急車両のみ通行可能で一般車両は通行不可という道幅が6メートルから8メートルの3つの案で、イメージ的には園路と映るような案でした。
「すべてを橋りょう形式でつなぐことが可能」と答弁されましたが、それではすでに造られている橋脚はそのまま利用できるのか、などの疑問が出てきます。3月1日に天白区役所で開かれた折衷案に関する説明会で当局は、橋りょう形式の道づくりとして、道路工事後に植生が回復した国営越後丘陵公園の事例を紹介していました。説明会に参加した市民の方が、この公園に問い合わせたところ、「園内には一般車両は入れません」とのことだったそうです。越後丘陵公園の事例はいわゆる園路であって、一般車両を通す弥富相生山線と比べることはできません。
ところが、広沢市長の議会答弁を受けて修正された折衷案なるものは、当初の計画と同様の「片側1車線、片側歩道」。緑政土木局長が「当初計画と概ね同程度の幅員になる」と答弁されましたので、おそらく幅員12mの道路でつなぎ、一般車両を通すというものです。自然環境に配慮した対応も、夜間の通行制限を「今後検討する」というだけで、自然環境を保全する保障はありません。
弥富相生山線の折衷案なるものは、当初の計画の焼き直しであり、折衷案などと言えるものではないということが、はっきりしたと思うのです。そこで広沢市長に再質問します。
私は、2024年9月定例会で、当初の折衷案について河村前市長に質問しました。河村さんは、「折衷案は折衷案で成案を得ないかんです。……その上、早く都計審にかけて道路を廃止せよというのを提出せよと私は言っております」と答弁されました。私は、折衷案と道路廃止方針は矛盾すると、折衷案の撤回を求めましたが、それでも前市長は道路廃止の方針には変更がない考えを示していたのです。
市長、あなたが実現するといっている折衷案は、河村前市長の道路廃止の方針を転換するものではないですか。広沢市長は市長選挙のマニフェストで、「河村たかしの政策を丸ごと継承する」と公約されました。これがマニフェストですけれども、表紙にはっきり書いてあります。そうであれば、相生山の道路事業廃止の方針も継承すべきではないですか。お答えください。
道路廃止方針の存廃 広沢市長は答弁避ける
【広沢市長】
河村前市長も折衷案が必要と判断し進めてきたものであり、私も折衷案が必要と判断しております。
折衷案は、出来る限り自然環境に配慮しつつ、入り込み交通や渋滞の解消、災害時における防災機能など、多面的な効果を発揮させることができる最善の案であると考えております。
住民説明会で「なぜ市長は来ないのか」
【田口議員】
市長、答えていないですよ。私は、道路廃止の方針を継承するのかお尋ねしたんです。河村前市長は、最後まで道路廃止は言っていました。折衷案などといってごまかして、道路廃止の方針をなし崩し的に転換するというやり方はだめですよ。
3月1日の折衷案の説明会は、市民団体と地元4学区住民などとに対象を2つに分けて、天白区役所講堂で開催されました。どちらも会場一杯の市民が詰めかけましたが、その会場には広沢市長の姿はありませんでした。3月1日の市長の動静は、日中は公務なし。この日は国府宮はだか祭りで西区の神社に行かれていたようです。
市民団体を対象にした説明会では、会場から「なぜ市長が来ないのか」「市長は判断を変えた理由を市民に説明すべきだ」「再度説明会を開催してほしい」という声が噴出していました。
河村前市長は、道路廃止の方針を打ち出す前に、今回の説明会と同様に参加対象を分けて住民の意向調査を実施し、賛成、反対の両者の意見に直接耳を傾けて、自らの判断をくだされた。ところが、広沢市長は、住民の意向を直接聞く場を設けないで工事再開に舵を切るという重大な判断を下し、下した後も自らの言葉でその理由を市民に説明するということをされませんでした。
市長、再度説明会を開いて、こんどは市長も出席して、説明すべきではありませんか。市民の声に耳を傾けていただきたい。どうですか。
市長「説明会を再度開催する予定はない」
【広沢市長】
折衷案は道路建設を望む方、望まれない方、双方の意見を踏まえて判断し、取りまとめたものです。
また、私はこれまでに道路建設を望む方、望まれない方に直接お会いして、それぞれのご意見をしっかりとお聞きしております。
説明会は、本市が決めたこの折衷案について、本市からその内容をご説明する場でございますので、当局で対応することといたしました。
説明会では、折衷案の内容や皆様が疑問に思われている点について、本市からしっかりとご説明することができたと考えております。
そのため、説明会を再度開催する予定はございませんが、今後、「広報なごや」や「市の公式ウェブサイト」を活用し、説明会と同様の内容について周知を図るとともに、いただいたご意見に対する市の考えを公表するなど、広く市民の皆様にも丁寧にご説明してまいります。
工事再開予算は取り下げを
【田口議員】
市長、説明会ではしっかり説明していませんよ。説明会では、参加した市民からの批判や疑問の声に、当局からは納得がいく回答はありませんでした。地元4学区などを対象とした部でも、発言した方の6割が、道路を通すことに否定的な意見でした。市長は現場にいなかったから、「しっかりと説明した」などと、事実誤認になるんです。折衷案なるものにたいして市民の理解は得られていません。それなのに、もう説明会は開かない。工事再開に向けて進みますというのは、民意をあまりにも軽んじているのではないですか。
未着手区間は、沢や散策路があって、相生山緑地の中でも心臓部といっていい、一番大切なところです。そこを道路でつなげば、橋りょう形式にしても自然環境に重大な影響を与えます。柱が何本も林立して景観を損ないます。
工事再開に向けた予算はいったん取り下げて、市長自らが住民の意見を直接聞く場を設けることを求めて、質問を終わります。
キーワード:田口かずと













