2025年9月定例会

みつなか美由紀議員の議案外質疑①(9月18日)高齢者の補聴器購入助成 広沢市長「効果的な制度を検討」

【みつなか議員】

 加齢性難聴者の補聴器購入助成制度の創設についてです。

 482。これは全日本年金者組合調べによる2025年9月1日現在、補聴器購入助成を行っている全国の自治体の数です。県内や政令市での実施自治体の数は、くずや議員からも述べられましたので、割愛しますが、2021年は全国で36自治体しかなく、愛知県内でも2022年はわずか3自治体でしたので、数年で急増していることがよくわかります。実施している自治体の多くでは、助成制度を作った目的は、「コミュニケーション能力の維持・向上」「生活の質の向上や社会参加の改善」であるということです。

 本市では本会議や委員会で補聴器購入助成については度々取り上げてまいりました。議事録を見てみますと、答弁は、難聴の補正が認知症予防につながるかどうかについても、補聴器を早期に使用することによる加齢性難聴の進行抑止の効果についても、「エビデンスが十分に確立されていないものと認識している」と繰り返しておられました。しかし、実施自治体は、こうしたエビデンスにかかわりなく、必要性を認識して助成を行っているということです。また、答弁では「適切に補聴器を使用することにより聴力を補正することが可能である」とお答えになられていて、その認識は一致するところです。

 私も昨年、ちょうど1年前の9月議会本会議で質問をいたしました。当局からは「実施による効果を見極めながら検討する必要がある」との答弁があり、私からは「様々な自治体の実施状況を研究する」ことを要望させていただいたところであります。健康福祉局は今年、東京都の港区と豊島区そして政令市の新潟市と相模原市、この4つの自治体での助成の実施状況を調査されたということです。先日の財政福祉委員会での請願審査では、田口議員の質問に対し「実施の効果というものを今確認しているところ」と答弁されました。

 そこで健康福祉局長にお聞きします。補聴器購入助成制度の創設について、名古屋市においては現在どのような検討状況なのかお答えください。

 市長は、市長選の公約で、「最重点項目」の(4)日本一の福祉と医療で、「高齢者の補聴器助成実施」と掲げられておられます。これを見た時には、ぜひ実現したいと強く思いました。

 そこで市長にお聞きします。公約に「高齢者の補聴器助成実施」をどうして掲げられたのか、市長の公約に込められた思いをお聞かせください。

【広沢市長】

 加齢性難聴者の補聴器装用は、単にコミュニケーション能力の改善だけなく、社会参加の促進、生活の質の向上につながるという報告がありますことから、本市においても補聴器購入費用の助成制度について検討する必要があると考え、マニュフェストに掲げたところでございます。

【健康福祉局長】

 加齢に伴う聴覚機能の低下に対応して、社会生活上の支援を行うことにつきましては、実施による効果を見極めながら検討する必要があると認識しております。加齢性難聴にかかる補聴器購入補助制度の創設につきましては、国に対して、全国一律の補助制度を創設することについて、大都市民生主幹局長会議等において、要望を行っているところでございます。現在、国の動向を注視しながら他都市における実施の効果について確認しているところでございます。

【みつなか議員】

 市長が公約に掲げた理由について「加齢性難聴者の補聴器装用は、単にコミュニケーション能力の改善だけでなく、社会参加の促進、生活の質の向上につながるという報告があった」とお答えになりました。実施自治体は、補聴器を装用することの効果が、実践で明らかになったことから、そのような報告をされたということです。

 そういう報告を受けて、市長も購入費用の助成制度を検討する必要があるという答弁をされました。社会参加や生活の質の向上にとって補聴器の使用が有効であると市長も認識されているということですね。私もその通りだと思います。

 しかし、補聴器を使うことで効果があっても購入をためらうのは、非常に高額で経済的な負担が大きいということがネックになっていると思います.

 市長に再度お伺いします。市長も効果があると考えられるのであれば、今はもう、検討や効果の確認という段階ではないのではないでしょうか。本市においても来年度から補聴器購入助成の実施に踏み出してはいかがですか。

来年度に検討会を設置

【広沢市長】

 まずは、難聴や補聴器についての理解促進のための普及啓発に取り組むため、令和8年度に、耳鼻咽喉科医や言語聴覚士など関係機関の皆様にご意見をお伺いする検討会を設置いたします。あわせて、効果的な補聴器の使用につながるような助成制度についてもこの検討会のなかで、ご意見をお伺いしながら検討してまいります。

【みつなか議員】

 加齢性難聴を患っている高齢者の方は、家族の中でさえ疎外感を感じている、会合などで大事なことが聞き取れなくて失敗して肩身の狭い思いをしている、友人とも疎遠になってしまったなど様々な困難を抱えています。そういう高齢者の方の補聴器の装用を促すためには、理解促進、普及啓発は確かに重要だと考えます。それと同時に助成制度がないと、購入できない高齢者を取り残してしまうことになります。補聴器購入助成を心待ちにしている市民の方の声は市長のところにも届いているのではないでしょうか。

 市長からは「効果的な補聴器の使用につながるような助成制度について検討」とご答弁をいただきました。私が調べたところ、板橋区では購入後約4週間補聴器を調整することも制度に入れております。東京都港区では、今年度から60才、65才、70才、75才の方で聴覚の障害に関する手帳を持っていない方への聴力検査の実施を始めました。早期にご本人が聞こえにくさに気づくためです。こういった他都市の制度も参考にし、補聴器相談医など医師や専門家と協力して、より効果的な制度にしていくこと、そして早急に補聴器助成実施、市長の公約を実現することを強く求めすべての質問を終わります。

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