2025年6月定例会
田口一登議員の個人質問②(6月20日) 水道料金値上げ 財政支援し低所得世帯は据え置きを

10月からの値上げ 少量使用の方が値上げ幅が大きい
【田口一登議員】
今年10月からの上下水道料金の値上げに対して、物価高騰で苦しんでいる市民から憤りの声があがっています。私のところに届いたメールを紹介します。
「水道の使用量により値上げ幅がどう変わるのかを計算してみました。驚くことに、使用量が少ない方が値上げ幅が大きく、使用量が多い方が値上げ幅が小さい、ということがわかりました。これは水道料金を気にしなくてもよい高額所得者優遇であり、水道料金さえも気にしつつ生活する低所得者いじめです」。
メールでは、使用量が2か月で12㎥の世帯の上下水道料金は2607円で、値上げ幅は869円。50㎥の世帯の料金は12551円で値上げ幅は561円という試算を示して、「3千円前後での869円の値上げと、1万3千円前後での561円値上げでは、負担感がかなり違います」と指摘されています。このメールのとおり、今回の水道料金値上げは、水道使用量が少ない、その多くは所得の少ない世帯だと考えられますが、そうした世帯ほど値上げ幅が大きい。まさに「低所得者いじめ」であります。
本市が水道料金の値上げで市民に負担増を強いようとしている一方で、東京都は、この夏の4か月間、水道料金の基本料金を無料にします。4か月で1世帯当たり5千円程度の軽減になるそうです。その財源は、小池百合子都知事の言葉を借りれば、「一般会計の歳入・歳出をひねり出して充てる」ということです。
そこで広沢市長にお尋ねします。物価高騰から都民を守るために、期間限定ではあるけれども水道料金の基本料金を無料にする東京都の対応について、どのように評価されているのか、お答えください。
【広沢一郎市長】
東京都におきましては、 物価高騰の影響により実質賃金がマイナスの状況が続く中、今夏に限った臨時的な特別措置として、都民の光熱水費の軽減につながるよう今回の水道料金甚本料金の無料化を行うものと聞いております。
物価高騰対策につきましては、水道料金の支援に限らず、様々な手法が考えられますが、東京都におきましては、数ある手法の中から、今回は、 水道料金の支援を選択されたものではないかと認識しております。
仙台市は住民税非課税世帯まで上下水道料金の基本料金が無料
【田口一登議員】
日本共産党市議団は先の2月定例会で、上下水道料金の減免の対象を、減免額は考慮するとしても、住民税非課税世帯まで拡大し、低所得世帯の値上げは中止するよう求めました。
本市のいわゆる福祉減免の対象は、生活保護世帯や児童扶養手当受給世帯、障害者世帯などに限られていますが、仙台市では、住民税非課税世帯まで水道料金の基本料金分と下水道使用料の基本使用料分を免除しています。仙台市に問い合わせたところ、かつて水道料金値上げを行った際に、激変緩和措置として非課税世帯の基本料金を免除し、その後も低所得者支援として継続している。その財源は、一般会計の諸支出金から繰り入れているとのことでした。
私は、物価高騰が市民の暮らしを直撃しているもとでの水道料金の値上げは、今からでも中止すべきであると考えますが、少なくとも低所得者世帯については値上げを抑えることはできないのでしょうか。
今回の値上げ幅は、ひと月200円から450円程度です。約27万7千世帯にのぼる住民税非課税世帯の中には、すでに福祉減免の対象になっている世帯もありますが、27万7千世帯のすべての上下水道料金をひと月450円減額することは、年間約15億円あればできます。
市長、物価高騰で苦しむ市民を支援するために、東京都や仙台市のように一般会計から財源を繰り出して、住民税非課税世帯の上下水道料金を減額し、料金値上げの影響を回避する考えはありませんか。答弁を求めます。
「上下水道料金の支援は考えていない」(市長)
【広沢一郎市長】
上下水道料金につきましては、地方公営企業として独立採算で運営されており、受益者負担の考えのもと料金設定がなされていることから、原則としてご利用に応じて負担をお願いするべきものと考えており、物価高騰対策としての上下水道料金の支援は考えておりません。
東京都の基本料金無料は他人事の答弁
【田口一登議員】
市長の答弁は、東京都の基本料金無料については、まさに他人事(ひとごと)です。本市での物価高騰対策としての支援については「上下水道料金の支援は考えていない」という、つれない答弁でした。
私が一問目で紹介したメールでは、「水道料金値上げにはため息しか出ません。つましい生活をしている者の存在なんぞ知ろうともしていない」との落胆の声が綴られています。こういう声を受け止めてほしい。
市長は、先の2月定例会での、みつなか美由紀議員の質問にたいして、「物価高騰などにより市民生活が非常に厳しい中、市民の皆様にご負担をお願いするのは大変心苦しい」と答弁された。「心苦しい」という思いであれば、せめて住民税非課税世帯については料金を据え置いたらどうですか。当面、今年10月から来年3月までの半年間であれば、数億円あればできます。こんど、国の重点支援地方交付金が追加配分され、本市には5億5千万円が交付されますので、これも活用すれば支援は可能であります。市長には、上下水道料金の負担軽減について再考していただきたい、ということを申し上げておきます。
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