11月24日 議案外質疑 田口 一登議員

除草・樹木剪定の委託契約で不自然な入札結果
平均入札額を最低制限価格にしているから?

田口市議が本会議で追及

 田口議員の元に市民から、「公正性が疑われる入札が行われているのではないか」との声が寄せられました。上下水道局と財政局が入札を担当した除草・樹木剪定の委託契約の入札結果を調べたところ、不自然な点が明らかになりました。11月24日の市議会本会議で田口議員が、不自然な入札結果とその背景にある最低制限価格設定をただしました。
 入札制度には、著しい低価格による入札の防止策として、最低制限価格制度が導入されています。最低制限価格の設定について名古屋市では、予定価格の75%から92%の範囲内で、国等の基準により算定した額、または当該入札の平均入札額のうち、いずれか低い額とされています。愛知県やほとんどの政令指定都市では、国の算定基準に準拠しており、平均入札額を設定基準の一つとしている自治体はごく少数です。

「制限」回数多数の「常連」が落札

 上下水道局が入札を担当した除草・樹木剪定の委託契約に係る入札結果(今年4月19日・5月9日入札分)では、19件の入札のうち、最低制限価格に満たない入札金額のために「制限」となった回数が10回以上の事業者(以下、「制限常連」と呼ぶ)が18者もあります。一方で、「制限」回数が1回から3回と少ない事業者が17者あります。
 田口議員は、3件の入札結果をパネルに示して、「少なくない特定の事業者が、制限に引っかかる可能性のある低い金額で、どうして何度も何度も応札しているのか。さらに、この3件のように、落札者は制限回数が多数の『制限常連』、それに続く入札金額の入札者も『制限常連』というケースが少なくない。不自然ではないか」と追及しました。

「複数の業者が組んで調整できる」

 財政局が入札を担当した除草・樹木剪定の委託契約に係る入札結果(今年4月10日~5月24日入札分)では、24件の入札のうち、「制限」となった事業者が0から3者が16件で、このうち7件は国基準で算定した額を最低制限価格としています。一方で、「制限」となった事業者が7者以上の入札が8件あります。これは、すべて平均入札額を最低制限価格としていて、「制限」となった事業者は、「制限」回数が多い事業者であり、落札者はすべて「制限常連」です。

 田口議員は「平均入札額を最低制限価格の基準の一つにしているから、複数の業者が組んで最低制限価格を調整できてしまう。最低制限価格を意図的に引き下げて、落札することが可能である」というある業者からの指摘を紹介して、「複数の少なくない事業者が調整して最低制限価格を意図的に引き下げているのではないかという疑念を持たれないようにするために、最低制限価格の設定方法は、国の算定基準に準拠するだけに改めるべきではないか」とただしました。

最低制限価格の設定方法の見直しを

 入札結果については、上下水道局長も財政局長も、「不自然な点はない」と強弁しましたが、指摘した疑問点にたいして明確に答えませんでした。
 最低制限価格の設定方法について財政局長は、「国等の基準により算定した額と当該入札の平均入札額のいずれか低い額を最低制限価格とすることは、開札まで最低制限価格が確定せず、その価格を探ろうとする不正な動きへの抑止に有効であると考えている」と答弁しました。これにたいして田口議員は、「一理あるが、平均入札額を最低制限価格にすると、少なくない事業者がグループを組んで、国の算定基準にもとづいて推計される最低制限価格を下回る金額で入札することによって、最低制限価格を引き下げ、そのグループの事業者のいずれかが落札できるようにすることが可能になる」と指摘。公正・公平な入札制度とするために、最低制限価格の設定方法の見直しを検討するよう求めました。

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