6月23日 議案外質問 田口一登議員

問われる「人権より『本物復元』優先」市政
―― 市民討論会 差別発言問題――

 名古屋市主催の市民討論会で差別発言が相次いだ問題で、日本共産党の田口一登議員は23日の本会議で、河村たかし市長の認識を問いただしました。 

市長・市の対応に批判広がる

 討論会は今月3日、名古屋城天守閣木造復元計画バリアフリーのあり方をテーマに開かれたもの。天守閣上層階までエレベーターの設置を求めた車いす利用の参加者に対して、「ずうずうしい」「我慢せえ」などの発言や、身体的ハンディキャップに対する差別表現が続出しました。しかし発言時に市側は制止せず、河村市長が閉会挨拶で「熱いトークもあり、なかなか良かった」などと発言。「障害者差別を容認した市と河村市長は許されない」と厳しい批判の声が広がっています。

「聞こえなかった」-市長は注意散漫

 田口議員は「市のまちづくりの基本理念に反するきわめて重大で深刻な問題だ。今回の差別発言に対する市長自身の認識が問われる」と批判。5日の市長記者会見に触れ、「身体的ハンディキャップへの差別表現について市長は、『聞こえなかった』というが、『聴き洩らした』のではないか」と指摘。
 これに対し市長は「突然の言葉で聞き取れなかった」などと釈明。田口議員は「私も当日の録画映像を見たがはっきり差別表現が聞こえた。市長は注意散漫だ」と批判しました。

一連の発言も差別発言と認めるか?
→「障害者差別である」(市長)

 田口議員は、身体的ハンディキャップへの差別表現にとどまらず、「我慢せえ」などの一連の発言についても、障害者差別解消法や市条例の「差別」に当たるものだと強調。「記者会見で市長は『表現の自由』を盾に、差別にあたるかどうかの判断を避けた。現時点では『差別』と認めるか」とただしました。
 市長は「障害者基本本法や障害者差別解消法の理念に反するものであり、障害者差別である」と認めました。

「討論会」は重大な汚点をのこした

 田口議員は、今回の討論会そのものの評価について、「(当日の閉会挨拶で)市長は肯定的評価をした。市として差別発言を無視し、容認したことになる」と指摘。
 討論会の実態について、「(録画映像では)差別発言への反論の声も聞こえたが、別の差別表現を用いながら、『生まれながらにして、不平等があって平等』等の発言があり、会場から拍手が起きた。こんなやり方は『熱いトーク』とは断じて言えない。討論会は差別を助長し、人権侵害という重大な汚点を残した」と厳しく批判し、市長の評価を問いました。
 市長は「8人の発言者うち、差別発言した2人以外は建設的な意見だった。差別発言が出たのは大変残念だ。『表現の自由』はあるが、事前に注意喚起すべきだった。しっかり検証し再発防止に取り組む」と述べ、討論会の評価については回答を避けました。

障害者への配慮よりも「本物復元」優先の市長の態度が、差別発言の一因では

 田口議員は、事態を招いた原因について、「障害者への配慮よりも『本物復元』を優先する市長の態度が、差別発言の一因となったのでは」と、市長の認識をただしました。
 しかし市長は質問には答えず、「合理的配慮には全力をあげて考えている。木造復元を行うという考え方と、(希望者)全員が(天守閣最上階に)昇れるようにするという考え方は両立しないんです…」などと自説を展開。
 田口議員は「市長は所信表明で人権施策の推進を表明した。そのためには、しっかり検証するとともに、市長は自らの姿勢運営を謙虚に省みてほしい」と猛省を求めました。

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