2023年度一般会計予算に対する反対討論

 3月16日に2023年度名古屋市予算案の採決が行われ、さいとう愛子議員が、反対の討論を行いました。討論の概要を紹介します(同予算案は日本共産党を除く賛成多数で可決しました)。

コロナ禍・物価高騰で市民は悲鳴

 3年以上にわたるコロナ禍の上に物価高騰が追い打ちをかけ、市民生活がかつてなく厳しくなっています。日本共産党市議団が行った市政アンケートには、6割の方がコロナ前と比べ暮らし向きが悪くなったと答えています。市民の悲痛な声に対し、暮らし・営業を守る施策が必要です。

学校給食費の無償化に踏み出すべき

 学校給食費の無償化は子育て家庭の支援にとって大変有効であり、日本共産党も求め続けてきましたが、2023年2月定例会では、減税日本以外のほとんどの会派が、学校給食費無償化を求めました。しかし、河村市長は相変わらず、「就学援助制度を充実させると」「給食費無償化は『金持ち優遇になる』」という答弁でした。「義務教育は無償とする」という憲法26条にのっとり、小学校の給食費無償化に踏み出すよう強く求めます。

国保料の大幅値上げやめよ

 均等割国民健康保険料が1人平均で年10,466円の大幅に値上げです。障害者、高齢者、非正規労働の若者も加入する国保は「払える保険料を」というのが切実な声です。一般会計からの繰り入れをさらに増やし値上げをやめるべきです。

保育園、療育センター、図書館 市民サービス縮小の民間移管は撤回を 

 教育や保育、療育の分野まで民営化が進められてます。124あった公立保育園は来年度87となります。北部地域療育センターは来年度民間移管となります。子どもに負荷がかかる変化は行うべきでありません。市の責任で専門的な体制を厚くすべきです。公立図書館も「なごやアクティブライブラリー構想」によって、来年度から指定管理館が一気に4館増え、21館中9館となります。市の正規職員の司書が大幅に減り、図書館の質的低下が懸念されます。撤回すべきです。

金持ち減税やめ、給食費無償化実現を

 230万市民の半数は、非課税世帯や被扶養家族で市民税減税の恩恵がありません。現在対象者でも8割が減税額1万円以下。一方で、市の減税総額96億円の6割は、高額所得者を含む2割の市民が対象となっています。金持ち減税をやめ、学校給食費無償化こそ実現すべきです。

見通しのない大型事業を続け拡大

 ●名古屋城天守閣木造復元事業 

 市民合意なく強引にすすめられる名古屋城天守閣木造復元事業。基本計画作成のための実施設計費や木材の保管料のために特別会計に2億6700万円余貸付けるべきではありません。 市長は木造復元は「税金投入でなく、入場料収入で」賄うとしていまが、コロナ禍以前の入場者数から見ても、その後の観光状況を見ても入場料収入では賄えないのは明らか。税金投入は必 至であり、事業は中止すべきです。

 ●名古屋高速道路公社への出資

 都心部と高速道路とのアクセス性向上のための出入り口建設を目的に名古屋高速道路公社に出資するものですが、「都心への自動車流入を減らし渋滞を解消する」という、都市高速道路の基本的な理念に全く反しています。地域住民に犠牲を強いる総額1200億円もの巨額投資を行うべきでありません。

 ●中部国際空港第二滑走路整備

 中部国際空港第二滑走路建設に向けた同空港会社への貸付金。現在環境影響評価調査が行われていますが、建設目的の中に将来の航空需要への対応がないのは問題です。第二滑走路の必要性を判断する一番のメルクマールは将来の需要見通しです。これを脇に置いて建設を急ぐことは認められません。

 ●木曽川水系連絡導水路事業「再開」

 河村市長が2月に突然発表した、木曽川水系連絡導水路事業の「再開」。揖斐川からの「おいしい水」の確保、治水対策、堀川浄化を理由にあげましたが、「水は余っており、導水路は不要」と市長自ら認めてきた現状は変わっていません。 木曽川の給水可能量160万tに対し給水実績は半分の80万t前後と半分にすぎません。
 すでに建設された徳山ダムの負担金だけでも、新年度以降、工業用水道事業と合わせて約97億円もの負担です。さらに管理料を毎年約2億円払い続けます。その上に導水路事業の市負担金が約120億円。さらに市長は、揖斐川からの新たな導水管布設で約50億円も市民に負担させようとしています。こんなとんでもない過大な投資を認めることはできません。

今こそ市政を転換するとき

 市民生活がかつてない困難に直面している時に、金持ち優遇減税を漫然と続け、市民サービスを低下させ、将来に渡って過大な負担を負わせる予算案には、到底賛成できません。
 子どもたちの豊かな未来のために、市民の暮らしや営業を支えるために、高齢期が安心して迎えられるために、いまこそ市政を切りかえるときです。
 日本共産党は、市民の暮らし、福祉を守る市政を実現するために全力を尽くす決意です。

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