2022年11月議会

田口一登議員の個人質問(2022年11月25日)②国民健康保険料の負担軽減を

保険料賦課率を引き上げる必要性はなかったのではないか

【田口議員】日本共産党市議団は、8月から市政アンケートを実施していまして、返信用封筒付きのアンケート用紙を市内の約60万世帯に配布したところ、郵送やネットで1万件を超える回答が寄せられています。このアンケートでは、「名古屋市政に望むこと」という問いへの回答で、「国民健康保険料の値下げ」が43項目の中で3番目に多く選択されています。
 国保料の引き下げが市民の強い要望となっているのは、国保料が高すぎるからです。国民健康保険は、他の医療保険制度に比べて保険料負担が著しく重い。たとえば、給与収入が400万円の30歳代夫婦と小学生2人の世帯のケースでは、協会けんぽでは本人負担分が約20万円なのに対して、国保では保険料が約35万円と、1.75倍も高くなっています。
 本市は、来年度から均等割額の引き下げ率を3%から5%に拡大するとともに、法定減額の対象となる全世帯に対して一人あたり2000円を控除する――これは現行の特別軽減のいわゆる自動適用ですけれども、この二つの対策によって低所得層では保険料負担が軽減されます。
 一方で、愛知県への納付金における保険料の割合、すなわち保険料賦課率を現行の92%から94%へと、来年度から4年間かけて0.5%ずつ引き上げられます。これによって、中間層以上では値上げになります。たとえば、年金収入が300万円の70歳夫婦世帯では年額4490円の値上げになると試算されています。
 国は、国保の都道府県化を梃子にして、一般会計からの法定外繰入のうち、保険料の負担緩和や地方単独の保険料軽減などに充てる決算補填等の目的の繰入については赤字とみなし、その解消を自治体に迫っています。一方で、保険料の減免などに充てる決算補填等以外の目的の繰入は認めています。
 健康福祉局長にお尋ねします。
 本市が保険料賦課率を引き上げるのは、国から解消を求められている決算補填等目的の繰入金をゼロにするためとされています。ところが、2020年度および21年度の決算では、決算補填等目的の繰入金はすでにゼロになっているのです。だったら、保険料賦課率を引き上げる必要はないのではありませんか。

加入者増による保険料収入の増加と減免に対する国の交付金の増額で繰入れが必要なくなった

【健康福祉局長】令和2年度及び3年度決算において決算補填等目的の繰入がなかった要因は主に2点です。
 1点目は、新型コロナウイルス感染症拡大を背景に、会社を退職し、国民健康保険に加入した人が増えたことと、保険料の収納率が見込みを上回ったことにより、保険料収入が増加したこと。
 2点目は、新型コロナウイルス感染症に係る減免への国からの交付金が増加したこと。
 これらの新型コロナウイルス感染症に関連する特異的な要因などにより、収入額が増え、結果として決算補填等を目的とした躁入が生じなかったものであり、赤字解消に向けた根本的な解決には至っていない。

均等割額の引き下げ率を10%に拡大を

【田口議員】保険料賦課率の引き上げによる国保料値上げは中止し、むしろ高すぎる国保料を引き下げるべきです。
 本市が独自に実施している均等割額の引き下げのための法定外繰入は、国が繰入を認めている決算補填等以外の目的とされています。ですから一般会計から繰入を行い、均等割に係る保険料を引き下げているのです。そうであるなら、一般会計からの繰入をさらに増やして、均等割額の引き下げ率を5%にとどめず、10%にしたらどうですか。
 現行の3%の引き下げ率を10%に拡大したら、一人あたりの均等割額は単純計算で3900円程度、先ほど例にあげた4人世帯なら15600円程度の引き下げになります。

国保加入者以外の市民の理解が必要

【健康福祉局長】国民健康保険運営協議会の意見などをふまえ、令和5年度から、申請を必要とした特別軽減を廃止することにした。それに伴い、低所得者対策を継続するには保険料を引き上げる必要が生じるため、これと同程度の金額を一般会計から繰り入れ、均等割額の引き下げ割合を5%とした。
 一般財源による均等割額の引き下げ割合のさらなる拡大は、国民健康保険に加入していない市民も含めた幅広い理解が必要と考えている。

国保料は高いと思いませんか。市長が国保に加入すると単身高齢者とすれば1.6倍の保険料になる(再質問)

【田口議員】そもそも国保の赤字解消は、法令上、自治体の義務ではありません。国が法定外繰入の解消を自治体に迫っていることに対して、全国市長会は「地方分権の趣旨に反する」との懸念を表明しています。国の圧力に唯々諾々と従う必要はありません。保険料賦課率の引き上げによる国保料の値上げは中止するよう求めます。
 均等割額の引き下げ率のさらなる拡大については、「国保に加入していない市民も含めた幅広い理解が必要」との答弁でした。市民の幅広い理解は得られます。私たち市議団の市政アンケートでは、「名古屋市政に望むこと」という問いへの回答で「国保料の値下げ」を選択した方が、20代では43項目中第2位、30代では第3位と、若い世代でも強い要望となっているのです。
 健康保険に加入しているサラリーマンも退職すると国保に加入します。その時、現役時代の健保と比べて異常に高い国保料にびっくりするんです。
 市長、あなたは名古屋市の共済組合に加入しておられますよね。私の試算では、月給50万円で年収800万円の方の共済組合の健康保険料は年額37万6千円になります。一方、年収800万円の70歳単身世帯の国保料は、約60万8千円です。国保の方が1.6倍も高い。
 市長、国保料は高いと思いませんか。均等割額の引き下げ率を5%にとどめず、10%などへとさらに拡大し、国保料の値下げを求める市民の願いに応えていただきたい。いかがですか。

よう考え見ますので、ちょっと待ってて(市長)

【市長】市長やらせてもらってうれしかったのは、共済組合はええねえ。健康保険が安い。国保でやっている人はみんな大変だわと、確かに骨身にしみております。定額分についてという話もありまして、ちょっとまたよう考えてみますけど。一般の労使折半のやつは仕組みが違うというふうに答弁は言うようになっているが。国保の人は大変だ、商売やっている人はほんとに大変ですよ、つくづく感じております。まあちょっと待ってて頂戴。

減らし続けてきた一般会計からの繰入金の一部を戻せば、均等割の10%引き下げはできる(意見)

【田口議員】市長が入っている共済組合の保険料は、市が公費で半分負担しているので安いのです。私たち市会議員も加入している国保は、公費の負担割合がそもそも低い。その上、一般会計からの本市独自の繰入金は、10年前の2011年度の71億円から、2021年度は33億円と半減しています。
 国保の均等割額の引き下げ率を3%から10%に拡大するために必要となる財源は17億円程度ですから、減らし続けてきた繰入金の一部を戻せば、10%の引き下げはできます。しかも、均等割額を引き下げるための繰入は、国が解消を求めている赤字ではありません。均等割額をさらに引き下げて、高すぎる国保料を値下げされんことを要望して、質問を終わります。

キーワード: