個人質問(6月22日)江上博之議員 

あいちトリエンナーレ2019に係る負担金交付請求事件判決への

               控訴に関する専決処分について

判決で名古屋市が全面敗訴

 名古屋市は、あいちトリエンナーレ実行委員会に対する負担金の一部を支出しないことを決めました。それに対し、同実行委員会が、2020年5月、名古屋市に対し、負担金の一部である3380万円余の支払いを求め提訴し、2022年5月25日、名古屋市全面敗訴の判決が下されました。これに対し、名古屋市は、5月30日、控訴しました。6月定例会ではこの控訴を専決処分で行ったことの承認を議会に求めています。江上博之議員が質問しました。

控訴の理由が認められない

 江上議員は、「展示物に対して市長の個人的評価、主張まで含み、名古屋市として展示物の表現内容を問題として控訴すること」は認められないと指摘しました。また、名古屋市の主張に対して、芸術祭への公金支出を認め、「地方公共団体が行うような公共事業ではない」とした判決内容を示し、控訴の理由は認められないことを明らかにしました。河村たかし市長は控訴の理由について「判決についてとりわけ承服しかねることは、芸術祭を『地方公共団体が行うような公共事業ではない』とされたことです」「主に税金で運営されている限り政治的宗教的に中立であるいうことが当然なルールとしてあるわけです。そういうところでみなさんが納得いけるものではない」と説明しました。また、「天皇の写真をバナーで焼いて踏みつけた映像や慰安婦像など(の展示)を市民の税金でやるんですか」「市民の納得を得ることはできない」と展示内容を問題にしました。

文化芸術基本法の立場で「表現の自由」を守れ

 江上議員は、「憲法21条の立場で表現の自由を守ってきたか」と松雄副市長に質問しました。松雄市長は「憲法21条で保障された国民の権利であり最大限保障されるべきもの」とこたえながら、一方で「『名古屋市芸術文化団体活動助成補助金』の対象事業の要件に『宗教的または政治的意図のないもの』を掲げており、政治的中立が求められることから、公金の支出にあたっては規定の主義主張に偏らないように留意することも必要」と市長の判断が入ることを認めました。江上議員は、文化芸術基本法の基本理念では『文化芸術に関する施策の推進にあたっては、文化芸術活動を行うものの創造性が十分に尊重される』」ことが求められ、地方公共団体の責務として『基本理念にのっとる』ことが求められていることをあげ、名古屋市芸術文化団体活動助成補助金について、「表現の自由を守るため文化芸術活動の自主性、創造性を尊重し、公権力として表現の自由を侵害しない姿勢」を強く求めました。

控訴の専決処分「特に緊急を要する」理由なし

 名古屋市議団は5月30日午後、「控訴すべきでないこと。仮に、控訴する場合は、すみやかに急施臨時会を開催すること」の2点を名古屋市長に申し入れました。同日夕方、名古屋市は、控訴期限を10日残して控訴しました。この控訴は専決処分でした。 河村市長は、「強制執行されないよう、時間もなかったので専決処分にした。今回の議会で皆さんの了解を得たい」と説明しました。江上議員は、「議会開催が可能な10日前であれば『特に緊急を要するため』(地方自治法第179条第1項による)という理由には当たらず、民主主義に反する」と指摘しました。

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