2022年2月定例会

さいとう愛子議員の個人質問①(2022年3月7日)

正規雇用などで暮らしが大変な女性への支援を

「非正規雇用で働く子どもを持たないシングル女性」への調査結果からどんな支援が必要となったか


【さいとう議員】2年以上におよんでいる新型コロナウイルス感染症の拡大は、人々の生活に大きな影響を与えていますが、とりわけ多くの女性が深刻な影響を受けています。雇止めにより仕事を失う、DVや性暴力被害の拡大など、性別に起因する様々な課題があぶりだされてきました。
 名古屋市男女平等参画推進センター(イーブルなごや)に設置された「女性のための総合相談窓口」にもコロナの影響で収入が減ったことや将来への不安、生活環境の変化によるストレスなどの相談が寄せられています。
 しかし相談には至っていない「声なき声」を拾う必要があるとして名古屋市は昨年8月から9月にかけ「ウィズコロナにおける女性

イーブルなごや

の生活・就労等実態調査」を行いました。この調査の目的は、「新型コロナウイルス感染症拡大がもたらした女性の生活・就労への影響や新しい日常において女性が抱える課題を把握し、さらには、『非正規雇用で働く子どもを持たないシングル』女性の実態を把握し、新たな男女平等参画施策を検討する参考とする」とされています。コロナ禍で浮き彫りになったジェンダーギャップをさらに可視化し、必要な支援につなげる大きな意義がある調査です。
 2月に調査結果が公表されました。少し紹介します。コロナ禍で仕事の状態が変化したかとの問いに、変化があったとの回答は、回答者全体では25%ですが、「非正規雇用で子どもを持たないシングル」女性では45%とかなり高くなっています。その多くが、仕事が減り収入も減っていると思われます。コロナの影響として、生活費の負担が増えたとの意見も多くあがっていましたが、回答者全体に比べ、「非正規雇用で子どもを持たないシングル」女性ではさらに多くなっています。コロナ前から不安定な働き方をしていてもともと収入や貯蓄に余裕がなかった女性たちが、コロナによる影響でさらに苦しくなり、将来への不安も大きくなっていると想像できます。
 ところが、困りごとの相談相手について、「相談できる相手がいない」と回答したのは回答者全体で8%ですが、「非正規雇用で子どもを持たないシングル」女性では18%と2倍以上です。まさに「声なき声」、相談できず支援が必要な実態が見えてきました。
 そこで、調査を行ったスポーツ市民局長にお聞きします。「非正規雇用で子どもを持たないシングル女性」に焦点をあてた調査の狙いは何ですか、また、調査から何が明らかになり、彼女たちへどんな支援策が必要と考えていますか。

ウィズコロナにおける女性の生活・就労等実態調査結果報告書の概要
【調査の目的】
女性活躍推進法の全面施行で女性の活躍推進の機運は醸成されてきたが、非正規雇用労働者の約7割が女性であるなど、不安定な雇用形態の女性が多い。
新型コロナウイルス感染症の拡大で、雇止め等により女性就業者が減少したことやDVや性暴力が増加・深刻化したこと、予期せぬ妊娠の増加が懸念されるなど、性別に起因するさまざまな課題が浮き彫りとなった。
男女平等参画推進センターへの相談には、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少したことによる将来への不安や生活環境の変化によるストレスといった相談が寄せられた。
本調査は、相談には至っていない「声なき声」を拾い、新型コロナウイルス感染症拡大がもたらした女性の生活・就労への影響や新しい日常において女性が抱える課題や、非正規雇用で働く子どもを持たないシングル女性の実態を把握し、新たな男女平等参画施策を検討する参考とする。
【調査概要】
本調査
 調査対象:市内在住の 20~59 歳の女性 20,000 人を無作為抽出
 調査方法:郵送により配布、インターネット回答
 調査時期:令和3年7月30日(金)~8月17日(火)
 回収状況:有効回収数 5,254 件 有効回収率 26.3%
追加調査
 調査対象:民間調査会社に登録している市内在住、20~59 歳の非      正規職で働く、子どもを持たないシングルの女性
 調査方法:民間調査会社の登録者で条件にあてはまる人 10,000人      に調査案内をメールで配布、250人がネット回答
 調査時期:令和3年9月13日(月)~9月16日(木)

 

 

自己肯定感や自信をもっていただく必要がある
【スポーツ市民局長】新型コロナウイルス感染症の拡大のもとで、支援の届ない方々の実態を把握すること等を目的として、「ウイズコロナにおける女性の生活・就労等実態調査」を実施しました。調査の結果、「非正規雇用で子どもを持たないシングル」の女性は、コロナ禍で仕事の状態が変化した方や、生活の不安として「将来や老後の生活」をあげている方の割合が対象者全体の割合よりも多くなっています。
 また、非正規職を継続している理由では、自分の年齢や経歴では正規職の仕事を探しても採用されないと思うといった、諦めてしまっていると思われる回答も多く寄せられています。
 こうした結果を踏まえ、「非正規雇用で子どもを持たないシングルの女性の経済的な不安を取り除く支援策が必要であり、そのためにはまずは自己肯定感や自信をもっていただく必要があります。
 2022年度は、女性のつながりサボート事業のなかで、「非正規雇用で子どもを持たないシングル」の女性をはじめとする利用者の方々に対し、居場所の提供や面接相談、セルフケアやライフプランなどの多様なセミナ一等を通じて自信を取り戻し、前向きに一歩を踏み出していただけるよう、支援します。

調査で「性別に起因するさまざまな課題が浮き彫り」になった(意見)
【さいとう議員】2年以上にわたる世界的パンデミックを経験する中で、ウイズコロナの下、女性に対する調査が行われ、その上に「非正規雇用で働く子どもを持たないシングル女性」へ追加調査を行ったことの意義は大きいと考えます。
 調査の結果報告書には、コロナという特殊な状況が、特に女性の生活に深刻な影響を及ぼしており、「日本は、特に、雇用や家庭の中で女性の役割に対する」固定的な概念があるとしています。まさに「性別に起因するさまざまな課題が浮き彫り」になったと言えます。

困難を抱える若年女性に、公的機関と民間団体とが密接に連携し細やかな支援を行うペきではないか
【さいとう議員】10代から20代の若年女性もコロナによる影響を大きく受けています。コロナ以前からもこの世代への支援の必要性は指摘されてきましたが、行政に相談しにくいという状況を改善することが急がれます。
 先日、若い女性から緊急の相談が入りました。彼女は、県外の大学に在学していましたが、昨年後半からうつ病を発症し実家に戻ってきました。しかし、家族との関係も悪く、今年2月ごろから名駅周辺で過ごし、所持金はあとわずかとなってしまいました。Wi-Fi環境のあるところでラインが使えるだけ。彼女はネットで東京の民間支援団体をさがし、そこを通じて、私どもに相談があり、ようやく支援につながりました。
 若い女性といっても、家族関係、自身の健康のこと、経済的な困窮など、複合的な困難さを抱えていることがあります。DV被害者ではなく、困窮し、メンタルを抱え傷ついている若年の女性に、安心して住める住まいの確保や就労支援を行いながら、長期に寄り添う支援が必要です。若年の女性は、コロナによる打撃の大きい非正規雇用で、飲食業などのサービス業に従事している方が少なくなく、仕事がなくなったり大幅な減収になったりしていると思われます。それなのに、困っている女性からの発信は少なく、なかなか実態が見えてきません。今こそ困難を抱えた若年女性の支援を実施すべきではないでしょうか。
 そういった中、国においては、「若年女性については、問題が顕在化しにくく、公的な支援につながりにくいといった側面があるため、公的機関と民間団体とが密接に連携し、個々のケースに応じたきめ細かな支援を行う」として「若年被害女性等支援事業」を、都道府県や政令市等を実施主体として今年4月から本格的に取り組み始めました。具体的には、被害を未然に防止するための繁華街での夜間見回りなどのアウトリーチ支援、安全な居場所の確保、継続的な自立への支援、などを実施するものです。
 子ども青少年局長にお聞きします。名古屋市においても困難を抱える若い女性に対し、公的機関と民間団体とが密接に連携し個々のケースに応じた細やかな特別の支援が必要だと考えますが、いかがですか。

連携して個々のケースに応じた伴走型の支援に取り組んでいる
【子ども青少年局長】子ども・若者総合相談センターを設置して、若者が気軽に立ち寄ることができるオープン型交流スペースの運営や、若者が多く利用するSNSを使った相談を実施しています。
 民間団体でも、それぞれの特徴を活かし、工夫しながら、様々な困難を有する若者を支援につなげるよう取り組んでいる。
 子ども・若者総合相談センターでは支援機関や民間団体等とネットワークを組織し、連携して個々のケースに応じた伴奏型の支援に取り組んでいます。
 今後とも、ネットワークを活用するなど民間団体等との連携をはかりながら、若年女性を含め、困難を有する若者にきめ細やかな支援に努めたい。

経済的不安を取り除くための具体的支援策の検討を(意見)
【さいとう議員】調査結果を活かし、ジェンダー平等の観点から、特に「非正規雇用で働く子どもを持たないシングル」女性に対しては、自己肯定感や自信を持っていただけるようと言われましたが、経済的不安を取り除くための具体的支援策をぜひ検討してほしいと要望します。また、困難を抱える若年女性への支援は今までなかなか行政に声が届かなかった部分であり、切迫した状況や、長い期間支援していかねばならない状況もあり、きめ細かな支援を求めます。

子ども・若者総合相談センター本部 名古屋市教育館8階
月曜~土曜日 10:00−17:00

 

キーワード: