2022年2月定例会

江上博之議員の代表質問②(2022年3月4日)

コロナ禍を踏まえた、暮らし、医療、福祉の充実を

厚生院の廃止を中止し、特別養護老人ホームを廃止する計画は中止を

【江上議員】コロナ禍で病床数を増やすことこそ必要な時に、名古屋市立大学医学部附属病院化で厚生院の介護療養型病床64床と緑市民病院の非稼働ベッド95床合わせて一般病床159床を削減することは認めることができません。厚生院は、身元引受人のない人や経済的に困窮している人などに対しても、福祉、医療、介護の総合施設として名古屋市として歴史的にも誇る施設です。その名古屋の誇るべき総合施設を解体するというのです。厚生院の解体を中止し、特別養護老人ホームを廃止する計画は中止することを求めます。

厚生院の役割は民間施設でも果たされている、特養ホームは段階的に縮小・廃止
【市長】厚生院は、昭和57年に現在の名東区に移転し、特別養謹老人ホーム・附属病院・救護施設からなる複合施設として、本市の高齢者の医療・福祉を支える拠点として運営してきた。
 施設を取り巻く社会背景が変化する中、民間活力活用など、厚生院のあり方について検討を重ねてきた。検討の中で、厚生院が担ってきたセーフティネットとしての役割は、民間施設においても果たされている等の状況が確認できた。そのため、これまでの役割や一体的な運営の見直しを図り、特別養護老人ホームは段階的な縮小・廃止の方針とした。はつらつ長寿プランなごや2023では、その方針を踏まえた民間の特別養護老人ホームの整備数を定め、整備を進めている。これまで担ってきた役割を民間の施設へバトンタッチし、民間事業者の皆さんにどんどん活躍してほしい。

敬老パスは市長公約の「乗り換えカウント1回」導入まで利用回数制限は中止を
【江上議員】2月から、敬老パスの民間鉄道・バスでの利用が実現しました。市民の皆さんの運動、党市議団の声にこたえたもので評価します。しかし、その際、財源がたいへんだからと回数制限を導入しています。コロナ禍で利用率が低迷している中、敬老パスの趣旨である高齢者の社会活動促進を抑えようとするものです。730回を超えるのは2万人近い方です。生活が苦しく小規模企業でアルバイトする方、ボランティアで福祉施設に通う方など高齢者の社会活動として大切なものです。それを抑制するような回数制限はやめるべきです。交通局は、コロナ後においても以前のような乗車人数はむつかしいと予想しています。費用面でも抑制する理由はありません。少なくとも、市長公約である「乗り換えカウント1回」の導入まで利用回数制限は行わないことを求めます。

乗車実績データの収集を開始し、検討を進めているが、回数制限は実施する
【市長】敬老パス制度の見直しは、個人や地域による利用の差を解消し、より多くの高齢者に使い勝手がよく、公平で、将来にわたって持続可能な制度とすることが目的である。
 公約実現に向け、制度変更の影響を確認し、私鉄や民間路線バスを含めた乗り継ぎ利用の状況の把握など、詳細な調査の実施を予定している。2月1日から乗車実績データの収集を開始し、しっかり検討を進めている。
 新型コロナウイルス感染症の影響はあるが、制度変更の趣旨に鑑み、利用上限回数の導入と上限回数に達した場合の取り扱いは.対象交通拡大と同時に実施するという考えに変更はない。

敬老パスの公約をいつまでに実現するのか(再質問)
江上議員】2月1日から730回の利用制限があることを承知で、「乗り換えカウント1回」と市長選挙中に述べながら、実施しないということは公約違反です。公約をいつまでに実現するのですか。

なるべく早くやります
【市長】できる限り早くやりたい。ちょこっと、どういう風になっているのか、本当の乗換なのかどうかのジャッジするのに時間がかかる。丁寧にやらないかんと言うことで、なるべく早くやります。

調べている段階ではない。乗換カウント1回ができるまでは利用制限の中止を(意見)
【江上議員】やることをわかっていて公約した。調べている段階ではない。改めて乗換カウント1回ができるまでは利用制限を中止することを求めます。

高齢者の活動を活発にする加齢性難聴の公的補助等の創設を
【江上議員】加齢性難聴に対する補聴器購入補助等の創設について、2019年6月議会のさいとう愛子議員や一昨年2月議会で田口一登議員も質問しています。局長答弁は「国の2018年度から3か年計画で、聴覚障害の補正による認知症機能低下の予防効果の検証を待つ」、市長は「勉強させてほしい」と答弁しています。国のその後の研究として論文が発表されました。コロナ禍で「補聴器の効果検証」は進んでいませんが、「地域在住高齢者においては、自覚されていない難聴者が潜在的に多く、補聴器の導入もまだ充分でない」と指摘しています。また、「中等度難聴のある高齢者では、補聴器の使用が一般的知識の低下に対する保護効果をもたらす可能性がある」と結論付ける国立長寿医療研究センターの調査が昨年10月発表されています。指摘したいのは、耳が聞きにくい、聞こえないということは、高齢者の社会参加にとって大きな障害になっており、補聴器は高齢者の社会参加の必需品ということです。そして、難聴に早く対応すれば、認知症の進行を防ぎ、医療費を抑える効果となるということです。
 両耳で人との距離40センチで会話語を理解しえないという70デシベル以上の障害認定より軽い中等度の加齢性難聴に対する補聴器購入補助を求めます。少なくとも、高齢者の聴覚検査への助成制度の新設を求めます。

国の研究では結果が示されておらず、エビデンスも十分に確立されていない
【市長】難聴を含め加齢に伴う身体機能の低下に対応した支援を行うことは、実施による効果を見極めながら検討する必要がある。
 国で進めている研究は、現段階では結果が示されておらず、エビデンスも十分に確立されていない状況だ。中等度の加齢性難聴者に対する補聴器の購入助成を始め、加齢性難聴に対する支援は国の動向を注視していきたい。

各自治体の補聴器購入費助成(2021年12月)
愛知県:犬山市・稲沢市・北名古屋市・設楽町
北海道:札幌市・北見市・東川市・蘭越町・池田町・弟子屈町・赤井川村
岩手県:遠野市・大船渡市・九戸村
栃木県:宇都宮市・足利市
茨城県:古川市
千葉県:浦安市・船橋市・印西市
埼玉県:朝霞市
東京都:足立区・板橋区・渋谷区・新宿区・豊島区・練馬区・文京区・千代田区・江東区・江戸川区・葛飾区・大田区・中央区・墨田区・利島村
神奈川県(市町村補助)
新潟県:阿賀野市・三条市・見附市・聖籠町・刈羽村
長野県:木曽町・南牧村・南箕輪村
静岡県:磐田市・焼津市・長泉町
岐阜県:輪之内町
兵庫県:明石市
福岡県:田川市
沖縄県:那覇市

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