2021年11月議会

岡田ゆき子議員の個人質問②障害者・高齢者施設での一人夜勤の解消を(2021年11月26日)

障害者・高齢者施設における一人夜勤の解消について

岡田ゆき子議員

「施設職員の9割が一人夜勤」。市として実態把握すべき
【岡田議員】次に、障害者・高齢者施設における一人夜勤について、健康福祉局長に質問します。
 牛丼チェーン「すき家」で、夜間帯を一人で店の切り盛りをする「ワンオペレーション」ワンオペの過酷な労働実態が社会問題となり、労働環境に関して国会でも、とりあげられてきました。また、高齢者グループホームで一人夜勤中に火災が発生し、対応が遅れたことで多くの高齢者が亡くなった事故を受け、スプリンクラー設置等設備の見直し等がされた経過があります。
 しかし、障害者・高齢者施設では、現在もなお、一人夜勤が当たり前のように行われています。昨年11月、市内の障害者施設で一人夜勤をしていた従業員が勤務中に倒れ、朝、発見された時には亡くなっているという事故が起きました。このことをきっかけに、福祉・医療労働者団体が、障害者・高齢者施設で働く人の「夜勤実態アンケート」を実施されました。
 アンケートの結果、すべての時間を一人で夜勤していると答えた人は56.6%、一部の時間帯でも1人で夜勤をすると答えた人は37.4%、合わせて9割の人が一人夜勤を行っているという回答でした。また、労働者が「仕事を辞めたい」と思う理由で2番目に多いのが「夜勤がつらい」ことを理由に挙げており、人材確保の点でも、夜勤の労働環境の改善は重要であることを示す結果でした。
 自由記載には「利用者対応中、転倒リスクのある利用者のコールが鳴り、すぐ対応できなかった」「転倒などの事故に即対応できないことが多々ある」「3人のコールが同時に鳴り、転倒リスクのある人のトイレ対応を優先し、危険度が低い人は対応を後回しにする選択をしなければいけない、運に任せるしかないということが日常茶飯事」などなど、従業員にとっても利用者にとっても一人夜勤の解消は急務であるといえます
 実際、一人夜勤で従業員が亡くなった事案があったわけですが、市内の障害者・高齢者施設の一人夜勤の実態把握は必要ではないでしょうか。健康福祉局長に答弁を求めます。

参考:夜勤に関して、あなたのヒヤリハット事例を教えてください。(抜粋)
・コールが重なって、対応しきれない事が毎回ある。
・看護師が 1 人なので、急変者が複数でると、対応できない。
・複数の利用者様からのトイレ介助の呼び出しが同時にあったり、居室に入っての介助中に歩行が不安定で介助が必要な利用者様が廊下に出て来た。
・センサー使用患者が同時になった時。優先順位を考えたり走って別フロアへ行かなければならない。
・センサーを跨いで歩いて居室から出て来た後に転倒
・トイレで転倒した。
・休憩がないので一息つく事が出来ない
・利用者の転倒や骨折、徘徊や立ち上がりなど
・同時に 4 人程の利用者のトイレ介助中に不穏な利用者が怒りながら出てきて対応に慌てた事
・イライラして、利用者に手を上げそうになった
・コールが重なり転倒、暴力のある利用者を一人で対応しきれず傷ができる”
・ナースコールが何件か重なる時があり、朝では 5~6 件重なった時は恐怖を感じる
・何度も用事なくナースコールを鳴らす利用者様を叩きそうになる。
・救急搬送の場面、最近では急な発熱の場面
・夜中にてんかん発作の対応を一人で行った。
・利用者が夜間に外に出てしまった。
・夜間休憩時間中(1 人勤務)に障害者が脱走した。
・ワンオペ夜勤なので、転倒等の事故に即対応出来ない時が多々在る事。

福祉団体との懇談等で把握。国に要望していきたい(局長)
【健康福祉局長】支援にかかる様々な課題については、福祉関係団体との懇談会の意見交換等を通じて把握している。こうした場を通じて把握した当事者の声をしっかり受け止め、必要な要望は国にも伝えます。

市独自の支援も必要
【岡田議員】一人夜勤を解消する意義は3つあると思います。一つは働く人を守るという理由。2つは利用者の安全を守る、3つ目は離職防止になるということです。離職防止や定着支援等、職場の紹介リーフの作成など名古屋市も懸命にされていることは承知していますが、さらに、国に対して夜勤の複数配置が可能な報酬体系にするよう強く求めることと同時に、現在の一人夜勤を改善するために、「夜間複数体制に特化した市独自の支援」が必要ではありませんか。

市独自の補助事業の活用を(局長)
【健康福祉局長】社会福祉施設等の人員配置基準は、法制度の枠組みの中で対応すべきもので、事業者が人員配置基準を遵守できる報酬体系を作ることも重要と認識し、適正な報酬の設定について国に要望している。
 社会福祉施設等は施設の規模に応じた人員配置基準が設定されており、基準に沿った適切な配置となるよう指導を行っている。
 障害者グループホームは運営等に必要な経費に対する本市独自の補助事業を様々実施しており、基準以上の職員を配置した際にかかる経費に活用できるものもある。
 これらの取り組みの実施と国への要望を続けていくことで、社会福祉施設等の安定的な運営へとつなげたい。

人材定着に向け、一人夜勤解消に特化した支援制度の検討を(要望)
【岡田議員】一人夜勤の解消は、根本には法制度の枠組みの拡充は必要と思います。特に障害者グループホームのニーズは高くなっていますし、障害の重い人の暮らす場としての位置づけも高まっています。しかし、そもそも障害者グループホームの夜勤人員配置基準がないことが大きな問題です。夜勤体制加算だけでは、一人夜勤の確保でも精いっぱいと言いうのが実情の声です。結局、複数体制は、事業所の持ち出しや職員の過重労働に依拠せざるを得ない、結果、紹介したような夜間の実態があるということなのです。
 名古屋市の独自の運営費補助制度の紹介をされました。この補助は人件費でも運営費でも活用できるという自由度を持ったもので、これ自体は優れていると思います。一方、辞めたい理由に、一人夜勤がつらいということを考えれば、夜勤に焦点を当てた市の独自策で、安心して働く環境を作ることにもなり、人材の確保、定着につながるので、検討を改めて求めたいと思います。夜間支援体制問題は重要な課題として、引き続きとりあげていきたいと思います。

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