後期高齢者医療広域連合議会 2021年8月定例会 請願審査(江幡大口町議・2021年8月23日)

いずれも今後、改善が必要と思われる内容であり採択を   江幡議員(大口町)

保険料の減免基準の緩和を
【江幡議員】後期高齢者の事業主世帯では、コロナ禍で減収しても減免制度の対象になれない世帯が多く、小規模事業者等では、元々所得が低く20%減収しても厳しい状況です。保険料の減免基準を緩和するように見直してください。
感染症以外も傷病手当金の対象に
 傷病手当金は昨年より、被用者に対してのみ所得を補償する制度として、コロナ感染者や、それに伴い休業を余儀なくされた人を対象とした制度です。
 事業者の場合は「所得を確定できない」と、言い理由で傷病手当金の対象にしていません、例えば5000円とか3000円とか定額にする事で可能ではありませんか、2020年度決算では164千円、2021年度予算でも4227千円、非常に抑えられた数字です。また、今回の感染症以外にも対象を拡げてください。
短期保険証の発行や差し押さえはやめよ
 短期保険証の発行や差し押さえはやるべきではありません、受診控え・疾病重症化へと繋がります、命を守るための医療制度ではありませんか。
 現在、金融資産等の調査をしていますが、資産状況を勘案し、負担割合を増やすことは止めて下さい。
懇談会公募委員は抽出でなく広く公募で
 被保険者の意見等を聞く「懇談会」に被保険者代表は6人が参加できます。残念ながら、公募による参加者は2人しか居ません、被保険者の意見や想いにもっと耳を傾けて下さい。
国に財政支援の拡充を強く求めよ
 本年7月に、全国後期高齢者医療広域連合会は、被保険者への負担軽減になるよう、財政支援の拡充を求めた要望書を提出しました。
 やはり、国が財政支援を拡充することが、今ある制度上の問題点等を解決する上で最も重要ではないでしょうか。
 次期保険料改定に向けては、定率国庫負担割合の増加、財政支援の拡充を求めて下さい、窓口負担を2倍にする事は被保険者にとって死活問題です。施行時期も決定していませんが、広域連合として、国への働きかけを求めます。
被保険者の要望にこたえて採択を
 「後期高齢者医療制度の改善を求める」本請願書は、被保険者の要望であり、いずれも今後、改善が必要と思われる内容です。
 よって、本請願書に賛成いたします。

参考 請願に対する見解【事務局長】
1、収入減少による保険料減免について
【事務局長】①の傷病を限定しない恒常的な制度ということにつきましては、本広域連合におきましては、収入が減少した場合に保険料を減免する恒常的な制度があります。具体的には、収入の減少の理由が、心身に重大な障害を受けた、あるいは長期入院といった傷病を理由とする場合のほか、事業または業務の休廃止、事業における著しい損失、失業等による場合にも保険料を減免することとしております。
 ②の収入減少の要件の緩和につきましては、このコロナ減免は、国による財源措置の内容を踏まえて行っているものでございまして、広域連合の、先ほど申し上げました恒常的な制度の特例として、国が示した減免の基準、要件に沿って保険料を減免することとしております。したがいまして、独自に収入減少の要件を緩和することは考えておりません。
 ③の前年所得がゼロの人が対象とならないことについて申し上げます。保険料は、被保険者の前年の所得に基づいて算定することとしております。前年の所得がゼロの場合は、所得割の賦課はございませんが、均等割については、低所得者の7割軽減が適用され、均等割額の3割分、本年度の場合ですと、年額1万4,600円を御負担いただくことになりますが、これは、被保険者の能力に応じた負担であると考えております。一方、コロナ減免は、収入の大幅な減少により、前年度と比較して経済的な事情が悪化する世帯に対する経済的な負担を軽減する観点から、前年度の所得に基づいて算定した保険料について、これを特例的に減免する、こういうものであると理解しております
2、傷病手当金について
【事務局長】本広域連合の傷病手当金につきましては、新型コロナウイルス感染症の国内での感染拡大防止の観点から行われております国の特例的な財政措置に基づいて、国が定めた支給要件により支給することとしております。したがいまして、広域連合が独自に支給対象者や支給対象となる傷病を加えることは考えておりません。
3、短期保険証の発行と財産の差し押さえについて
【事務局長】短期保険証につきましては、市町村において、被保険者間の負担の公平の観点から、保険料未納者に対し納付相談の機会を設けることにより、保険料の納付につなげるために発行しているものでございます。また、財産の差押えを含む滞納処分につきましては、これも市町村において納付相談のきめ細かな収納対策を適切に行い、滞納者の生活状況等を十分に把握した上で、十分な収入・資産等があるにもかかわらず、なお保険料を納めない被保険者に対して、負担の公平の観点から行われているものでございます。
4、懇談会の委員の公募の方法について
【事務局長】後期高齢者医療制度には、75歳以上の方は全員御加入いただくこととなっております。そのため、現在、98万人という被保険者の方々の中には、この制度について、様々な御意見をお持ちの方がお見えでございまして、また、制度の内容をよく御理解いただいている方もいらっしゃれば、あまり御存じない方もお見えになるかと考えております。本広域連合といたしましては、こうした皆様から、この制度の周知方法をはじめとして、広く御意見を頂戴することも必要であると考えまして、公平な公募方法として、広く全被保険者の皆様の中から無作為に抽出させていただいた2人に委員をお願いしている、こういったものでございます。
5、国への意見書について
【事務局長】①の国による財政支援の拡充につきましては、これは、例年、各都道府県の広域連合で構成する全国後期高齢者医療広域連合協議会が、厚生労働大臣に「後期高齢者医療制度に関する要望書」を提出しており、直近では、令和3年7月14日に提出した要望書において、定率国庫負担割合の増加等を要望しております。
 ②の後期高齢者の窓口負担割合の2割への引上げということですが、これは、先の通常国会において成立した全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保健法等の一部を改正する法律、これが6月11日に公布され、このうち、2割負担につきましては、令和4年10月1日から令和5年3月1日までの間の政令で定める日から施行されることとされております。なお、この施行日を定める政令は、現時点ではまだ公布されていないという状況でございます。
 ③金融資産の保有状況等を勘案した負担の導入についてでございますが、これは、国の経済財政諮問会議が決定した新経済・財政再生計画改革工程表において、検討事項の一つとして掲げられているということ、それから、社会保障審議会医療保険部会が令和2年12月に取りまとめた議論の整理の中において、現時点で金融資産等の保有状況を医療保険に負担に勘案するのは尚早であることから、預金口座へのマイナンバー付番の状況を見つつ、引き続き検討すべきであるとされているものと承知しております。

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