名港管理組合2021年6月議会 江上博之議員の一般質問  稲永ふ頭の火災と金属スクラップへの対応 (2021年6月8日)

稲永ふ頭で発生した火災と金属スクラップ取扱事業者に対する対応について   江上博之議員

金属スクラップ取扱事業者に対する対応と火災の原因等は何か
【江上議員】今年4月25日、稲永ふ頭の船舶積荷貨物、具体的には金属スクラップの置き場として利用している荷さばき地で火災がありました。新聞記事によりますと「野積みされていた約4200㎡のうち約900㎡が燃え、約6時間半後に鎮火」とあり、原因不明のようです。この置き場では、2016年7月2日、2016年10月27日にも火災が発生しています。さらに、2015年12月15日にはドラム缶爆発事故があり、同一か所での度重なる火災です。

      CBCテレビより

 2016年10月27日から約4年半、この間、この置き場の利用者に対し、管理組合とこしてどのような対応を行い、利用者は何を行ってきたのでしょうか。そして、今回の火災について、何が問題であったと考えているのかお答えください。

分別仕分けや監視体制の強化などを検討し指導してきた。原因は調査中
【港営部長】利用者及び消防機関と協議を重ね、港湾施設を継続利用させるうえで、分別仕分けや監視体制の強化などの火災予防対策を検討し指導してきた。
 本組合は、消防機関との情報共有や文書による注意喚起、港湾施設の巡視の際に火災予防対策の実施について注視してきた。利用者には、名古屋市消防局が作成した火災予防対策のリーフレット等に基づく安全対策を行い、また従業員を24時間配置し監視を継続してきた。
 今回の火災原因は、いまだ調査中と聞いている。

可燃性物質を抜き出す分別の徹底が必要だが、何を行ってきたか

【江上議員】2014年、日本共産党の山口清明議員が、過去の火災について管理組合議会で質問しています。その議事録を読むと、弥富ふ頭でのスクラップ火災で、2007年5月16日、2010年1月8月、そして、2013年11月13日弥富ふ頭の隣接地で発生しています。さらに、2014年6月24日港区潮凪町の金属スクラップヤードでも発生しています。すべて、原因不明となっています。今回の荷さばき地での火災もそうです。

 原因不明ばかりです。燃えるものを抜き出す、山口議員も、2014年11月議会で提案していますが、可燃性の危険物を徹底して分別することが必要です。「名古屋市消防局が作成した金属スクラップの火災予防対策についてのリーフレットに記載されている分別の徹底及び集積の小分けなどについて巡視時などに要請」していると2014年11月の定例会で港営部長が答弁しています。
 分別の徹底を実現するために、2014年11月定例会以後何を行ってきたか、お答えください。

分別の徹底については繰り返し利用者に呼びかけている
【港営部長】2013年の弥富ふ頭でのスクラップ火災を契機として、海部南部消防組合との合同立入検査を弥富ふ頭などの事業者に実施しており、そのなかで分別の徹底については繰り返し利用者に呼びかけている。
 また、2014年から名古屋市消防局の主催による金属スクラップ火災予防対策会議が過去4回開催されており、そのなかでも分別の徹底について議論されてきた。これを受けて、同局が作成した火災予防対策のリーフレットの事業者への送付を継続し、同局との合同立入検査を稲永ふ頭、空見ふ頭及び中川運河の事業者に実施してきた。

金属スクラップ火災予防対策会議はなぜ平成28年11月以降開催されないのか
【江上議員】対策として、「利用計画書の提出、消防機関との立ち入り検査、そして、金属スクラップ予防対策会議を行う」と2014年11月定例会で回答しています。また、2014年3月定例会での山口議員の質問を受けて、平面図、連絡網などの常備を求めてきたようです。
 ところが、対策会議は、2016年11月の第4回で終わっている。今回まで、春、秋の火災予防週間に文書を送っている、とは聞きましたが、年1回程度、現地を見るとか、特に、今回の場所は、2016年に2度も火災発生があるわけですから、丁寧な対応が求められていました。
 対策会議が2016年11月以降なぜ開催されていないのかお答えください。

緊急連絡体制の確立や火災予防対策のリーフレットによる注意喚起、防火指導などを定め、周知を図ってきたから
【港営部長】金属スクラップ火災予防対策会議で、緊急連絡体制の確立、火災予防対策のリーフレットを添付した文書による注意喚起、防火指導などを定め、利用者に周知を図ってきたので、その後は、会議を開催していない。
 以降、継続してスクラップ事業者の緊急連絡先の更新情報の共有をはじめ、消火活動に関する協力体制の確認等を行っている。

なぜ名古屋港管理組合独自の基準をつくらないのか
【江上議員】消防法では規制基準がないようですが、弥富ふ頭の管轄となる海部南部消防組合は指導基準をつくっています。500㎡以内、そして高さが5m以内というものがあります。現地を確認するとはるかに広い範囲で集積が得られていると感じました。
 管理組合独自に基準をなぜつくらないのかお答えください。

海部南部消防組合や名古屋市消防局での対応に沿った要請をしている
【港営部長】消防法では規制基準がないものの、海部南部消防組合では指導基準、名古屋市消防局では火災予防対策のリーフレットを作成しており、本組合はそれに沿った対応を利用者に要請している。

今後の火災防止にどんな方策をおこなうのか
【江上議員】今回の火災を受けて、管理組合として今後の対応が求められます。利用者からの利用計画書の提出、立ち入り検査、対策会議、そして具体的に利用者に分別を求めるなど、何を行うのか、明らかにしなければなりません。
 今後、どのような方策を火災防止のために行うのかお答えください。

出火の危険性が高い物品を取り除いた状態での搬入を要請していく(部長)
【港営部長】消防機関によると、リチウム電池、バッテリー等は衝撃などによる破壊や雨水等によるショートによって発火する可能性が高いとされ、これらの物品を含む雑品スクラップに対しては、特に注意をはらい、必要な場合には、これらを荷さばき地に搬入させない措置を講じることが必要であると考えている。そのため、港内でスクラップを取り扱う事業者には改めて注意喚起を行っていく。
 今回の火災は岸壁の直背後に位置する荷さばき地で発生しており、港湾活動に与える影響の大きさに鑑み、当該事業者に対しては、今後、消防機関の指導・助言を受けながら出火の危険性が高い物品を取り除いた状態で荷さばき地へ搬入するよう要請していく。

金属スクラップはどこに輸出されるのか
【江上議員】この金属スクラップはどこの国に輸出されているのでしょうか。
 大量生産、大量消費、大量廃棄で、後始末を外国に求めることになっている結果がこの集積場になっていないか。荷さばき地を視察した際、空き缶コーヒーの集積物もありました。自分の飲んだ缶がこんな風に処分されるのかと、実感しました。
 金属スクラップ、特に、今回のように、分別されていない金属スクラップは どこの国に輸出されているのでしょうか。また、以前から見ると輸出国に変化があるのでしょうかお答えください。

 

 

 

 

 

 

以前は中国が多かったが今は韓国、マレーシア、ベトナム、タイ、中国の順(部長)
【港営部長】2020年の港湾統計では、「金属くず」の輸出相手国は、上位から韓国、マレーシア、ベトナム、

タイ、中国の順。一方、2016年は首位が中国で、韓国、インドネシア、ベトナム、台湾の順。2019年以降、中国が雑品スクラップの輸入を禁止してから中国への輸出量が減少し、東南アジアの国々への輸出量が増加している。

再発防止のために管理組合として何をおこなっていくのか(再質問〉
【江上議員】同一場所で火災だけでも3回発生していることを問題にしているのです。2016年10月27日から約4年半たって今回の火災が発生しました。利用者に様々の周知を図ってきたとのことですが、現に発生しました。金属スクラップ火災予防対策会議も約4年半おこなわれていません。周知後の対策が不足していたのではないでしょうか。管理組合として何が不足していたと考え、その不足がどうして生じたとお考えでしょうか。
 さらに、今後、「危険性が高い物品を取り除いた状態で荷さばき地へ搬入するよう要請する」といっています。「岸壁の直背後に位置する」港湾として重要な場所での火災発生を二度と起こさないようにする組織的対策が求められると考えます。利用者への要請とともに管理組合として再発防止のために何を行っていくのか、専任副管理者に質問します。

危険性の高い物品を持ち込ませないよう要請し、原因が判明した時点で、さらに何を行っていくべきかを確認したい(副管理者)
【専任副管理者】この事案は、過去に同じ場所、同じ事業者が発生させた火災であり、2016年以降、事業者においては、名古屋市消防局の指導による安全対策を実施し、かつ従業員を24時間配置するなど監視を継続してきたところですが、再度火災が発生してしまいました。
 今回の火災について、同局からは、まだ原因を調査中であると聞いており、その結果が判明した時点で、今後の取組としてさらに何を行っていくべきか確認をしていきたい。
 これまでの火災においても、リチウム電池やバッテリー等が出火の危険性が高い物品と指摘されており、今回の火災を発生させた事業者には、これら危険性の高い物品を荷さばき地内に持ち込ませないように要請し、名古屋市消防局には金属スクラップ火災予防対策会議の再開を求め、今後の再発防止策に繋げていきたい。
 そして、港内のスクラップ事業者に対して、消防機関の指導・助言を受けながら改めて安全対策の周知徹底を行い、対策の履行確認のため定期的な現場立入り調査を行っていく。
 今後も港湾機能に支障を及ぼすことがないよう安全安心な港づくりに努める。

大量生産、大量消費、そして、大量廃棄を見直し、リサイクルを徹底して国内で対処する社会が必要だ(要望)
【江上議員】金属スクラップを輸出すること自体これからの地球環境保全、温暖化対策、カーボンニュートラルの方針から見て問題と感じています。大量生産、大量消費、そして、大量廃棄を見直し、リサイクルを徹底して国内で対処する社会が必要だと今回の問題を取り上げて感じました。二度と金属スクラップ火災を出さない、そして、スクラップの輸出そのもののあり方を見直していく管理組合であることを求めて質問を終わります。

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