2021年2月議会

江上博之 議員の個人質問:知事リコール運動の中心人物=河村市長の政治責任は免れない(2021年3月8日)

知事リコール署名に係る市長の政治責任について 江上博之議員

市民に謝罪し、経過を徹底解明する責任があるのでは
【江上議員】知事リコール署名に係る市長の政治責任について、河村市長に質問します。
 リコール団体が提出した署名の8割以上が有効と認められないと明らかになった2月1日、リコール運動を熱心に進めてきた河村市長は、不正発覚に対して、謝罪すると私は思っておりましたら、「僕も被害者」と記者に語って謝罪どころか責任がなかったかのような発言をいたしました。その後、偽造署名の書き写しの経過も次第に明らかになってきた3月1日の記者会見で、「正当に署名活動をされた方がたには、…早く気づけなかったことについては申し訳ない」と発言しています。
 そこで、質問します。署名を熱心に推進した市長が、正当に署名活動をされた方のみならず、市民全体に謝罪をし、不正署名となった経過を徹底解明する責任があるのでありませんか。お答えください。

不正を見つけられなかったのは市民にも申し訳ない(市長)
【河村市長】謝罪はどうかということですけど、はじめから謝ってばっかというのも。とにかく事態の真相究明がどうしても重要ということで、そちらをまず徹底的にやろうと、実際やっとります。僕の知っとるとこではまじめに署名運動やっとった人ばっかですから、その皆さんに対しては申し訳にゃあと。市民の皆さんにもそりゃあ申し訳にゃあなと、こんなことがおこってと。自分で見つけれんかったと。
 私は中心人物じゃあありませんので、管理責任もなかったから分からんかったですね。河村にわからんようにやろうという話もあったようでございます。

昨年11月に偽造に気づいていたのでは。その時点でなぜ調査しなかったのか
【江上議員】2月1日の記者会見で、「署名がおかしいと感じたことは一度もなかったのですか」という質問に市長は、「一度もありません」と発言しています。しかし、佐賀県で書き写しの報道が明らかになった後の2月22日の記者会見で、「偽造署名していたのはわからなかったのですか」という質問に、「私が本当に分かったのは11月3日の日に行って、なんか同じような署名があるなというのを言っとったんですね。スタッフが。という話を聞いて、その時だった」と発言しています。立ち話とも言っています。それを受けて、「田中事務局長とかに質問したか」と聞かれて、市長は、「していません。全然想像もできん」からとか発言しています。
 そこで、質問します。2月1日は、まったく偽造を知らなかったと言いながら、2月22日には昨年11月3日にわかったと言い出した。しかし、調査をしなかった。なぜ、2月1日に、まったく偽造を知らなかったといったのですか。そして、なぜ、11月3日以降調査をしなかったのですか。お答えください。

秘書から聞いていた。大量の不正署名があるとは考えなかった(市長)
【河村市長】11月3日に、うちの秘書の大谷が来まして、同じような署名が多いんですわ、という事を聞いた気がします。
 何べんもいいますけど、前回の市議会リコールのとき25%無効になっとるわけですよ。まあいろいろありますけど署名が同一。番地が1の1の1が漢数字だとかなんとかで1字間違っとった。はじめそういうのがみんなボツにされたり。大きかったのは受任者名簿の受任者欄が、当時は街頭のと一般に集めるのと一緒でやってました。25%も無効にされまして、縦覧手続きでひっくり返ったということでリコール認められた、という経験をしておりますので。おとっつあんがおっかさんの名前書いたり、家族の名前書いたりというのはいいことじゃないけど、あるんです。会社の社長がみんな書いたりとか。まあまたかなと、いうぐらいの話の認識しかなかったです。ということでその時の分かったというのは、大量の不正署名が分かったということじゃないです。そんなこと考えもおよばんかったということです。

その時点でなぜ調査しなかったのか
【江上議員】「昨年11月3日気づいていた」ということは認めました。何か別のことを一生懸命言ってみえたわけですけど、気づいたのになぜ調査をしなかったのか。そのことはどうですか。

犯罪があるとは思わなかった(市長)
【河村市長】まあ気づいたと言いますか、僕からすると10年前25%もペケだったから、またそんなことかなあというふうに思っただけであって、気づいていた中身は今回のような犯罪があるということはまったく知る由もなしという状況だったということです。

ごまかしだ。運動をやっていれば気づくはず
【江上議員】最初の記者会見では偽造したことはありませんときっぱり言っておきながら、22日になって佐賀の問題なんかが出てきたら、気づいていたのに、いろいろあったから、というはごまかしであります。
 ましてやですね、提出するときに、だいたい、有効署名の5倍以上提出しているわけですよ。だいたい、署名運動やっていれば、毎日毎日署名数がどれくらいあるか聞いているはずです。それに比べて5倍もあったらおかしいと思わない方がおかしい。これを私は指摘しておきたいと思います。

10年前の受任者名簿情報を今回のリコール団体に貸し出したのは誰か
【江上議員】市長は、10年前の市議会解散を求めるリコール時の受任者名簿情報を今回のリコール団体に貸し出したと発言しています。10年前の2011年3月、名古屋市議会は、解散リコールが成立し、解散いたしました。その市議会解散リコールは、「ネットワーク河村市長」という団体が請求受任者を募集していました。
 そこで質問します。ネットワーク河村市長が管理していたと思われる受任者名簿を今回のリコール団体に貸し出したのは河村市長本人ですか。河村事務所ですか。それとも、ネットワーク河村市長という団体ですか。お答えください。

「ネットワーク河村市長」が貸し出した(市長)
【河村市長】リコール団体が使った案内ですけど、誰が貸し出したのか。これは「ネットワーク河村市長」です。主体といえば。だけどその責任者はうちに居りまして、一緒に長いこと。だからまあ、しょっちゅう事務所の中で話なんかはしとる、いうことです。
 リコール団体に貸し出した、あれは貸し出したというより、皆さんに案内して頂いてええですよ、ということで。皆さんいろいろ言われますけど、リコール運動も選挙運動とおんなじです。国民の、憲法15条1項に基づく基本的な権利なんです。だから関係ある方に選挙運動で推薦ハガキ出しますけど、おんなじように、この人こういうことでリコールせないかんと案内を出すのは何の問題もありません。問題がないどころかやるべきことです。政治活動の自由というか国民の知る権利に奉仕するということです。

市長が貸し出したのでは
【江上議員】ネットワーク河村市長と回答されました。しかし市長は記者会見で、「受任者の名簿について集めるときにもちゃんと明示してあって、これは政治活動に使いますということで書いてあります」とか「それと政治活動、書いてなくても政治活動において個人情報保護法の適用はない」と当事者のように発言しています。河村市長が貸し出したのではないですか。お答えください。

「ネットワーク河村市長」の人が河村事務所にいるので自分も発言した(市長)
【河村市長】ネットワーク河村市長いうのは、平野さんという方でして、事務所に居られますけど、一緒に相談しながらやっとるということで、僕は発言すること多かった、多かったかどうか知りませんけど、まあそういうことです。

10年前の名簿は外部に提供しない約束。受任者に謝罪すべきだ
【江上議員】まあ、ネットワーク河村市長ということにしておきましょう。ここに10年前の署名の受任者を募集するはがきをブログから見たものを印刷してきました。「ネットワーク河村市長」が団体として配布したものですが、そこには、「ご登録された個人情報は上記団体(つまりネットワーク河村市長)外の第三者に開示提供せず」と明記していました。
 また、2012年8月22日の総務環境委員会で、この受任者名簿の目的外使用が問題となった時、参考人として出席したネットワーク河村市長名簿管理委員長の平野一夫さんが、「第3者に開示しないということは、これは確かなことでございます」と答えています。
 そこで質問します。受任者名簿情報をネットワーク河村市長の第三者であるリコール団体に貸し出したのは、10年前の受任者に対して約束違反ではありませんか。個人情報を漏らしたことを受任者にお詫びすべきではありませんか。お答えください。

「市政改革には使用する」と書いてあった(市長)
【河村市長】そこにもうちょっと書いてあるんですけど、「名古屋市政改革」、完全に「てにをは」は覚えておりませんですけど、「には使用いたします」というふうに書いてあります。

大きな問題だ       
【江上議員】どこまでも第三者に見せないということは認めないということのように聞こえます。これは大きな問題だと指摘しておきます。

リコール署名は市民に賛同が得られなかったと認めるか
【江上議員】署名の調査結果は、有効署名は26,981で名古屋市内有権者1,890,791人に対して1.43%です。100人で1人余しか署名していません。中川区では、有効署名は1,567で有権者181,418人に対して0.86%です。100人のうち1人も署名していません。市長の主張は、有権者に認められなかったのではありませんか。
 そこで、質問します。リコール署名の結果、市長の主張、行ってきたことは、市民に賛同が得られなかったとお認めになりますか。お答えください。

コロナ禍で(有効署名が少ないのは)しょうがない(市長)
【河村市長】名古屋市訴えて、悪いですけど愛知県知事、独断独裁で、それもコロナ中ですよ。裁判になってます。名古屋市として反論しています。3300万円払えというのが県の主張ですけど、冗談じゃないと反論しとりまして。
 リコール運動については名古屋市民を守るために必要な活動だったというふうに私は思っとります。

賛同者が少ないという事実を認めよ
【江上議員】数字で賛同されていないことは明らかだけれども、なんかコロナ禍の問題でいろいろ言ってきたけども、事実として、やっぱり賛同者は少ないんだと、そのことは認めなくてはいけなんじゃないですか。どうですか。

有効な署名が別個にあるという説がある(市長)
【河村市長】コロナもありましたし、私は私で精一杯応援をしまして、あんまり推測で言っちゃいけませんけど、有効な名簿は別個のとこにあると。10万とか20万とかですね、という説があるんです。
 リコール運動というのは日本ではあんまりありませんけど、これがダメだと思ったら堂々とリコール運動をやることが重要なんであって、コロナのことが大きかったと思いますけど、それは市民の皆さん、熱心にやって頂いて、大変貴重な活動だったと私は思いますけど。

他にもたくさんの有効署名があると思っているのか
【江上議員】そうしますと市長は、名古屋市内で有効署名が26981、中川区では1567、これ以外にもっとたくさん有効署名があるんだと、そういうことを思ってみえるわけですか。どうですか。

そういっている人が複数いる(市長)
【河村市長】今何とか確認できんかと、いろいろ調査しとりますけど。まあそういうこと言っている方が複数お見えになります。

事実に基づいて賛同者が少ないことを認めよ
【江上議員】そういうことを理由にして署名が賛同さていないとは言えないと、そういうことを言ってみえるの。事実に基づいて、ちゃんとそれがある限りはまずきっぱり、これはいかんなあと、しかしこういうこともあるんだよと、そういうのが論理的な話じゃないですか。どうですか。

数でどうのこうのいうより…(市長)
【河村市長】まあそれは推測ですけど、ええかげんな推測じゃないですけど。
 数名であっても、天皇陛下、バーナーで燃やして足で踏んづけるようなのを何の相談もなくやって、名古屋市に3300万払え言って、それでコロナ中に何の相談もなく訴えてくる、そういう人は辞めていただきたいという運動をするいうのは、数でどうのこうのいうのより大変貴重な活動じゃないですか。

自身の行動に責任をもたないのなら市長の資格はない
【江上議員】表現の自由を自ら犯していながら、そんなこと質問もしていないことを答えること自体問題だということを指摘しておきます。
 私がリコール団体の代表の発言を踏まえて、いいですか、代表者の発言を踏まえて、リコール活動の中心人物であるとはっきり申しあげました。この発言に侮辱、名誉棄損、私は根拠がまったくわからない。でもリコール運動を熱心にやって、中心人物と言われる、これだけで言えば、誉め言葉じゃありませんか。今回リコール団体が提出した署名に偽造が83%も含まれていたから、問題発言だと言い出したんじゃありませんか。
 私が質問しているのは、リコールを熱心に推進してきた者としての責任をお聞きしているわけであります。答えないということは、逆に偽造の加担したのではないか、こんな疑問を市民にもたれてしまいますよ。そんな話だと私は思っております。
 今年1月、病院のベッドが不足して大問題となりました。ベッドの不足は、昨年の7月、8月からわかっていました。第3波が来るんじゃないかと心配もありました。名古屋市として、愛知県と協力してベッドを準備することが求められていました。ところが、市長は、知事リコール運動に熱中したことやその署名調査でコロナ対策に大きな支障をきたしました。市長は、コロナ対策より知事リコール運動を優先しました。
 自ら行ったことに責任ある発言をしない方は、市長職にいる資格はありません。
 このことを申し上げて私の質問を終わります。

【参考】
2010年市議会解散請求の成立に至った経緯
・2010年8月28日から署名開始、10月4日に465,602筆の署名が各区選挙管理委員会に提出。
・提出された署名の内、約114,000筆が、受任者の住所及び氏名の記載がない署名簿で、10名の請求代表者が直接集めることは難しいとして調査のため審査期間を1か月延長。
・各区選挙管理委員会は、約114,000筆の内、重複署名等、明らかに無効となる署名を除いた99、、873筆の署名に、郵送で調査、77,080筆が回答。回答がなかった署名は有効とした。
・回答があった内の922筆が自署していないと回答、無効とされた。自署したと回答があった内、21,942筆は、受任者から署名を求められたと回答があり無効とされた。
・この調査結果が反映され、有効・無効が示された署名簿が縦覧された。この時の有効署名数は353,791筆、必要法定署名数365,795筆に12,004筆不足。
・縦覧期間中に、34,389筆について異議がだされ、15,217筆が有効と認められた。請求代表者から出されたものは、署名者本人の意思を確認する証拠書類の提出を求めた。
・結果、有効署名数が369,008筆となり、必要法定署名数365,795筆以上となった。

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