2021年2月議会

江上議員の議案質疑:知事リコール署名で大量の偽造。リコールを主導した市長の責任は(2021年2月25日)

愛知県知事解職請求に係る調査のための補正予算(専決処分)について

民主主義の根幹を冒とくしたのはだれか。コロナ対策よりリコールを優先した市長の責任は重大      江上博之議員

愛知県知事解職請求に係る署名簿調査の予算・・・「直接民主主義を守るために必要」な調査であったのか
【江上議員】愛知県選挙管理委員会からの依頼に基づき、愛知県知事解職請求に仮提出された署名簿の調査のために19,839千円を支出する補正予算専決処分について、選挙管理委員長に質問します。
 毎日、解職請求署名の偽造が報道されています。昨日は、区選挙管理委員会に警察が捜査に入ったと聞いています。署名の8割以上が不正であるというとんでもない署名調査結果。その偽造署名が佐賀県で作成されていた。その作成された分は、提出された43万余の署名には入っていないという報道もあり、では、さらに偽造が別な形で行われていたのではないか。どんどん偽造のひどさが明るみに出ている状況です。直接民主主義制度としての解職請求が、民主主義破壊のために使われています。この徹底解明が必要になっています。今回の調査は、その解明のためのものです。
 地方自治法第81条で知事解職請求による署名について、署名が有効であることを証明する「審査」を行うのが選挙管理委員会です。今回は署名数が必要数ありませんから審査されません。愛知県選挙管理委員会からの依頼で、有効とは認められない署名がどのくらいあるかを調査してほしいというものです。市民が直接、政治にモノが言える直接民主主義の制度として解職請求は意義あるものと考えます。その署名に不正があると指摘されその調査をすることは民主主義を守るために大切な業務と受け止めています。
 調査は、直接民主主義を守るために必要であると認めて調査されたということですか。

直接請求制度の信頼性を揺るがすことにつながりかねないと調査を実施(選管)
【選挙管理委員長】今回の署名簿調査は、自身が書いた覚えのない署名があったとの声などを受け、署名活動が適正に行われていたかどうかを確認するため、県選挙管理委員会から実施依頼があった。市選挙管理委員会としても、組織的・意図的に署名が偽造されているようなことがあれば、直接請求制度の信頼性を揺るがすことがあれば、調査を実施することとした。

 

調査に費やす時間は何時間と見込んだか
【江上議員】その業務のために、1,983万9千円を支出するもので、人件費が1,874万1千円と大半です。地方自治法での署名簿審査が20日間ということから20日間の調査期間を取って、アルバイトや、職員による超過勤務、日曜出勤などで行われたようです。
 今回の予算で、業務に費やす時間はどれだけと見込んだのでしょうか。業務には名古屋市選挙管理委員会、16区選挙管理委員会でアルバイト、職員がかかわったと思います。総合計で何時間かかると見込んだのかお答えください。

職員の超過勤務と会計年度任用職員の時間数を合わせて8,000時間(選管)
【選挙管理委員長】職員の超過勤務手当の支給対象とする時間数と会計年度任用職員の時間数を合わせて、8,000時間と見込んだ。

調査方法や判断基準、適正確保などは
【江上議員】調査結果は、名古屋市内で、159,627の署名に対し、有効と認められないのが83.1%の132,646署名でした。中川区では、18,411の提出に対し、16,844が有効と認められない数でした。なんと91.4%が有効と認められないということです。民主主義の冒涜です。愛知県選挙管理委員会のまとめでは、県全体で435,334署名のうち、有効と認められない署名362,187署名で83.2%。そのうち約90%が複数の同一人により書かれたと疑われる署名。約48%が選挙人名簿に登録されていないものの署名。約24%が選挙人名簿に登録されていない受任者により収集された署名と発表しています。名古屋市の場合、割合が異なると思いますが、同じような不正があるのではないでしょうか。
 「審査」であれば、「関係人の縦覧」などの手続きがありますが「調査」では行われません。では、調査は、どのように行われたのか、判断基準はどのようなものか、適正に行うために何を行ったのか、地方自治法の「審査」方法と異なる点があるのか、有効と認められない理由は何か、同一人の筆跡であることをどのように見分けたのか、お答えください。

県選管の調査要領で実施。結果は各区選挙管理委員会で議決し、回答(選管)
【選挙管理委員長】今回の調査は、県選挙管理委員会からの依頼に基づく調査であり、県選挙管理委員会から示された調査要領にしたがい、調査を実施した。調査の適正を確保するため、調査結果は、各区選挙管理委員会を開催し、議決のうえ、回答している。
 地方自治法上の審査との違いは、署名簿に書かれた本人への聞き取り調査などは実施しない点や、縦覧や異議の申出といった手続が行われない点などがある。
 今回の調査において署名が有効と認められないとされる事由は、地方自治法上の審査と基本的に同様ですが、たとえば選挙人名簿に登録されていない者の署名などです。
 同一人が著名したと疑われる署名は、聞き取り調査などが必要と思われる程度に筆跡が類似していると複数の職員が判断した場合は計上するよう、県選挙管理委員会から依頼があり、そのような取り扱いをした。

愛知県知事解職請求に係る署名簿の調査状況
 2021年2月1日 愛知県選挙管理委員会
・調査した435,334筆のうち、有効と認められない署名は 362,187筆(83.20%)
・内容は
 ①複数の同一人により書かれたと疑われる署名 約90%
 ②選挙人名簿に登録されていない者の署名 約48%
 ③選挙人名簿に登録されていない受任者により収集され た署名 約24%(重複あり)

調査結果についての見解は
【江上議員】結果について異常だと感じますが、どのような見解をお持ちになりますか。

8割を超す署名が有効と認められないのは、一般的には考えにくい(選管)
【選挙管理委員長】提出された署名のうち8割を超す署名が有効とは認められないということは一般的には考えにくく、大量の署名を偽造する行為が行われていたとすれば、民主主義の根幹を揺るがすことにつながりかねないものであると受け止めている。

調査をして、信頼を確保する作業になったと感じているか【再質問】
【江上議員】河村市長は、選挙管理委員会の調査結果に対し、「事務執行に誤りがないかを市監査委員に監査請求する方針」と聞いています。「市民に一定の説明義務がある」というのが理由のようですが、説明責任があるのは、河村市長ではないかと思っていますが、確かに適正な調査が必要です。その調査について、今、回答があったように、地方自治法の審査において行うような調査を行っていることが明らかになりました。選管は、適正な調査に努めているのです。
 もし、必要署名数の86万以上を超えて提出されていたら、「審査」で、膨大な「聞き取り調査など」を行うことになったでしょう。異常な審査です。署名も異常なら、選挙管理委員会も異常な仕事をさせられることになったのです。
 直接請求制度の信頼性を揺るがすことにつながりかねないから調査するというということでした。今回調査をして、その信頼を確保する作業になったと感じていますか。

県選管が制度の画題点・課題等を整理している。市選管も、今回の事態を重く受け止め、真撃に協力したい(選管)
【選挙管理委員長】今回の調査を踏まえ、現在、県選挙管理委員会において、直接請求制度が適切に運用されるよう、制度の画題点・課題等を整理しているところです。市選挙管理委員会としても、今回の事態を重く受け止め、真撃に協力していきたい。

コロナ禍でリコールの中心を担った市長。被害者ずらして責任逃れに終始
【江上議員】不正署名は民主主義の根幹を揺るがすものです。選挙管理委員会は、直接民主主義確保に力を尽くしました。当然、だれが直接民主主義を冒涜したのか、責任はだれにあるかを明らかにしなければなりません。

 昨年7月、8月と言えば、コロナ感染拡大が急増し、感染拡大防止のために無症状者を含むPCR検査・保護・追跡・補償、そして、保健所体制の充実、病院・病床の確保が叫ばれ、秋から冬にかけての第3波の心配もされていたときです。その時に河村市長が「署名集め応援してちょう!!」と応援団となって、知事リコール署名が行われ、市長は、街頭宣伝に出ていました。最近、会の代表が、「河村市長からリコールをしたいので手伝ってほしい、と頼まれた」と発言しています。市長は、応援団どころか中心人物であることがはっきりしました。市長は、コロナ対策より、リコールを優先したわけです。
 リコールの理由は、あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」の展示物が気に入らないと河村市長が負担金を一部不払いしたことに対し、トリエンナーレ実行委員会が裁判を起こしたことを問題にし、代表者の大村知事の解職を求めるというものです。
 しかし、市長たる権力者は、憲法に縛られ、多様な表現の発表の場を確保するなど表現の自由を守ること。文化芸術基本法からも文化芸術活動の自主性を尊重して「金は出しても口は出さない」と言う姿勢が名古屋市に求められているにもかかわらず、市長が負担金を支出しないのは憲法と法律に反している、と私は指摘してきました。そのリコール署名が8割以上も有効と認められない。その調査のために、多大な時間を職員に取らせ、コロナ対策業務に支障をきたしました。このことの責任が問われています。
 ところが、市長は、署名の不正が明らかになった時、責任を述べるどころか「僕も被害者」と記者に語っています。市民への謝罪もなければ、署名運動を推進した責任すら述べませんでした。
 また、署名の調査結果は、名古屋市内有権者1,890,791人で有効は26,981署名で、1.43%です。中川区では0.86%です。有権者100人に一人前後しか市長の主張を認めていないのです。
 これだけしか有権者の中で署名が認められなかったことは、河村市長の主張が市民から認められなかったことを意味します。
 河村市長は、2月22日の記者会見で、10年前の議会解散請求署名の際の受任者名簿を今回の署名団体に渡したと発言しました。「ご登録された個人情報は上記団体外の第三者に開示提供せず」と当時の受任者募集はがきに明記した文面に反するのではないかと思います。
 今後河村市長に質問することを述べて質問を終わります。

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